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ゲームは狐と共にあり  作者: フィング
第5章 変わる変わるその色は
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120 魅惑の歓迎を皆に……

 朝は弱い割に、目覚ましが鳴る前に目が開く作者ことフィングです。ついでに目覚めが中途半端だとその日具合いを悪くする弱々しい体で過ごしています。

 目が覚めれば、初めに時計を見る。4時13分と区切りが悪が今日も早く起きれたと、自画自賛に似た関心を思うだろう。


 今日は休みである。そして友達と共にゲームをしようと約束した日でもある。そのことを忘れまいと、眠気の帯びた脳内で何度も何度も思い返すことだろう。


 電気を付けることなく暗い外を眺める。外には感情を灯す人の気配は感じられず、パンを焼くオーブンの熱がわずかに自身と窓を照らすばかりであった。


「…………」


 言葉は発さない。喋る相手もいないが、パソコンに向かって一言二言と何か呟くようになった今じゃ珍しい。

 眠気のせいもあるだろうが、何より今日挑むダンジョンに思うところがあるのだろう。それは少なからず憂鬱を浮かばせていた事だろう。


「……あ、パンが焦げてる」


 味に支障を来たすほどでもないだろうが、黒ずんだ表面がどこか不吉を読んでいるように思えた。


 その日、朝っぱら。考え事をしながらオーブンのつまみを回してはいけないという、教訓を得たのだった。


 =☆☆=☆☆=☆☆=


 あれから一時間ほど進めた辺り。紙とインクの匂いと、わずかに鉄臭さの混じった、アルケミナ大図書館。

 人知れず白夜は本の敷き詰められた棚の上で、退屈そうに寝そべっていた。


「今回で破壊できそうか?」


「まだ等分かかると思っていたが、ホムラ様が来てくれたからな」


炎雷鋼射(えんらいごうしゃ)! って、つい口付さんじゃう技だと思わねぇか?」


「あんたが言ったところで痛々しいだけだろうがよ。やっぱホムラ様が使ってこそ輝く技じゃないか」


「言うほど痛々しいか!?」


 眼下にはホムラの到着を待ち望んでいるであろうプレーヤーが、すでにひしめき合っていた。


 現状扉を破壊しようと躍起になる者はおらず、それがホムラへの期待が示す結果であろう。

 普通であれば、こうも簡単に決めつけれる事でもないが、それを当たり前にしてしまうほどのカリスマ性は一体どこからきているのやら。


「自分と同じまだ大人未満な人にしか思えないのに、よく人を焚き付けられるよな」


 ホムラもとい、金霊狐(きんれいこ)に抱く疑問がまた増える。

 夜通し考察にふけっていたはずが、それすらも忘れ、熟睡してしまったことは不覚だった。記憶を覆うモヤのせいで、思い出せないもどかしさが体を揺らした。


 ギシギシと音をたてる棚は一冊の本を落とし、どこぞのプレーヤーの頭上へ直撃した。人の多さから避けることは困難であっただろうが、罪悪感から小柄な体を更に萎縮して隠れた。


「ミラさんと、メービィーさんは流石にまだ来ないか。暇だな」


 覗くことなく、適当に伸ばした腕は一冊の本をつかんだ。見知らぬ文字だが不思議と読める感覚に、宇宙を感じるような、なんとも言えない感覚のまま、静かに時間は過ぎていった。


 ウトウトとまぶたが閉じそうになった時、目の前に淡い光を放つ魔法陣が現れる。そこから突如出現した二人のプレーヤーは、足場の悪さによろめきながらも白夜に手を引かれ、なんとかこの場に留まった。


「あふ、あぁ……危ないメェ〜」


「よくこんな場所で平然と寝ていられるわね。探すのに苦労したわよ」


「生憎、下は波打ってますからね。まあ、特等席で扉が開くのを待ちましょう」


 そうして、ふと下を見ると不自然な空間が目に止まるだろう。

 満員電車程ではないが、数いるプレーヤー達がわざわざ避けるようにして作られた穴の中。そこに彼女はいた。


「ちょうどこっちも来ましたか、ホムラさん」


「まさか私達が集まる日と、ちょうど被るなんてね。最悪メービィーの奥義で入り口こじ開けようって思ってたけど」


「スター・シープ達じゃ多分むりだメェ~よ」


「あれ? そんな名前だっけ?」


白星(スター)()船艦(キャビン)よりも星の船(スター・シープ)の方がしっくりくるメェ……って」


シープ()シップ()ってダジャレかい!」


「ごめんだメェ~。でも、冗談なんかじゃなくて、双子ちゃんがいないと……」


「お二方。悪いですけど、ホムラさんが構えましたよ」


 白夜は二人の会話を遮り、視線を下へと向けさせる。

 そこには弓を構える金色の狐と、体から光を放つプレーヤー達。その光はホムラの元へと吸収されて行き、先程までのざわめいていた空間とは思えない神々しさが姿を表す。


「予想通り、HPを吸収して攻撃力に変換することができると。しかもこの人数……ちょっとオーバーキルにならないか? いや、それ以前に……」


「ブツブツ言ってぇ、どうしたメェ」


「あ、えっと。ダンジョン内にもかかわらず、でこうも体力を消費しても大丈夫なのかと」


「大丈夫なんじゃなぁいかメ。回復手段が無いわけないしぃ、何よりモンスターがいないみたいだからメェ~」


 メービィーの言うこともごもっともだ。白夜自身もほぼ同じ考えだ。だが、何やら胸騒ぎがする気がした。


 ホムラ達は多少疲弊気味だが、こういった状況に慣れているだろうし、双子を連れて亡霊狩りをしたせいか今日はモンスターを一体も見かけることもなかった。


 安全だ。余裕だ。ありふれた自信と平和ボケした空気。


 危険だ。慢心だ。にじみ出る油断と嵐の前の静けさ。


 目を見開いた先。ホムラは光り輝く神秘の矢で扉を貫くその時。ありふれた悪意が漏れはじめ、それにより不覚にも目眩を模様した。

 だがふらついている場合ではない。ホムラ達は動くどころか回復する素振りもない。ただ、迫りくる()()に困惑するばかりであった。


「後ろは頼む!」


 とっさに出た声と仲間二人を置いていき、前へ飛び出した。大事なあの方を守るため故か、その一連の動きに躊躇する意思は見られなかった。

 大体、2時間かそこら頑張ると以降集中ができなくなります。なので学習も娯楽も小説も、一日にどれか一つしか基本できない不便な体力で過ごしています。

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