33 狐白は狐影
狐白にとって5日ぶりのログインとなった。いつ来ても、幻想的で美しい世界だと感動する。けれども、また同じ池にダイブすることになるとは思っていなかった。
「…溺れる!なに、いじめ!?」
なんだか懐かしい光景が視界に入る。広がる森、透き通った池、大型の熊に群がるプレーヤ…
「いや最後の光景は何だ…あれ、なんかデジャヴ」
なんやかんや普段通りの光景だ…。だが、それはおかしい。
「最後にログアウトした場所じゃない?」
最後にログアウトした場所は空中だった。だから町に強制送還された…だったら良かったが、どう見ても森だ。
「ここに何かあるのかな?印象深い場所ではあるけど」
ゲーム開始時に投げ出された場所なのでよく覚えてる。その原因はバグだったが、こうして再び訪れるとは思わなかった。もしかしたらバグではなく、何らかの力が引き寄せたのではないのだろうか。(結局バグ)
周りを注意深く観察してみることにした。するとあることに気づく。ここは、遺跡なのだと。
大きさの異なる石を積み上げただけの簡単なものだが、池を囲むようにして石像が並べられてる。その多くは崩れていたが、1つだけ原形をとどめていた。
「これは…狐?かなり精密に彫られてる」
苔におおわれている以外目立った損傷はない。ただ、わずかに違和感を感じる。
「なんなんだ?池の中を見てる…なんかある」
池の底には石碑があった。すると、吸い寄せられるかのように池へ飛び込んだ。
石碑にたどり着くと、淡く光る宝石に手を伸ばした。それは簡単に取り外すことができた。
(これは…っ!?)
今度は慌てて水面に向かって泳ぎ始める。
「…やっぱり溺れる!」
仮想世界とはいえ、現在に近い感覚はあるので苦しいのには変わりない。もう水はこりごりだ。
「はあ、はあ…で、結局なんなんだこれ?鑑定」
【白霊の秘宝】
詳細
底知れぬ力が感じられ、常に白く発行している。
白銀の覚醒者に与えられる『守護』の証。
「これは…あれ?」
宝石は光の粒子となり、その手にまとわりつく。それは、何等かの模様を刻み消えていった。
訳の分からぬ今の状況に混乱するが、身体に影響はないようだった。
「いったい、何のイベントだ?」
模様の刻まれた手を空に掲げ見つめる。その手の隙間から日の光が差し込む。
もう少し調査したいところだが、時間が無いためその場を後にする。再び、鉱山都市グラントスへ向かうために。
あくまで趣味で書いた凡人作品ですが、面白いなどのコメント・ブックマークは作者のモチベーションを上げます。
投稿日は、毎週土曜朝5時に投稿いたします。楽しみにしててね(*^-^*)




