112 金霊による突撃訪問
一度自信を無くすと数日ほど、知能とモチベが著しく低下します。そのせいか専従の投稿が疎かになりました。申し訳ありません。
気が付いた時には、最近なじみ始めたギルドの一室で寝ていたようだった。
自分が目を覚ましたことに安堵する者や、いまだ泣いている人物も見受けられる。ただ少し異質で気になる風景も視界にちらつく。修復されたはずの屋根が再び風通しが良くなり、自身の白い尻尾とは別に金色の尻尾がいくつか揺れて見える。
「もう、心配したよ……」
極めつけは耳元で囁かれる優しい声。
意識が覚醒して早々、こうも喜べばいいのか呆れればいいのか迷う事態に陥っている。
「なんというか、わざわざありがとうございます」
迫られる二択に対して狐影は、素直に喜ぶ方を選択した。屋根なんて双子が使役するトレントさえいればいくらでも修正可能なのだから。とはいえ、白き石肌の建物が並ぶこの町にとっては希少とも言える木造建築なのだから、大事にしてほしいのが本音である。
「えっと、とりあえず状況を……あれからどのぐらい時間が経ちましたか」
「いうほど時間は経ってないヨ。ホムラがダイナミックに起してくれたからカナ?」
「あ、そこはジェフリーさんが追及するのですね」
「あ、えっと……弁償するべきかな、あれ」
「直す分には無料ですから、うちの場合」
「そういうものなのね」
「でも壊さないでください」
何故だかシリアスな雰囲気は、はたまた盛り上がる場面など、こうした会話でいつも崩れ去っているかがする。そのせいもあって、お互いに聞きたいことがあるはずなのに言い出せないでいる。
いつも通りなのは、いつだって楽観的なあのジェフリーぐらいだろう。
「とりあえず、どうしましょうか。何があったか流石に話すべきですよね」
「話すべき!こっちは心配っだったんだよ」
「そうそう!隠すのなんて許さない」
「食い気味ですね。でも悪いのですが、自分にも何があったのか良く分かってないんです」
「あれだけ暴れたのに記憶が無いメェ!?」
「暴れたって自覚はないですがね。なのに、ちょっとしたきっかけで何か恐怖が湧き上がって来たような感覚が襲ってきて。まるで、何か失うような」
きっかけとは、以前船でクロムとノアルと出会った時の話。ノアルがあふれんばかりの怒りをこの目に焼き付けてくれた日のことだ。だがそれはきっかけに過ぎない。もっと別の、見知らぬ恐怖がフラッシュバックしてきた感覚だった。
しかし、何かのトラウマであるなら当時に同じく発狂しなかったのが不自然であり、そのトラウマにだって心当たりが無い。自分自身理解に苦しんでいる。
「しっかしねぇ、ミラちゃんが冷静に転移で運んできてくれたからよかったものの、ダンジョン内で気絶だなんて正気の沙汰じゃないよ。精神状態に異常があるなら休むべきだよ」
「いえ、そんなことは無いです。迷惑をかけてしまいましたが……」
「自覚が無いのが余計達悪いんだよ、まったく!こっちは心配してやってんのに無理すんじゃないよ」
「……すみませんホーさん、多分まだ冷静になれてないですようです」
「でも、あまり気を落とすんじゃないよ」
「……はい」
心配してくれることには素直に喜びを抱くが、なんとも複雑な気持ちは拭えない。何とも言えない心地悪さが胸を締め付けてくる。
「そうだよ、安心していいんだよ。お姉さんが付いてるから」
「自分には姉はいませんよ」
「いいじゃない、似たようなもんだし」
「いつからこんなに親近的になったのですか」
「確かに、はたから見れば姉妹にしか見えないメェ」
そんな会話でみんなは笑った。自分もクスリと笑みを浮かべた。
ただもし目の前に鏡があるのなら、そこに映る人影には不安の感情がにじみ出していることであろう。
せめてこの和やかな空気が消えうせる前に、ログアウトし休むことにした。
=☆☆=・ω・ `=☆☆=
休み明け、日が昇り切るより前に目が見開く。
起床し、顔を洗い、焼いたパンにジャムを塗って頬張り、歯を磨く。そしてパソコンを開きネットニュースを一覧する。
いつもと変わらぬ朝の流れ。ただし、不安は今も尚続いていた。
小説を書く際、いつも背水の陣を作っています。故意です。




