113 皆の素顔
休み中に、沢山小説を書き進められればいいのですが、むしろだらけてしまって何もしないのが常です。きっとこれは、だらけ
病なんでしょう。直さなければ(;゜Д゜)
学校には他より早く登校する。良い心がけだと思われがちだが、朝に弱く眠気がまぶたを重くし、あのウザイ三人組が学校で待ち構えているのだから、結局のところ早起きになんて得を感じえなかった。
とはいえ、習慣化した行動をあえて変えようものなら、その一日中調子が狂ってしまう。
だから、いくら憂鬱でも習慣化した流れは変えられない。
教室の戸を開けても開いた席は多く挨拶を交わせる人なんていない。相変わらず、あの三人組ならいるが彼らに挨拶なんてしたくない。
「よう狐白ちゃん。ご機嫌麗しゅう」
「気持ち悪い」
「おっとドストレートな言葉が返ってきた。もしかしていつになく不機嫌?」
「きっとそうなんでしょう」
「んな曖昧な」
「ところでなんだが、少しばかり白夜に聞きたい事があるのだが………」
わざわざ白夜と呼ぶのであれば、そっちの話をしたいのだろう。
だがそれを遮るように、教室の戸が音を立てて開く。
「煉! 狐白君は来た?」
「とっとと、どうしたんだいミラ……沙羅さん!?」
「サラ……ですか。てか、転移師のフォーミラさんですよね。あと羊が一匹」
「えっとぉ、ここでは羊って呼ばないでちょぉだい」
「あ、すみません」
「とりあえず、この子ちょっと借りてくわね」
「おいおい、今用事があって話してる途中なんだが」
「用事があるなんてわかりきってるわよ。多分、その要件は被ってると思うけど、あんたらと違って心配してるから来たのよ」
「お、おう」
「じゃあ、ね」
「失礼しましたぁ」
煉たちはほうけ顔で、狐白は理解が及ばず、抵抗もしないまま連れ去られていった。
残された教室は、まるで嵐が過ぎ去ったなのような感覚が籠もるばかりであった。
=☆☆=☆☆=☆☆=
場所は変わったが、言うて隣の教室ってだけであまり違いはない。ただ、あの三人がいないだけでこうも空気が良くなるものなのだろうか。
「あからさまに表情が変わったわね。それほどまでに煉達が嫌いなの?」
「どうでしょう。大介さんは幾分かましに思えてきましたが、その他二人は未だ苦手ですかね」
「なんかぁわかるきがする。ちょっとぉ顔が怖いですけど優しい人だからねぇ」
「そんで、わざわざその三人と引き離してまで何を聞きたいのでしょうか?」
少なくとも心当たりはあった、というより覚えがある。
わざわざ直接会いにまで来るとは思わなかったが、あの出来事を目の当たりにしてじっとしているわけにはいかなくなったのだろう。
「ねえ、あの白霊狐の噂聞いてるかしら?」
「発狂し、スキルが暴発し、その衝撃でアルケミな大図書館で隠し扉を発掘した」
「予想以上に情報を得るのが早いのね」
「それでぇ、私達もその場に居合わせたんだけど。明らかに様子がおかしかったのぉ。だからなんでああなっちゃったのか知らないかぁ聞きたいのよぉ」
「……何を思って、あるいは見て、発狂してしまったのか心当たりはありません。隠し扉を発掘した件についてはたまたまらしいですが」
あたかも他人事のように話すのは慣れないものだ。ただし、この言葉に一切の嘘はない。自身の事であるにもかかわらず、心当たりなんて思い浮かばなかった。
それでも、彼女たちの聞きたい言葉ではないのは当然であろう。失望の感情が微かに漂ってくる。
「今回は本当に知らなかっただけですが、もし知ってたとしても話すことはできません。ただでさえ噂になるほどのヒステリーを起こしたんですから、それ相応の事情があるはずなんです。おいそれと他人に言いふらせる事柄ではないはずですよ」
「あ、えっとそれは……」
「まあ、とにかく。これ以上は詮索しない方がいいと思いますよ」
「……わかったメェ」
怒りっぽい、負けず嫌いと、あまりいい性格をしていない狐白にとって。失望という感情も何かと気に障る。だから少し反発してしまうのだが、強く言い過ぎたなと後悔するまでが一連の流れである。
感情が視えるのは彼にとってメリットではなく呪いだ。うまく活用もできなければ、勝手に鬱になって人間不信にもなる。そんな現実を突きつけられるた、びもやもやとした感情が胸を締め付ける。
「すみません、初対面なのに強く言い過ぎましたね」
「いえ、こっちも考えが足りなかったわ。それでも長文を離す狐白君は珍しいから、こっちからすれば得だったかもね」
「君付け……その呼び方で違和感を覚えるなんて。いや、そうじゃない。珍しいとか得だとかって、どういうことなんですか」
「あー、この際言っても問題ないか。狐白君が可愛らしいものだから、一部界隈でファンがいるのよ」
「………は?」
冗談を言っているようには見えなかった。むしろ嘘であってほしかった。
時間は少しばかり経過し、登校してきた生徒も増えてきた。その中でいくつか視線を向けている者もしばしば見えた。抱いている感情こそばらばらだが、そのほとんどが好意に近く感じられた。
「やっぱり気づいてなかったか。あまり近寄りがたい雰囲気を出してるから慣れ合うことはないけど、結構皆から好かれてるんだよ」
「………むず痒い」
「おりょ、もしかして照れてるメェ?」
本人にとっては衝撃の事実であり、微笑む皆にとっては周知の事実のようだ。この雰囲気は決して嫌いではないが、慣れてないからか、どうも好きになれない。
「……いつから、こんな空気になってたんですか」
「君が転校してきてまだ間もないころだと思うよ。何ならきっかけは転入してくる前だね」
「どこまでさかのぼるんですか」
困惑する狐白に、沙羅は微笑み事の事情を語ってくれた。
あまり人を『視ない』ようにしてたせいで、その心に抱く好意に気づけなかった狐白君。気づけなかった分まで分顔を赤らめることでしょう。(*´з`)




