38 狐影の装備
書置きが~~…あと3つ~…(;゜Д゜)ぁぁあああ
黒い髪を揺らし黒い目を光らせる狐影。ただ今迷子です。
とある遺跡から無事グラントスへワープできたものの、その先が見知らぬ裏路地だった。そこから出るために歩き回るが一向に出れない。まるで迷路のようだ。
「弱ったな。できれば昼の内に装備を整えに行きたいのに。日が暮れてしまう」
すでにゲーム時間で16時はとっくに過ぎておりすぐにでも脱出したいところ。流石に無人の路地で一人は寂しくなる。
「ふう…こういう時こそ冷静に。そうだ、人がいる場所に向かえばいいんだ。人の感情は人知れず漂うものだから、それさえ見えれば」
よく嬉しさや悲しさが感染するあれだ。そういった空気はゲーム内にも存在する。
狐影はありとあらゆる五感を研ぎ澄まし、感情を読み取った。
「…この奥から1人。意外と近い」
流石に遠くのプレーヤーは読み取れなかったが、奇跡的に感知できる範囲に人がいた。すぐにその場所へ向かう。
「…この壁の向こうだな。このぐらいの高さなら」
アクロバティックな動きと音のない綺麗な着地を決める。できれば自慢したかったが、目の前のプレーヤーのは気付く素振りを見せない。
「あー、あのすみません」
「ワッ!フイ!」
「ワッフイ?」
「あ、いやえっと…嬢ちゃんどこから来たのさ。びっくりさせるね」
「すみません。えっと、出口を探しているのですが」
「え?この道を進めば町に出られるだろ。いったいどこから来たのさ」
「後ろの壁を乗り越えt「はぁ~!?」」
その後はいろいろ追及された。半分説教のようだったが、驚かせたこっちにも非はある。
「まったく。君みたいな子がねぇ来ていい場所じゃないでしょ」
「では、お姉さんはここで何をしていたのですか?」
「ぬ…あんたが気にすることは無いよ。もう言うことは無いし、帰った帰った」
強面の裏に優しい感情が見え隠れしている。もしかしたら、子供思いの良い人なのかもしれない。濃くしてるつもりのようだが、狐影にはどう思っているのかちゃんと伝わっていた。
「ありがとうございました、お姉さん」
「もう、お姉さんなんて言われる年じゃないよ!」
いい人だと考えた半面、なぜこんな場所にいるのか疑問が残る。
わざわざ人の来ない場所で鍛冶屋を経営する必要があるのだろうか。
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全身真っ黒な見た目の狐影は変に目立っていた。それもそのはず、ぱっと見黒い点が町中を動いてるのだ。数人ほどモンスターと勘違いして剣を抜こうとしたプレーヤーが見られた。
しかし、真夜中となれば話は変わってくる。暗闇の世界にその色は溶け込みやすい。ただでさえ見にくいのにもかかわらず、種族特性が付けば見えないも当然となる。
影人と言われるユニーク種。結局運営に放置された二つ目のステータスボードは今も健在だ。その代わり、ステータスやスキルの表記が消滅した。
プレイヤー名【狐影】 職業:暗器使い LV:37+☆1
【装備】
頭=空白 体=空白 足=身軽な短パン(軽)
靴=黒狼の靴(俊敏+5) 武器:空白×6
【アクセサリー】
1鑑定のイヤリング 2罠発見の目 3忍者の懐・クナイ 4空白
御覧の通り、綺麗サッパリ消滅している。
「にもかかわらず能力は把握済み。最初から知ってたかのように」
直接脳内に情報を刻むといった謎に高性能な技術である。その技術を応用すれば、馬鹿でも暗記ができるだろう。
そうこう考え込む内に目的であった店に着いた。そこは商業ギルドが経営する武器屋であり、オーナーはプレーヤー自身である。いわゆる生産職が集うギルドだ。
「すみません、シーフが使うような剣は何処にありますか?」
「それでしたら、あちらのコーナーに置いております」
早速、そのコーナーを散策し始める。
暗器使いはアサシンまたはシーフに似た部類の職業であり、暗器といった隠し武器を複数装備できるとのこと。ただ、そんな武器は珍しいくなかなか見つからない。
「やっぱり特殊武器だからそう簡単に見つからないな。いっそ特注で頼むか」
金を積めば思い通りの武器を作成してくれる素晴らしいシステムだが、今のところ武器を作ってくれそうな伝手がない。今日の所は双剣だけを購入し、店を出るのだった。
「もう夜か。ちょうどいい、今の時間帯は影人にとって最適な時間だ」
今日も不気味な風が吹く。
あくまで趣味で書いた凡人作品ですが、面白いなどのコメント・ブックマークは作者のモチベーションを上げます。
投稿日は、毎週土曜朝5時に投稿いたします。楽しみにしててね(*^-^*)




