62 青と白の攻防
「あなたは、白霊狐で間違いありませんね」
「あなたこそ、青空騎士団のソーラではありませんか」
予期せぬ遭遇。数多あるフィールドの中で彼と出くわすとは誰が予想できてのだろうか。
伸びた背筋、自信に満ちた鋭い目。彼があの煉だとは到底思えなかった。なにせ、キャラが全く違うのだから。
互いに静粛を保ちながら集中していた。
そこへ一枚の木の葉がひらひらと落ちてくる。それが地面へついた時、静粛な時間が断ち切られた。
ギンッ!
美しい金属音が鳴り響く。
ソーラはそのレイピアで、白夜はその刀で双方共に打ち合った。
「おや、長刀ではなく刀を使うのですね」
「ハンデですよハンデ」
「……なるほど」
次々と目にも留まらぬ速さで攻防を続ける。それは互角の戦いだった。
「……」
「……」
沈黙の後、二人はマップの中心を目指して走り始めた。
このまま戦いが長引けば、どちらかが勝ってもレベル差で他プレーヤーに倒されてしまう未来は目に見えていた。
攻防は続けたまま、道中モンスターやプレーヤーを倒しながら中心に設置された大経験値を取りに向かう。
「ハア!」
「ぐわっ!」
「そら!」
「グフっ!」
ここまで多くの経験値を得ているものの、お互い差は開かないでいた。やはり、どちらかが先に大経験値を得るかが勝負の鍵となるのだろう。
ソーラは持ち前の速さと剣撃を駆使し、プレーヤーを見つけては疾風のごとく斬りつけ倒す。切られた相手はそのことに気づくこともできない。
白夜は札を取り出すと、プレーヤーにしれっと貼り付け走り抜けていく。するとたちまち魂狐霊炎が発動し、炎上する。
「そんな技持ってたんだね、白霊狐」
「そちらも、速さに磨きがかかってますね」
そうこうしてる内に、大経験値が見えてきた。その途端二人は全速力でそれに手を伸ばす。
「瞬歩!」
「アクセル!」
あと少し、手が届くというところでそれは消えた。
さあ、大経験値は誰の手に!??
「よし!大経験値ゲット」
「え?」
「ん?」
大経験値を得たのは第三者のプレーヤーだった。
「あれ、他にも人が!?よーしこてんぱんに……」
「「何してくれてんじゃ!!」」
お互いすの口調で、正義のパンチを食らわした。
ソーラはクリスタルを、白夜は霊炎を拳に纏わせ顔面に当てる。
倒せはしなかったが、遥か彼方に飛んでいく。
「ふう、全くの予想外だったよ」
「同感です。殺しそこねましたし」
「どうする、白霊狐?」
「そうですね…とりあえず、周りを片付けましょうか」
「そう…だな。確かにこれはきつそうだ」
多くのプレーヤーが二人を囲むように立っていた。
「1、2、3、4……これ生き残り全員いますね」
「強者相手に数で圧倒しようて考えか。猿知恵だな」
「こうしましょう。こいつら全員倒してから決着をつけるってことで」
「イイね。それには賛成だ」
「魂狐霊炎!」
霊園を身にまとい、札が白夜を囲むように空を舞う。
「クリスタル・ナイト!」
クリスタルを身にまといそれは鎧となった。彼が歩むたびに地面から結晶が出現する。
初めに白夜が瞬歩で切り込み、そこから銀霊を展開する。何人かその銀霊を相殺したが、ダメージを与える。
「へっ、あんたが言ってたんだぜ、相殺できるって」
「……その得物、手放したほうがいいですよ」
「なに!?」
彼らの武器には札が貼られたあった。あの銀霊は目眩ましであり、本命は札を付けることにあった。
その札はたちまち爆発し、多くのプレーヤーを脱落させた。
「聞いてないぞ、そんな技」
「ホントそうだよね」
「ソ、ソーラ!」
「君たちの事見たことあるな。僕ら騎士団が倒したPK達だね」
「くっ!」
「ま、全員がその仲間ってわけではないけど、恐らく君が促したんだろうね。このチーミング行為を」
「う、うるせー!あんたらみたいなバケモンに勝つにはこうするしか無いんだ」
「そうか、残念だな……ファントム」
クリスタルでできたオブジェ出現し、レーザーを放つ。
間一髪で先程の男は避けるが、後ろにいたプレーヤーに当たってしまう。
「何だと!?」
「ここは男として身を盾にするべきだったね」
「この腹黒ヤロウ!」
ほとんどヤケクソになっていたが、男はソーラに向かって切りかかった。
「鋼剣!」
しかし、そんな攻撃がソーラに当たることはなく、カウンターで体を切り裂かれた。そこからクリスタルの花が咲く。
「最後の攻撃はとても良かったよ」
「ちくしょう…!」
数で有利となったはずが、圧倒的な力の差で押し負けてしまった。
そこへ、最初に殴り飛ばしたプレーヤーが戻ってきた。
「くそ、やっと戻ってこれた……ってあれ」
多くのプレーヤーを一網打尽にしたことで、ソーラと白夜のレベルが己と同等の位に達してることに気づいた。
「何が、あったんだよ」
「あ、戻ってきた」
「待っていましたよ、少年」
「ヒイッ」
これが彼の、最後の言葉となった。
白霊狐こと白夜は、ステータス画面が無くなった時点で新たなる能力を得ていました。スキルの有無は彼の意識次第なのです(意味深)
次回、土曜日に投稿。




