107 落ちぶれる青空
投稿する日ですが、別作品に手を出す過程で週二日投稿が難しい気がしてきました。なので投稿する際は、この月曜日になると思われます。
何の変哲もない朝。夏は過ぎ去り、涼しい風と共に紅葉した葉が舞う。
人によっては気分の良い朝だと口にするかもしれない。そんな中、狐白は教室の戸を開けた。
早い時間だからこそ、どこの教室もほとんどすっからかんだで、恐らく一番乗りだろう。
「誰もいないっていいな、気が楽で」
「………っ…」
「ん?」
「ぉ…はよ…狐白…ちゃん」
「……煉?」
前言撤廃。この教室には煉を含む大介と巧弥の三人がいた。真っ白く今にも灰になりそうな姿で。
「どこぞのプロレスラーの最後みたいになってますがどうしたんですか。まあ、噂程度の心当たりならありますが」
「情報が速いね狐白ちゃん。噂通り、うちの青空騎士団が壊滅したのさ。各地に点在する支部はそれぞれのギルドとして独立してしまったし、名声は失ってしまったし、干支軍も解散してしまったし」
「まって、干支軍も解散したんですか?」
「本部は跡形も無くなっちゃったからね。そこに所属していたプレイヤーは今フリーだよ。気が早いやつだともう別の中規模ギルドとかに加入しちゃってるし、勧誘も多いみたいで」
「それは大変ですね。メービィーなんて覚醒したばっかりなのに」
「ホントに情報速いな。狐影から聞いたのか?」
「あ…そうですね」
白霊狐としての正体があらわとなり、その噂も広まりつつある。とは言え、狐影と白夜はいまだ別人としての見解のままだ。
狐白と白夜、狐影と白霊狐がそれぞれイコールとなっている状況だ。今更ながら、隠し続ける必要があるのかと疑問に思うところもあるが、それでもやはり複雑な心情が躊躇を呼ぶ。
「あ、そうだ。狐影から聞いたんだが、ぺらぺらと僕の個人情報を話してくれたそうじゃないか」
「愚痴って何が悪い」
「問題はそこじゃない。家族どおしの職業柄の話で衝撃の事実を聞いたんだが、お前の父親がうちの祖父とと同じ研究所の同僚だった……は、本当なのか?」
「本当ですね。覚えてないですが幼少の頃にその研究所を見学したこともありました」
「今は何してんだ?」
「今は医療技術専門部署とかいう場所で働いています。あのIISとかいう技術を開発した部門のとこですね」
「祖父の会社に技術提供してくれたとこじゃん!」
「まあ、そういうことらしいですね」
今までこの事実をさらすつもりはなかった。しかし、白から青ざめるほどにはいい反応を見せてくれた。これだけ効果があるのであればもっと早く牽制に使っていれば、今まで我慢して過ごすこともなかっただろう。
「やべぇ、今後変にいじれねぇぞこれ」
「いじらないでください。てかいつから起きたんですか巧弥」
「ずっと寝てたみたいに言わないでくれよ。その目は節穴のそれか?」
「……やっぱ疲れる。ほんとばかばかしい」
「まあ確かに、この空いた時間を有意義に使っていかないとな。今後はどうゲーム生活を送るか計画しなければな」
「頑張ってください。あ、自分はトイレに行ってきますので」
「別に報告はいらんだろ」
「過去に教室から出してくれなかった嫌がらせを忘れましたか?理由を説明しないと出さなーいって言ってた」
「あ…狐白の転校当初にやったっけなそれ」
「では、頑張ってください」
このトイレへ行くは嘘の口実で、毎度ながら彼らと共にいると疲れるというのが本心だ。
そうして出ていった矢先、隣の教室に目が行った。
「あれ、メービィーじゃね?あと、確かフォーミラさん?」
メービィーと思われる方は机に向かって突っ伏しているが、その反面隠しきれない耳が赤く染まっていた。その横でなだめる背の高いキリッとした女性がフォーミラであろう。
姿はゲーム内のそれとは違ったが、なんとなく感情の出方が似ていた故に、確証がもてた。
そこでなんとなく思う。世界は狭いなと。




