106 戦の後始末
結局あんまり書きダメが作れなかったっぜ、わっしょい!(^^)!
青空騎士団によるスラム進行で、一部は焼け野原となり崩れた建物も複数存在した。とはいえ、元は廃墟が連なる地域であったがために街そのものの損害は少ないものだろう。強いて言うなら、後始末をするプレイヤー達が報われないことだろうか。
「いやーすまないな。職業柄君たちの手助けはできないんだ。腐肉の処理ならするがそれ以外は任せるよ」
「勝手に攻めてきて中途半端に終わらせて何が手助けできんだ!?ほんと何しに来たんだ」
「ここアルデンは実質的に僕たち騎士団が収めてるが、この土地はずっとフリーだった。ここ勝ち取れれば経済力も増すしNPCへの貢献度が上がるから攻め落とす価値はあったんだけどね」
「くぅ……っ」
「それと、この土地は今後狛狐のメンバーに統治してもらうよ。文句はあるだろうが、僕達だって犯罪集団を認めたわけではなからね。だから悪魔で善良なプレイヤーである彼らに収めてもらうよ」
「それが、お前らから出す条件ってか?」
「そうさ。基本ここスラムで独自のルールを持って生活すればいい。だがこの場所以外での犯罪行為は当然制裁を与える対象だからな」
「はぁ……わかったよ、ここの実力者代表として了承しとくよ」
「もう狛狐が了承してるよ船長さん」
「話が早すぎるってばよ!」
こうして軽く説明を済ませたソーラは、とある場所へ向かった。一部屋根が欠けたギルド狛狐だ。少なからずこの建物も被害を受けていたようだ。
しかし、戸をくぐればそこはお祭り騒ぎ。騎士団と狛狐のメンバーが揃って打ち上げをしているのだ。
「ホントに自由なメンバーだね。敵同士だった筈なんだがね狐影……それとも白霊狐なのかな?」
「自由すぎるってのは同意見です。よくこうも仲良くできるなって自分も思います。それと、白霊狐かって言われたら半分正解ですかね。今はもう白霊狐ではないですから」
「なるほどね。詳しく聞きたいところだが、こうやって楽しんでる間は控えとくよ」
「お気遣いありがとうございます」
ここでソーラもコップを取り、お酒……ではなくチコの実のジュースを口に通す。甘酸っぱく、後味のスッキリしたいゲーム特有の味だ。
「ところで、前から思っていたのだがそのかさばる尻尾は邪魔じゃないいのか」
「しまうと双子がなえるので当分このままでしょう」
「その双子は?」
「あそこにいるメービィーさんに取り付いています」
「見事なまでに懐かれたね」
あのメービィーは今回の戦いで覚醒し奥義も会得した。青空騎士団にとって嬉しいことではあるだろうし、今後の待遇が改善されてゆくだろう。それで心の奥底に隠れた不安が取り除ければいいが。
「あんなに楽しそうにしてるメービィーは初めて見る。きっと何かのきっかけで自信がついたんだろうな。これなら皆もその実力を認めてくれるだろううし、不安も減るといいが」
心を見透かされたかのような発言に肝を冷やす。だが、ソーラに目をやれば自身と同じくメービィーに心配の念を向けていた。
今までソーラに……煉には良い印象を持ってなかったが、仲間思いでかつ不器用なんだと理解できた。
「君の仲間たちはホントに凄いよ。干支軍に匹敵する力を持ち、ドラゴンを圧倒する狐がいて、うちの鳴き羊を手懐けるテイマーもいる。何ならその羊が引き抜かれそうな雰囲気だよ」
「流石にそんな迷惑はかけれませんよ」
「僕だってそんなことは許さないさ。でも最終的に決めるのはメービィー自身だ」
「なんか今までのイメージが改変されていきますね。思ったより仲間思いで、気遣いができてる気がしますし」
「気遣いは気がする程度に留まるとは、厳しいものだな。ちなみに前までの評価はどんなもので?」
