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ゲームは狐と共にあり  作者: フィング
第4章みんな個性豊か
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104 何の意識

 あけま、オメです

 2022年もどうぞよろしくおねがいします。

 遅くも、今この場にい居る精鋭達が武器を手に取った。

 それぞれペアを組み、あの腐れキメラを一体ずつ討伐していった。


「くらいやがれ!ミルボム!」


「囮とは言え、我を巻き込もうとするなアーラ。鬱陶しいぞ」


 馬を追うも追いつくことは無く、兎の起こす業火によって焼かれ爆散する。


「ぜったい、その腐れキメラを近づけないでね田中」


「そっちこそ、うち漏らすなよリース。それで死ぬの俺なんだから」


 飛び回るサルに気を散らせば、鳥によって貫かれる。


「バルーン…バルーン…どんどん増えるヨバルーン」


「そんなに増やしてどうするのさジェフリー」


「こうするのサ…ちょっと離れててネ騎士団長さん」


 神速の騎士が導くは、爆発する風船の中へと。


「どんどん降らしてちょうだいなミラ」


「分かってるわよ。ほら、トラップの追加も早く」


 突然現る小さな機械は、その巨体を足元から脳天まで貫く。


「キメラにしては雑なつくりだね」


「私たちの方が上手だよね」


「よーし、連れて来たぞお前ら」


「「サモン、ミート・イーター!」」


「うわ、でっか!」


 腐った肉は突如として現る大型のワニに食された。


 グリコの奥義によりスラムを絶望に染めると思われたが、実際はあっけのないものだった。

 何より、メービィーによる強化が良い結果へと導いてくれてるのだ。


「あー、あー僕のアンデット共がいとも簡単に…」


「ホント、あっけないですね」


「君は…狐影ちゃんは行かなくてよかったのかい?」


「行ったところでペアもいませんし、僕一人であの巨体を倒す手段もありません」


「我々と対等に戦っておいてよく言うよ君」


「自分の強みはクリティカルを連続で繰り出して戦うこと。そのために不意打ちや弱点への攻撃を狙うのですが、あんな形も不規則でかつ見ている方向も何も分からない物体に通用しません」


