51 船着場での出合い
「とあるハッカーの異世界放浪記」を早く書き進めたい。
でも、忙しいし時間がない。
でもでも、ロマンの詰まった作品を公開したい。
でもでもでも、早くしようとして手抜きはいけないし。
でもでもでもでも……以下略
無事に船着場まで来た狐影は、そこから見られる景色に見入っていた。
この場所へ来るのは2回目となるが、いつ見ても感動を呼ぶ絶景だ。
「船が到着しましたー。乗船する方は速やかにー」
次々と乗り込むプレーヤー達。だがその人数は割と少なく、狐影を合わせても6人程度しか見られなかった。
「さて、自分も乗りますか」
「ねえ君。もしかしてアノ森で出会った狐カナ?」
「ふぇ!?」
「アー、ごめんネ。驚かせる気はなかったのヨ」
「え?ピエロ?」
「ソウ!ワタクシはカラクリピエロのジェフリー。ヨロシク!」
「よろしく…?」
「さあさあ、いっしょに乗船するのダヨ」
「ちょ、待ってください」
黒と白を基調にしたピエロが現れた。
初対面のはずなのに何処かで見たことがある気もする。相手側も狐影の事を知っている様子だった。
しかし、思い出すことができないまま船は出港するのだった。
=☆☆=☆☆=☆☆=
「改めましてワタクシはジェフリー。ヨロシクなのダヨ」
「自分の名前は狐影です。せんえつながら、何処かでお会いしましたでしょうか」
「オーマイガー!ワタクシの事を覚えていない。ああ、それもそうですネ。直接顔を合わせて話してないですものネ」
あからさまに肩を落とすジェフリーと名乗る彼を見て、狐影は慰めの言葉をかける。
「まあ、色んなプレイヤーがいますし、忘れてるだけかもしれないですね」
「そうなのネ。ワタクシは始まりの町とグラントスの間の森でアナタを見たのヨ」
「森……もしかして、見てました?」
「ソウソウ、散らばったPK達を追いつめる様子は爽快だったヨ。ちなみに、残ってた2人はワタクシが倒しておいたのヨ」
「そうだったのですね」
まったく気づかなかった。先程背後から声をかけられた時も、全然気配を感じ取れなかった。
そもそもジェフリーから感じ取れる感情は独特で、ほぼ白色で統一されているイメージだ。
これほど感情と表情が一致していない人は初めて見た。正直気持ち悪くもある。
「どうしたのカナ?複雑な顔だヨ」
「いえ、何でもありません」
「気楽にするのが一番だよ。ワタクシはいつでもハッピーの味方さ」
「ハッピーの味方?」
「ソウ!笑顔が一番ハッピーが一番。笑顔を作りハッピーを守るのがワタクシの生きる意味なのサ」
「生きる意味……」
「じゃあこれから、同じ時間を共にする仲間たちに笑顔を届けに行くのダヨ」
こうしてジェフリーはこの場を去っていった。
彼はカラクリピエロ言った。彼の話す言葉一つ一つに感情がこもっておらず、本当に人形と会話した気分だった。
彼は一体何者なのか、そんな疑問が残った。
=☆☆=☆☆=☆☆=
変なピエロと出会ったが、他にもいろんなプレーヤーが乗船していた。
今乗っている船は、野良のプレーヤーが一緒に乗船するいわばフリー船だ。貸し切りでは無い分無料で、美味しい料理付きといった豪華仕立てなのだ。
「その代わり、物資が豊富なため海賊に狙われやすい」
船内を見て回ったが、食料品やプレーヤーが売り払ったであろうモンスターの素材まで見られた。
「これじゃあ、安心してログアウトできないなぁ…」
空いた時間で動画編集をしようとと考えてたが無理そうだった。それに、池周辺を撮影した動画の投稿がまだなので早く投稿したい。
「ひゅあ!??」
尻尾を何者かが触れたような感覚が全身を走る。いや、実際に誰かが触ったようだ。
「尻尾フワフワだ〜!」
「尻尾モフモフだ〜!」
「ちょっとやめて」
「ごめんね~」
「悪気はないんだ〜」
「「ただ、魅力的な尻尾が気になったから〜」」
完璧なまでの阿吽の呼吸。というか、双子のタンゴ。
双子らしき少女二人が、謝りつつも尻尾をモフり続けていた。
「くすぐったいのでストップ」
「「はーい」」
何この子たち。
黒髪で青い目を持った小さな女の子が二人。背の低い狐影よりも数センチほど背が低かった。
そんな子供相手に振り回される狐影だった。
もしかしたら、今度の月曜日にまた投稿するかも?




