47 狐影は白夜
4日目
「……代理として謝らせてもらう。申し訳なかった」
まさかここで、知り合いのダンテが出てくるとは思わなかった。彼は馬車に乗った時に知り合い、フレンドにもなった相手だ。
そのダンテに対して言う言葉を思いつかないでいると、次のフェーズが始まる合図が出た。
「時間だ。皆思うことがあるかもしれんが時間が無い。だが、団長がこの調子だから、代わりにこのダンテが指揮をとる」
ダンテは青空騎士団を筆頭にギルド集団を連れて防衛にむかった。その場には、狐の羽衣のギルメンと狐影が残された。
「ホムラ様、大丈夫ですか?もし無理そうならここでログアウトしてください」
「…うん。そうする」
「皆はグラントスの防衛へ向かってちょうだい。作戦は状況に合わせて臨機応変に」
「「「「はっ!」」」」
ホムラはログアウトし他のギルメンも防衛に向かった。何故かリンだけこの場に残った。
「では自分も防衛へ」
「待ちなさい。あなたにちょっと聞きたいことがあるの」
「え?」
嫌な予感がしたがやっぱり話しかけられた。正体に気づかれる恐れがあるので、彼女と話たくないないのだが……
「あなた、白夜よね?見た目は全然違うけど」
前言撤回、もうバレてた。だがバレるほどのボロは出して無いはずなのに、どうしてそこまで確信を持てたのか?
「流石です、リン酸。よくわかりましたね」
「なんか私の名前を呼ぶときのイントネーションが変じゃなかった?まあいいわ。私の名を知ってるなら白夜で間違いないわね」
「どうして……わかったのですか?」
「まずホムラ様をさん付けしてたこと、話し方が敬語口調だったこと、一人称が自分だったこと、行動がいちいち馬鹿げていること。あと、あなたほどのチビは白夜以外会ったことがないもの」
「チビは余計です」
「うん、やっぱり白夜ね」
リンの洞察力はとてつもなく高いことは知ってたが、ここまでとは思っていなかった。もう変態の域である。
「で、自分に何か用でも?」
「いいえ。ただ、ホムラ様をまた助けてくれたことにお礼を言いたいのよ。本来なら側近である私がなんとかするべきだったのにね」
「いや、出てこなくってよかったと思いますよ。いつ暴走するかヒヤヒヤしてましたので」
「……とにかく礼を言いに来ただけ。今日を合わせて2回も助けてくれたから…ありがとう。それといつか、ホムラ様に白夜の姿を見せなさい。きっと喜ぶから」
炎竜の件で1回、今回の件で2回目となる。その感謝の念はとても心地よいものだった。
「良いのですか?前みたいに嫉妬されても困るのですが」
「別にいいのよ。私はホムラ様の幸せのためならなんだってするから。それじゃあ、私も防衛へ行くわね」
そう言い、町の外へ走って行ってしまった。そのリンが到着する頃には最終フェーズとなったスタンピードが終了したのだった。
=☆☆==☆☆=☆☆=
スタンピードが終わり、帰るプレーヤーもいれば酒場で騒ぐプレーヤーの集団もいた。青空騎士団や狐の羽衣は、何事もなかったかのように帰還していった。そんな中で狐影とホーはというと、酒場の隅で武器の手入れをしていた。
「武器には耐久値があるけど、整備することでそれを回復できる。本来なら行きつけの鍛冶師に頼むのがセオリーだけど、これは形が独特だから頼めないだろうね。今ここで整備の仕方教えるから、ちゃんと覚えておきなさい」
「はい、わかりました」
「…なんであの時、狐の子を助けに入ったのさ?ああいうのはトラブルの原因にも繋がるものだから気をつけるべきだよ」
ホーの言ってることは正しい。それでも何故ここまで感情的になったのか、自分でもよくわからなかったのだ。
この感情を言葉にするなら『怒り』だったと思う。勿論あのソーラというプレーヤーはウザかったが理由はそこじゃない。
ホムラを悲しませたことへの怒り、というのが一番しっくりくる。それは何故なんだろう。
「もう遅いね。アタシはログアウトするよ」
「そうですね。現実じゃあもう真夜中ですかね?時間の感覚が狂ってしまいそうです」
「そうさね。おやすみ」
=☆☆=☆☆=☆☆=
久しぶりに、ログアウトした気がする。
ふと今日の日付が気になり、カレンダーを見て目を丸くした。
「夏休みもあと4日しかないのか。日付の感覚も狂ってたのか」
そう言い苦笑する。
不思議な気分だった。学校には行きたくないのに、今なら大丈夫と思える自分もいた。
そして疑問に思った。本当の自分は狐白なのか、もしくは白夜なのか、はたまた狐影なのか……
自分は誰でありたいのか
ゴールデンウィークが終わる(;゜Д゜)!!?
また、朝5時投稿に!?