「フーン…なら、出番はもうすぐかもね」


「…やっぱりまだ隠してるのですね」


 腐っても奥義は奥義、底知れぬ力を抱えるスキルだ。その内容を知るものは現時点でグリコただ一人。それでもって、彼は奥義の詳細を頑なに話そうとしなかった。


 そういうこともあり、狐影は見張りという役目を受け持っていた。


「で、あと何が起こりますか?」


「最後の最後に、今まで討伐した中で最強のモンスターが顕現されるのさ。ほんとに追い詰められたときにしか出てこないけど、そいつを倒したら早く奥義が解けるよ」


「モンスターを模したゾンビが出てくると…過去に倒した相手ならある程度予想が付くのでは?」


「それを答えろと?」


「答えろ」


 ピりついた空気が二人を囲う。皆に迷惑をかけている自覚はある様だが、どうにも頑固な性格に逆らえないようだ。何より、この状況を楽しんでやがる。


「そんなに知りたいなら、せめて対等に…この体を巻くトレントを何とかしてくれ」


「それは無理…双子が許すまでそのままだよ」


「おっと、と。マジか」


「それに答えろ言ったよね。今君に拒否権はないよ」


「ウワー、キョウハクダー。運営ニ、ホウコクシナイト」


「………」


「すみません、マジで殺してきそうなその殺気を収めてください」


 やはり一度痛い目に遭わせた方がいいのではないのではなかろうか。むしろ、ここまで追い詰められたのにキャラのぶれないその胆力に関心さえしてしまう。


「…君はドラゴンの噂を信じるかい?」


 今この時、明らかな動揺表情に出たという自覚がある。

 それでもって、自身がこの一言で動揺してしまった事に違和感も覚えた。


「なんで…今その話を…」


「例の船を襲ったドラゴンかは不明だが、とある洞窟で討伐したことがあるんだ。それによって得たものこそこの奥義って裏話もある」


「待て待て、まさか……まさかアイツが倒されるなんてないよな、こんな奴に」


「なんか知ってる様子。ちょっとそちらの話も…ねえ、聞いてる?」


 得られた情報は少ないが嘘をついている様子はなかった。

 それにしてもこれほど心配で心配でいられなくなるほど、アイツに……フェルドラド思い入れがあるとは思えなかった。


 いつかまた戦おうと言った奴が討伐されたなど。考えられないが、万が一不安を煽る。


「おーい、おーい!」


「うっさい!」


「あらまびっくり、急に叫ぶなよ……ホントどうしたんだよ」


「とにかく、そのドラゴンの詳細を言え!」


「詳細も何も…あ、ちょ!後ろ」


「……っ!」


 気づかなかった、後ろから迫りくる存在に。むき出しの牙、に四枚の羽根と鋭い爪。所々傷を負い腐り黒く色あせている。


 あのフェルドラドには見えない。別人ならぬ別竜だろうか。


 なのに、湧き出るこの感情は何だ?


『お前…何してんだよ…』


 これが自分の放った声だったのか分からない。それがグリコにか、はたまた目の前のドラゴンに向けた言葉なのかも分からない。とにかく感情のこもった、心からの叫び。


 たかがNPCに、たかが機械に……ホントにそうか?


『これは…現実だ!』


 声と共に、手が熱く眩く輝いてた気がした。


 =☆☆=☆☆=☆☆=


 時は少し戻る。

 最初に違和感を感じたのは、攻撃の通りが悪いとさ感じてからだ。


「くそ、爆弾一個で倒せなくなってきやがった」


「こっちの矢も、急に命中率が下がってきた」


「トラップも踏まない、てか発動しない」


「オカシイネーフシギダネー、これがグリコの言う耐性高価なのかな?」


「そうだとすると、まずくないか」


「こ、ここここっちのバフも、羊たちも、効果が無くなってきてるメェェェ!」


 ここに来て、苦戦を強いられるようになってきた。まだ、こちらの消耗は少ないが時間の問題だろう。

 使いずらい割には質の悪い代物だとつくづく思う。


「なあソーラ、ここはあのデカいのをいっぺんに駆逐しねぇか」


「同感だね、僕もその方がいいと薄々…みんな、田中の言った通り一か所に集めて討伐をするぞ」


 作戦変更からの動きは、予想よりも早いものだった。動ける者たちはできるだけ多くの腐れキメラをあのアーラが作った焼け野原に集めた。


 そして、今出せる最大火力をぶつけてやった。


「よーし!いい気味だぜ」


「言っとくがここでフラグは立てんじゃねえぞ」


「あの実は倒せてない的なアレ?」


「いやいや、今までの傾向から倒せてるだろ」


「ちょいちょいダンテサーン、わざわざ注意を跳ねのけてまで言わなくともネェ」


「だって、それは都市伝説のようなものだろ…」


「あれ、でも倒しきれて無くね?」


「………」


「フラグはネ…ことあるごとに責められる対象になるから、建てる物じゃないのヨ」


「…あれって、ブレイブ・ドラゴン」


「だよねだよね、何でいるの!?」


「なに、ドラゴンだと!」


 倒しきれなかった、それだけならまだよかったであろう。しかし、残った肉片が再びその身を構築し、むき出しの牙、に四枚の羽根と鋭い爪。所々傷を負い腐り黒く色あせた鱗を持つドラゴンを形成した。


「あれは、ギルド総出で討伐した奴じゃないか。これまた厄介なものを」


「てか、ちょっと待って。こっち見てないぞ?」


「スラムの中心部でもないし…狐影がいるところじゃねえか」


 これが事の顛末である。いったい誰だろうか、グリコのそばなら襲われないと言ったのは。

次回…もうこれいるのか?

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