108 気ままな羊
なんやかんや投稿まで二週間も開けてしまい申し訳ありませんでした。しかし、テスト週間が始まるためまた来週の投稿が疎かになるかもしれません。
ですので、その間は別の小説を読んで待っててください。風の鳴る頃とかお勧めですよ(宣伝)
長かった戦いが終わった後は、何事もなかったような日常が戻って来た。
だがそれは戦場となったスラムでの話であって、世間では青空騎士団が壊滅したことにより大騒ぎである。しかもそれが、ギルド駒狐を筆頭としたスラムに住まうメンバーによるものだと言われている。
ある者は、青空騎士団を上回る実力者に興味を抱き、ある者は、治安維持の象徴であったギルドが無くなったことで不安を積もらせているであろう。
ただそんなことはよそ目に、狐影はゲームにログインした。先ほども申したようにスラムはいつも通りの賑わいを見せていた。無論ギルド駒狐だってそうだ。
「こんにちわです、皆さん」
「あ、狐ちゃんお帰り~」
「あ、狐ちゃん元気~」
「お邪魔してるメェ~」
クロムとノアルによる子供ながらの元気で純粋な挨拶はその日の疲れをいやしてくれるようだった。
しかし、類稀なる違和感は拭えなかった。
「その元騎士団が一人であるメービィーさんはなぜうちのギルドに?」
「この双子の子たちに拉致されてきたんだメェ……」
「違うよ、テイムしてきたんだよ!」
「そうだよ、モフモフを逃すわけがない!」
そのメービィーをモフモフする手は絶やさず、おめかしや飾り付けをする様子はまるで人形遊びだ。
よくよく見れば、壁際でジェフリーと会話するアーラの姿や、扉の先でホーと何かを調合するリードの姿もある。
拉致されて来たと言ってはいたが、どうもそれだけの理由ではなさそうだ。
「他にも元騎士団の方々がいらっしゃるようですが、まさか彼らも拉致してきた訳ありませんよね?」
「他の人は知らないよ」
「気がついたらいたよ」
「えっとぉ、私達騎士団もとい干支軍の半数はこちらで匿ってくれると聞いたメェ〜」
「………」
狐影は何かを察したかのように、ギルドグループ内の通達チャットを表示する。そこには案の定ソーラからの通知が少し前に送られていた。
『騎士団がある程度復興するまでの間、うちの主力メンバーがそこいらのギルドに勧誘されないようそちらで匿っておいてほしい。臨時メンバーとしてこき使っていいもから、了承してくれないだろうか?』
いろいろ質問を返したい内容であるが、その依頼に対してすでに返事がされていた。
『イイヨイイヨー大歓迎!』
一応狐影がこのギルド狛狐のリーダーなのだが、こういった決定権はジェフリーが持っているようだ。後で問い詰めに行くとしよう。
「状況は把握しました。しかし、良かったのですか?うちじゃなくても良識のあるギルドはあるはずでしょうに」
「匿いやすそうな地形に存在するギルドといえばここが適切みたいだメェ~」
「なるほど」
「それに狐h……関わる人間を選びがちな白夜さんが気を許した相手なら信用していいとかなんとか……あ、メー」
「本名言いかけたし、語尾忘れかけたし、ブレブレですよ。でもまあ、ソーラがそんなふうに思っていたとは」
なんとも、人間観察がうまいことだ。
実際に感情が視える者にとって、内に秘めた裏の顔まで垣間見えてしまうのだから人間不信になりがちだ。逆に信頼できる人物の判別ですら容易だ。
ただしジェフリーといった常時無情などの例外は除く。
「こんな場所でいいならこちらは構いません」
「ありがたい限りだメェ」
ギルドとしても人数が増えるということはメリットが増えるということ。それが優れた人材ならなおさらだ。それならばと、今度探索に向かう予定のダンジョンの資料を提示する。
「なら今度の休日に『アルケミナ大図書館』を探索しに行くのですが一緒にどうですか?」
「フリーなので行けるメェ」
「ノアルも行く!」
「クロムも向う!」
「テイマーの二人がいてくれるのなら、最小限の人数でも良さそうですね」
「確か魔術スクロールが手に入るダンジョンだメェ。懐かしいメ」
「そうでしたか。どんな感じだったか教えてくれますか?」
普段オドオドしがちの彼女だが、意外にも会話好きなようで、ウキウキとしながら語り始めた。
「あそこは武器を出さなければ攻撃されない中立ダンジョンだメェ。リル・ゴースやポルターがメェ〜っちゃ出現するけど、たまに強いミル・レイスが出てきて大変メェ」
「ミル・レイスですか。なんか知らないモンスターの名前が出てきた」
「見えないし気づくと背後にいるし、攻撃がほとんどすり抜けるってのに倒しても何も落とさないハズレモンスターと皆呼んでるメェ」
「大変だったのですね、本当に……」
「レイス凄いね、テイムしたい」
「いいねいいね、テイムしよ」
「できるんだ、テイム」
こうして、双子と羊を連れてアルケミナ大図書館へ向かうことが決定した。
だだし、今回ばかりは何事もなく目的を果たせることを願うばかりだ。
=☆☆=☆☆=☆☆=
あれから数日が経った土曜の休日。皆は例の大図書館前で集合していた。
「みんな来たようだメェね」
「そうなんだけど、他に同行したいって方がもう一人来る予定で……」
「だれメェ?」
「私よ。遅れてごめんね、転移できるとはいえ街から遠いから予定管理が甘かったわ」
魔法陣と共に出現した可憐なる少女。元青空騎士団の精鋭にして類を見ない転移術師であるフォーミラだ。彼女もまた、ギルド駒狐の臨時メンバーとして匿われている身なんだそうだ。
「ミラちゃん!久しぶりだよ〜」
「ちょっとこんな所でひっつかな……なんか毛並みが高級感あふれるベット並なんだけど」
「「私達が手入れしました」」
「凄いな、これだけ変わるなんて。正直今までがゴワゴワだったからね」
「メェッ!?ヒドイ」
「むしろそれが所以で羊になったんでしょうに」
「そうだったかメェ?」
「思った以上に仲がいいようですね。信頼度がカンストまで達した人の抱く感情だこれ」
改めて全員が揃った。異色なメンツではあるが、予想よりもいい連携がとれそうな気がする。
今更ながら、久しぶりにゲームじみたことができて嬉しいのは内緒だ。
テストが終わった後に投稿すると思います。失踪ではないので何卒ご理解お願いします。




