表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ゲームは狐と共にあり  作者: フィング
第4章みんな個性豊か
56/132

55 黒が見たものは

 狐影は素早く移動し、シャドームーブで右翼の船に飛び移った。そこはちょうど、大砲が並ぶエリアだった。


「とりあえず、煙幕で視界潰すか」


 普段なら連発を躊躇(ちゅうちょ)する場面だが、流石にここで出し惜しみするつもりはない。


 煙幕が放たれると、船内はたちまち混乱の渦に沈んだ。


「何だこの煙!?」


「まさか火事か」


「どうすればいいんだ」


 混乱で騒ぐがゆえに、一人また一人と暗殺されていることに気づかない。


 だだ、視界が悪いのは狐影も同じ。それでも、バレずに暗殺できるのには理由があった。


 感情の色は、煙の中でも決して隠せないのだ。そして、高まった恐怖と焦りの感情は周りへと広がり、辺りの地形を写し出してくれる。

 わかりやすく言えば、サーモグラフィーを通じて視界を得ている感覚だ。


 一方的な攻撃に耐えきれず、多くの海賊達は階段から上へ登り避難していた。

 こうして、もぬけの殻となった船内には、狐が一匹が残されていた。


「流石に殺られるばかりじゃないか。相手、階段で待ち伏せてるな」


 どうにか出来ないかと辺を見渡す。すると、にわかに赤く光る箱が見に写った。

 その箱を開けると、小石サイズの赤い石が詰め込まれていた。


「何だこれ?ここにあるってことは、火薬の類か?」


 その石はまるで、手持ちにあるエレキストーンと酷似した形だった。


 スタンショットに使うこの属性石には種類があり、島ごとに採れる種類が違うそうだ。この石はおそらく、前の島では採れないフレアストーンなのだろう。


「大砲の火薬代わりとして使ってるのかんな。流石にこの量を放置するなんて、取ってくださいと言ってるのかな」


 使ってみたいという衝動が抑えきれず、それをハンドアーツに取り付けた。


 どうせ海賊船だし、射って爆発しても誰も文句言わないだろと思っていたが……。


 壁に当たった瞬間火の手が上がり、たちまち船は燃え上がった。


「うわああー!火事だー!」


「…えっと、案外使えるなコレ。持てるだけ持っていこう」


 少し罪悪感があるが、どうせ落とす船なので有効活用させてもらう。


「まだ結構残ってるな。もう全部処理しちゃおう」


 これぐらいの量なら、爆発を起こしてもおかしくない。少し離れた場所からハンドアーツを向ける。


「じゃあ、フレア・ショット!」


 ボゴーン………


 予想以上の大爆発。火は船全体を覆い隠し、爆発した場所から二つに割れた。


 爆風で外に投げ飛ばされた狐影は、何事もなかったかのようにワイヤーを使って元の船へ帰還した。


「いやー、我ながらダイナミックな攻略だったな。やりすぎた気もするけど」


 二つに分かれた船体はゆっくりと下へ墜落していく。助けを求める声が聞こえる気がするが、もうどうしようもない。安らかに眠れ。


「さて、他の人は大丈夫か……な?」


 上空の海賊船に木々が巻き付き、船体を潰していた。

 その様子はまるで、クラーケンに襲われた船だった。


「確か上の攻略はクロムとノアルだったかな。てことは、あれトレントなのか?」


 続いて左翼は、とにかくボロボロだった。

 船尾は黒く焦げ、船首はには大きな穴が空き、マストはポッキリと折れていた。


 所々ペンキで色付けされ、甲板では常にボールが跳ね続け、新たな浮力として大きな風船が取り付けられてた。


「あの船はジェフリー行ったところだよな。あのまま連行するのかな?」


 そして、今立つ甲板の上には、縄に縛られた海賊達と、ジェフリーたちがいた。


「アハ!狐影チャンも終わったノネ。大きな音がしたから、ワタクシビックリしちゃったよ」


「生きててよかったね」


「無事で良かったね」


「は、はは…」


 この中で、慈悲を持ったプレーヤーはいないのだろうかと思う狐影であった。




次の月曜日朝五時に続きを投稿です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