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ゲームは狐と共にあり  作者: フィング
第5章 変わる変わるその色は
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109 図書の霊障

 なんかまだ自信を持てませんが、流石にそろそろ本編へ行かなければ番外編ネタすら尽きるので。どうぞ温かい目で見ていってください。

 ダンジョンの一種であるアルケミナ大図書館は、多くのプレーヤーにとって重宝されている。そこで入手できるアイテム『魔術書の端切れ』を合成することでランダムな魔術スキルを習得するアイテムに合成が可能なのだ。中には職業(ジョブ)に関わらず使用可能な魔法も存在するため、ありえない形で魔法戦士が誕生するのも珍しい話ではない。


 とはいえ、扱える魔法スキルが多ければ多様性が増し、強くなれることには変わりない。新たなる力を求めて今日も多くのプレーヤーが集うのだった。


「サモン、ソウルゲッター・フィリス」


「サモン、ソウルイーター・トーチ」


 二メートルに及ぶ西洋人形のフィリスと、その手のランタンに宿る炎の獣ことトーチ。この二体が湧き出るようにして襲ってくる霊を片っ端から捕らえて退治していく。


「みるみるランタンに幽霊が吸い込まれていって、変な炎に焼き……いや食べてるのかしらあれ」


「見てるこっちからすれば爽快な眺めだメェ」


「なんというか、相性のいいモンスターを選ぶのは効率を考えたゆえの選択であって、ステータスでいうなら何を選んだって無双しますよ。そういう意味では最強格のプレーヤーなんですよね」


「奥義だって持ってるしその通りよね。むしろ今までその名前を聞かなかったのが不思議なくらいだわ」


「そういう狐影は何してるメ。本読んでるメ?」


「そうです。図書館に来てやることと言えば本を読むに限ります」


「一応ここダンジョンだメェ…」


「メービィーさんの結界があるので大丈夫ですよ」


 戦う双子を他所に狐影はいくつかの本を積み重ねていた。それをいつの日かに身に着けていた速読技術で次々読破する。騎士団の二人はその様子をただ茫然と眺めている。


「その本を読む速さもそうだけど、何よりその文字って理解できるの?」


「どういうことですか」


「どうもこうも、ゲームオリジナル言語じゃないそれ。普段は翻訳された文字が浮き出てくるから読めるのだけど、ここの本は読もうにも翻訳が適応されないらしいからね」


「翻訳、いつからかそんなのを目にしなくなりませんでしたね」


「うそ、それでよくゲームを謳歌できてるメぇ~ね。看板に掘られた物からステータス画面にまであらゆる文字がオリジナル言語で構成されてるメェ。それらも全部、素で読めてるメ!?」


「自分のステータス画面は数日前に消えて……いや、いいや。そういう翻訳スキルがあるのですよ」


 今となっては無意識に文字を読んでいたため意識していなかった。むしろそれがゲーム特有の恩恵だと思っていた。

 だがそれもおかしな話で、ホームページに掲示されている中に、そのオリジナル言語が背景に描かれたりしたがそれでさえ読めている。ゲーム内に関わらずその言語を読めていたということだ。


「まあ、物好きが好きで翻訳を頑張ってるけど、それでも全部読めてないそうよ。でも全て読めるっていうなら興味があるわ。スキルっていうなら私も習得できるかしら?」


「それは……どうでしょう」


 適当なこと言わなければと少し顔をしかめた。

 それはスキルでも魔法でもないのだから、習得できるはずがないのだ。


 とりあえず手元の本を使って読み方の教授はするが如何せん適当になってしまう。この本に並ぶ文字を習ったことも、なんなら書いたことだって無いのだから。


 たしかこの文字を読めるようになったのは、例の池での発見がきっかけだった。不思議な宝石がこの手に模様を刻んだ日から、共通語の方は翻訳なしで読めてた気がする。


 そして、翻訳不可能とまで言われていた古代語でさえも。


「これは、魔法生物の調査記録という題名の本です。魔法生物というと、無機物からできたゴーレムや魔力またはマナから肉体が構成されてた精霊や妖精の類の事らしいです」


「なるほど、絵も一緒に書かれてるから分かりやすいな」


「ここの文章が、いわゆる個体値とかステータスみたいなのか表記されています。数字では表されてないですね。日本でいう松竹梅に似た感じで位が定められているようです。大体は……」


「調査記録っていうよりも、図鑑に見えるメェね」


「多分それも兼ねて書かれてるようですね。ただ他にも、ここら辺に体験談だったり張り込みで観察した記録ってのも見られます。だから、相当アクティブな筆者だったのだと思います」


「そうか、これだけ本が大量にもかかわらず相当凝った作り。本当に運営が……いや人が作ったのかしら。最近だとNPCからも感受性が生まれてきているし、AI独自で作成させた代物ともとらえられるわね」


「ミラさんミラさん。脱線していますよ」


「あらごめん。ところでここは何て読むの?」


「ここは……なんで文章の中間部を」


「え?いやここだけが分からなくって……あれ?」


「ミラちゃんもしかして読めため!?」


「ちょっとステータスを確認させてちょうだい」


 ステータス画面を開いたミラは、その場で飛びあがり喜んでる様子だった。そのあふれる感情もメキメキと伝わってくる。


「ねえねえ狐影、私読めるようになってたよ。スキルではなかったけど、言語習得率27%って追加されていたわ」


「そうですか。ちなみにステータス画面の文字は普通に読めるのですか?」


「あ、えっと。翻訳表示はされなくなったけどステータスについては全部読めるわね。本を読む限り本当に全部読めるわけではないらしいけど」


「そうですか。ゲームに支障が出てなくてよかった。てうか、本当に習得できるんだ」


 これを、英語の習得に活用できればいいものだと思える。それであればあのテストもクラス最低点なんて取るはずないにだから。


 そんな半分夢物語を連想しながらも言語の習得を手伝い続けた。


「ちなみに、それは私も覚えられるメェ?」


「メーちゃんは頑張り屋だけど、すぐ集中力切らして頭から煙吹くからね。覚えられるだろうか」


「それは言わないでほしかったメェ!?」


「いやもうそれは知っていますよ。騎士団が無くなった日とか恥じらいもなく」


「え?」


 そうして、白い羊の肌が赤く染まりうずくまるのだった。言わない方が良かったかと、狐影自身も頭を抱えてしまった。

 われ思う、メービィー可愛い。

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