44 戦果を挙げよ
一日目
闇夜を照らす月明かりの中、赤い眼球で睨む者あり。
「ゴオォォー・・・ワレラハ、ホコリタカキ、オーガデアル」
「ジョウヘキヲキズキ、ノウノウトイキルオマエラヲ、ジュウリンシニキタ」
「コノトチハ、ワレラオーガゾクガ、モライウケ・・・ッ!」
一体のオーガかた吹き出す鮮血。それが、戦いの狼煙となった。
「遠距離部隊、とにかく相手の体力を削れ。倒せなくてもいい、前衛が活躍できるように援護するんだ!」
「「「「おう!」」」」
掛け声と共に弓や魔法による反撃を受けたオーガは、たちまち混乱し陣形を崩していった。それに伴い、潜伏してた前衛部隊が反撃に出る。
「喋るとは思ってなかったが、化け物には違いねえぜ」
「でかいくせに、結構弱いな」
「楽勝だぜ」
ほとんどのプレーヤは、レベル差でオーガを圧倒していた。すでに体力が削られてたのもあり、第1フェーズは難なく突破できそうだだった。
「よし、遠距離部隊は休憩に入れ。次のフェーズまで回復及び温存するように」
今こうして指揮を取っているのはあのホーだった。勝手ながら狐影が彼女を指名しそのまま決定した。嫌な顔をされたが、意外と形になってはた。
そのホーが考えた作戦は、遠距離部隊が削り前衛部隊がとどめを刺すといった単純なものだったが、初心者でも理解しやすいという点では適してるのだという。
やはりホーはただ者ではなかった。そんな中、狐影がどこにいるのかというと・・・。
「正門からちょっと右にそれた方向のオーガがフリーだから、そこへ数人ほどプレーヤよこして」
「正面はある程度片付いてるから、回復のために下がらせて」
今回、戦闘には参加せず高い場所から見下ろし情報を探る情報員として動いていた。
狐影は奥の手として残すべきだと、ホーが言ってた。
「奥の手と言っても、今夜中は出る幕は無さそうだな」
影人という種族は暗い夜に本領を発揮するため、今の内に参戦したかったが許してくれなかった。ピエン・・・
この調子で第3フェーズまで突入したころで、相手に変化が見られた。腰巻きしか身に着けていなかったオーガの中にフルメート装備の上位の個体が見られた。本番はここからである。
「ホーさん。フルメートのオーガがいたから、それぞれの場所にマーク送るね」
「あいよ。遠距離部隊、フルメートが来たらチームで集中砲火だ。くれぐれも、標的が被ったなんてことがないよういに」
フルメート装備の敵が現れるのは想定内で、それもすぐに対処できていた。そう思っていた。
「うおっ!何だこいつ・・・ウルフェンだ!」
ウルフェンという狼がオーガに紛れて、前衛部隊に襲いかかり大打撃を受けていた。オーガと違い的が小さく素早いので城壁からは攻撃が当たらず援護が効かなかった。
「ホーさんどうする?出る?」
「ええそうね、出し惜しみはしないわ。ただこの暗がりじゃ味方の攻撃に巻き込まれるから奥で戦えよ。あんたならやれるね?」
「もちろんです」
そこから顔を合わせることはない。呆れながらもホーは狐影の実力を認めていたのもあるが、ホーが作成した心強い武器があるのだから。
=☆☆=☆☆=☆☆=
巨大な木々が生い茂る森の中で、狩りが行われていた。争いと言うには圧倒的で、残虐と言うには可憐で・・・。ただ一つ言えるのは、黒と命は共に闇へ消えるのだった。
「フルアーマーと狼を優先して叩いて、できれば数も減らす。大丈夫だ、バーチャル・ファイターに比べれば簡単だ」
これがバーチャル・ファイターならすでに2回死ねてるが、気付かれる素振りすらなかった。
「にしてもこの双剣、凄いな。巻取り式のワイヤー付きなんて」
試しにオーガの額めがけて剣を投擲した。それはきれいに命中し暗殺による即死クリティカルとなって砕け散った。剣はワイヤーで手元に引き戻される。
これは、双剣の短いリーチを補うために投擲した様子を見て、ホーが考えてくれた剣『ロイヤリティーブレード』だ。
ブレードとワイヤーは別々の武器枠となっており、それら全てを合わせて一つの双剣となっている。
「そうだ、ついでにこれも試そう」
狐影の腕に、特殊な形態をしたボウガンが取り付けられてた。そこにある小石を取り付け、狼の群れの中心に放った。
その小石は着弾と同時に砕け、周囲に電撃を放った。たちまち狼は痺れ動けなくなってしまった。
これは『ハンド・アーツ』という特殊な投擲武器で、先程のように小物をまっすぐ遠くへ飛ばすことができる。小物であれば、そこらに落ちている小石を拾って放つこともできる。
この新たな装備を手に入れたことにより、戦略の幅が広がった。狐影は喜びに満ち溢れている中、相手は逆に恐怖に満ち溢れるのだった。
ゴールデンウィークだやっふぉーーーーい!!!




