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ゲームは狐と共にあり  作者: フィング
第4章みんな個性豊か
53/132

52 双子でタンゴ

キョーも月曜日がやってくるヨー

 船内で出会った双子の少女は、何故か後をついてくる。まるでカルガモの親子の様に。


「あー、ここは自分の部屋なのですが」


「おじゃましま~す」


「おじゃましてま〜す」


 二人とも狐影と同じ背丈で、黒髪と青い目を持つ。違いといったら、髪を結んでいる向きだろうか。


 しかも外見だけでなく、感情の色がほぼ一緒だという事におどろいた。


「えっと、名前は?」


「ノアルだよ」


「クロムなの」


「二人に言っとくけど、ついてきても尻尾は触らせないよ」


「ガーン!!」


「ガビーン!!」


「その効果音を口で言う?」


「ぐぬぬ、だったら力ずくでモフるしかない!」


「力を合わせてフワるしかない!」


「「サモン、トレント!」」


「ちょ!?ここ個室!」


 狭い個室でデカいモンスターを召喚するものだから、扉は弾け飛び、窓は砕け、ベットが潰れた。二人には遠慮という概念がないのだろうか。

 とにかく、このままでは捕まるどころか殺されるという恐怖が走り一目散に廊下へ逃げた。


「「まちなさーい!」」


 こうして、双子の少女と狐による鬼ごっこが始まった。


 =☆☆=☆☆=☆☆=


 船内でかすかに響く騒音。それに気づくプレーヤーがいた。


「なあブルドックさんよ。なんか聞こえねえか?」


「あー森の匂いもするな。トレントのたぐいか?」


「こんなところにトレントがいるわけ無いだろ。船の中だぜ」


「獣人の鼻をなめるなよ。だが、船にいるわけ無いってのは同感だな」


「一応見に行くか?」


「そのほうが良さそうだな」


 獣人の『ブルドック』と人族の『ペン回しの達人』のニ人は、廊下の方へ向かった。その先で見たものとは…


「待ちなさーい!」


「止まりなさーい!」


「あー、そこのお二人さん。ちょっと避けて下さーい」


「え、ちょっとm!?」


「おい、ペン。後ろ!」


「え…?グハッ!」


 ブルドックは間一髪で避けたが、無惨にもペンは投げ飛ばされしまった。

 そんなことに気づかないまま、ノアルとクロムは狐影を追っていった。

 そして、たどり着いた場所は船の甲板だった。


「広いこの場所なら、やりようがあるな」


「追い詰めたぞー」


「追い込んだぞー」


 双子が召喚したトレントは、とにかく大きかった。一本の木というよりは、木目のタコと言われたほうがしっくりとくるような見た目をしていた。


「まずは手始めに、煙幕!」


 小瓶を放ち、黒い煙幕を展開する。狐影が有利な環境を作るためだ。

 しかし、煙の中から複数の枝が伸びてきた。目を持たないトレントに目眩ましは通用しなかったようだ。


「目眩まし通用しないの!?黒狼よりたち悪いぞ」


 つかさず双剣で枝を切り裂く。切られた枝は枯れ、新たな枝が狐影を追尾する。


「なら、スタンショット!」


 煙幕の中に電気が走る。トレントは止めれずとも、あの双子を止めることができれば……そう思っていたが。


「「クリスタルシールド」」


 晴れていく煙の中から、シールドに包まれた双子の姿が見えた。

 視界の悪い中攻撃を防ぐあたり、トレントと視界を共有していたのだろうか。


「いっくよー」


「グリーンバスケット!」


 植物の檻が狐影を捉える。

 剣で切り裂こうと試みるが、全く傷がつかなかった。


「捉えたよー」


「さあ、観念してフワられるのだ」


「……シャドームーブ」


「あれ、消えた?」


「クロムちゃん、後ろ!」


「はあっ!」


 狐影の斬撃がクロムを襲う。手加減したので死にはしなかったが、トレントの上から落ちていった。


「ちょっと手荒だけど、我慢してね」


「クロム?……クロム!」


 殺意の感情が吹き出した。それはまるで地獄の業火のごとく燃え上がり、心の底から恐怖を煽った。

 たまらず距離を取ったが、この緊張感は消えない。


「なんんだ、このプレッシャー」


「よくも…よくも…クロムちゃんを…許さない!!!」


 触れてはいけない逆鱗に触れてしまった。

 謝る暇もなく、ノアルは魔法陣を展開する。


「くる!」


「サモン…ブレイブ・ドラゴ…」


 途端、殺意の念がピタリと止まった。

 ノアルは糸が切れたかのようにその場へ倒れ伏せる。

 その背後には、背の高い道化の姿があった。


「大丈夫カナ?狐影チャン」


 白黒ピエロが今日も笑う。

次は今週の土曜朝5時。

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