「女たらしで、口調が変で、ホムラさんと仲が悪く、女たらしで、あなたが設立したギルドの闇をいくつか耳にし、今回のようにことあることで突っかかってくる始末。女たらしなのに真っ向からでは勝てないセンスとスキルを持っており、小細工なしでは立ち向かえない相手であるのが余計にむかつきます。それに、このゲームを運営するリアルライト社長の孫であり、それが所以でβテスターとなった。そのことを自b……白夜に自慢してウザがられたと。あと女たらし」
長々と話す中、ソーラは耳に手でフタをすることで言葉の嵐を乗り切っていた。それでもどこか浮かない顔と、少しの怒りを積もらせていた。
「耳が痛くなる話だ。腫れて赤くタコになりそうなぐらいには。てか、何故僕の家庭環境を知っているんだ」
白霊狐の周辺を今は探らない。しかし、他人に自身の周辺情報を知られているとなると流石に無視できないのだろう。
「白夜から聞いたことですが、金谷鹿季という知り合いの息子が現在通う中学校にいるらしい、と父から聞いた……だそうです。その息子というのがここで言うソーラで、鹿季はゲーム運営者のいわゆる筆頭でしたよね」
「え……アイツの父って何者なんだよ?」
少しの怒りは疑問へと移り変わり、考え込むソーラ。そんなこと構わず、狐影はイタズラに話を勧めた。
「白崎狐白の父親は白崎優原っていう人で、君の祖父さんと過去に研究を共にする仲間だったそうですよ」
「なっ……え!?」
「今こそ職場が違うようですが、共に技術革命の中心人物だったそうですね」
「ただの知り合いに他者の個人情報をべらべら話された事実には驚いたが、それ以前にアイツの親が同じ大物だったなんて」
「そんなあなたのことをよくグチって来ましたね。彼は他人の心境を読み取るのが上手であるが故に、他人との接触を嫌うんですよ。小さい頃は心を読む不気味な子だって近所からも友達からも嫌われた過去があるのに平気で突っかかってくる君たちが嫌いだと…っ」
「なぁ…っと、ちょっと待てよ、そんな暴走するなって。周りを見ろ」
「周り、あ……」
いつの間にか、感情的に叫ぶ狐影を皆は注目していた。騒がしくしてた皆は静まり返り、心からの叫びを聞いていたのだ。
「すみ…ません、楽しんでる時に。ソーラだって気遣いができていたってのに」
「おい、それは余計だろ」
「……なるほどネぇ~」
「はぁ…なんか一気に冷めちったねぇ。今日はもうお開きにしようか皆」
「片付け手伝う~」
「私も手伝う~」
「ありがとよ二人とも」
「ごちそうになったよホー。てかあの料理を私達にも振舞って本当に良かったのかよ」
「アーラの口に合ってよかったよ。でも料理の材料に関しては、アタシがバックレる前に騎士団からくすねたものだから問題ないさ」
「なんだ、それなら大丈夫だな」
「いや、問題大ありメェぇ!」
なんやかんや皆で後片づけを進めていった。リアルでは夜遅くになっているだろし、良いころ合いだろう。それでも、外のがれき撤去は結局終らず明日に持ち越しただとか。
=☆☆=☆☆=☆☆=
料理を片付け、ついでに屋根も直し、騎士団はそろって帰るところだった。
「じゃあ元気で。良ければまた訪れるとするよ」
「できる限り来ないことをお勧めしますよ」
「さて、ギルドに着いてから解散ってことで、ミラちゃん転移を[ピロンッ]っとメールだ。先に帰ってったグリコからだ」
「アイツもう帰っていたんですね」
「なんか居づらくなったそうで……どうしたグリコ」
『まず、悪いニュースと悪いニュースどっちから聞きたい?』
「変な振りはいいからなんだ」
『あー、今から突拍子の無いこと言うけど驚くなよ。うちのギルド本部が煙挙げて壊滅してらー』
「は?……は?」
『だーかーら、壊滅してるんだよ。しかも、壊滅させた人物があの……』
「まじ…かい…」
「なあ、そんな世界の終わりみたいな顔してどうしたんだソーラ」
そう、心なしか魂が抜けたかのような表情をかかげるソーラに皆は息をのんだ。そして、残った力を振り絞るように彼は答えた。
「ギルド本部が…青空騎士団が、クラリス・ラットの謀反により壊滅したとの…こと」
クラリス・ラット。その者の名を聞き皆は唖然とするのだった。
次回、多分ソーラ号泣




