65 落下事件
悲しき現実、無秩序な世界。
たった一人の思いに限って叶えられない。
どお、カッコいい(゜∀゜)?
『みなさんお待ちかね、大会本戦が開始されまーす』
ついに開催される本番の戦い。この最終戦の中に白夜は出場することになった。
『さあ、本選出場者の名簿を表示いたしまーす!』
名簿には、自分を含め、多くの見知った名前が載っていた。
「とりあえず、ライブ撮影開始・・・と」
念の為撮影はしておく。その作業のあいまに周りの声が耳に入る。
「……あれ、ロビーに白霊狐がいる!」
「ついに、姿を現した」
彼らが言うように、白夜は真の姿でおおやけの前に姿を現していたのだ。
白銀の毛に、九つの尻尾が美しく輝く。
その存在に多くのプレーヤー困惑する中、動き出すニつの影があった。
「フワフワだー!」
「モフモフだー!」
飛び込んできたのは、双子のノアルとクロムだった。
何故かは分からないがこの子らの気配は読みづらく、船にてすきあらば触られてた事を覚えている。
「触らないでくれませんか?」
「いいじゃん狐ちゃん」
「いいよね狐ちゃん」
「良くない」
「え、狐ちゃんは触らせてくれるんじゃないの?」
「狐ちゃんなら、触らせてくれるはずだよ」
「どゆこと」
「黒い狐ちゃんは触らせてくれた」
「黒い狐ちゃんは優しかった」
「でも、くすぐったいから離れて」
「いー」
「やー」
駄々をこねた二人を止める方法は無い。船で出会った時にその事を知らしめられた。
早い内にこの双子対策を考えなければいけなさそうだ。
「はあ、どうしたものか」
「あれ、え、白霊狐!?」
ビックリした様子で現れたのは、狐の羽衣のホムラとその側近のリンだった。
「白霊狐さん、私のこと覚えてるよね?ほら、闘技場で出会った」
「覚えてるよ。そうでなくても有名だしね」
「あの、フレンドになってください」
「え?」
「よかったら内のギルドに来てください」
「はあ…」
話かけられるとは思っていたが、勧誘されるとは思っていなかった。少々く気が早いのではないか?
ただ、ホムラから向けられた期待の念が眩しいので、断るのを躊躇してしまう。
「今はフレンド登録だけにしときます。ギルドの話はまた今度で」
「ありがとうございます」
早速、ホムラとフレンド登録しようと試みるがあることに気がつく。白夜と言う名で、すでに登録していたのを忘れていた。
「あー、すでに済んでいますね」
「え、それってどういう……」
「ホムラ様。どうやら誰か来たようです」
ホムラの話を遮るかのように現れたのは、青空騎士団のソーラとダンテ、グリコの三人だった。
「これはこれは、ホムラさんと白霊狐さんではありませんか」
「なんの用よ、ソーラ」
「別に、今の内に挨拶をと思ってね」
「いらないわよそんなの。あんたなんか、闘技場の時みたいに瞬殺してやるわ」
「ソーラ……今回は負けない」
「二人には悪いが、こっちには先約がいるんだ」
「「先約?」」
「白夜って奴だ!?」
「白夜!?」
「そうだ、知り合いだったかな?」
「そうよ、何なら最近会ったわ。聞いたわよ、リアルでも知り合いだって」
「そうだったのか」
その本人である白夜は蚊帳の外。いや、白霊狐である今は他人を演じなければならないが、変にむずかゆい…
『まもなく、大会が開始されます』
「始まるみたいだな」
「そのようだな。わかってるとは思うが勝ちは譲らん」
「私も負けませんから。覚悟してなさい」
「いいねその感情。戦いがいがある」
三人の間に強いなライバル意識ができていた。それを見守る側近たち……と双子。
彼らは、開始と同時ににフィールドへと転送された。
「行くぞ」
そういきこんだ時………事件がおきた。
「!?……何だこれ!?」
突然風景が歪み始めた。砂嵐の映像と共に風景が入れ替わり、真っ暗な空間へと飛ばされた。
「ここは、いったい?」
よく見ると、他のプレーヤーもこの場に飛ばされて来たようだった。しかし、一切の感情が見受けれれない。みんな、魂が抜けたような状態だったのだ。
彼らは次々と姿を消し始め、最終的には白夜一人となった。
「どういうこと?まさか、サーバーダウン!?」
しかし、何故自分だけが意識を保てていたのか疑問が走る。
システム画面を開こうとするが機能せず、ログアウトができなかった。スキルやアビリティが使えるか試してみるが、銀霊も魂狐霊炎も出てこなかった。
ついに、手詰まりになった。
どうしようもなかった。
ただただ、頭を抱えてしまった。
『……あれ、何で白霊狐のライブ映像だけ止まっていないんだ?』
『なんだ、この真っ暗な空間』
『なんか、他のプレーヤーは全員サーバーダウンしたらしいけど、なんで?』
ライブ配信のコメントだけが視界に映りこむ。カメラだけは機能を停止していなかったようだ。
「どうしよう、これ。ログアウトできない」
『マジかよ』
『おい、運営早く白霊狐ちゃんを助けろ!』
『(公式)ただ今、サーバーの確認を急いでおります。もうしばらくお待ちください』
『おお、公式が見てた』
そのコメントに少し安堵する。
冷静になれたところで、気になるコメントを目にする。
『白霊狐の手、なんか光ってね?』
その一文を読んで初めて気がついた。手の甲が白く光り模様を浮かばせていた。それは、とある池にて刻まれたものであるとすぐに気がついた。
「どうして」
それは誰にも分からない。分からないはずなのに、その光が示す道を、なぜだか知っていた。
手を前に伸ばし、何かを掴むように握り締めた。
突然何もないこの空間に亀裂が走る。激しい揺れと光を伴って、ついには空間が砕け散った。
ここはグランドエデン上空だろか、何処までも高い空の上に身を投げ出された。
周りには、五つの大きな島が見える。さらにその下にも、山や森、海、町が連なってるのが見えた。
「なに、これ」
絶景に見てれてると、頭の中をかき回すような頭痛に襲われる。
何かの記憶が、流れ込んでくる。
=☆☆=☆☆=☆☆=
絶叫が絶えない日はない。いつも誰かが戦争で死んでいく。
赤の魔女は地に穴をあけ、青の騎士は城を切り裂き、能の賢者は山を変形させた。
竜の厄災が町を飲み込み、武の獣が村を襲い、逃げ出した生命を邪悪な魔人が破壊する。
そんな中、戦争に終止をうつために戦った者達がいた。
孤高の狐が平和を夢見る。
次、月




