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第6話 -違い-

「そういえばタカって違う世界の人間で、日本語? ってのが言語なんだよね?」


 再び家に向かって歩き出した俺に、ミィアは唐突に質問してくる。


「ああ、俺の住んでた国だけの言葉だけどな」


「じゃあさ、私たちが最初に出会った時に、タカが私の顔を見て言った言葉も日本語なんだよね。あの時、なんて言ったの?」


 なんだ、そんなことか。


「ああ、あれは天shゲホッゲホッ」


 うっかり天使と言いそうになり、危うく恥ずかしい目に遭うところだった。


「テン、なに?」


「ててて、天国ってい、言ったんだよ。天国みたいなところだなって思って」


 結構苦しい言い訳だが、通用するだろうか。だが、ミィアの返事は意外なものだった。


「テンゴク? ってなに? タカのいた国の名前?」


「え? 天国ってのは、良い行いをした人間が死んだ後行く楽園のことだよ。知らないのか?」


「ううん、知らない。そんなところがあるなんて聞いたことないよ。普通死んじゃったら、それで終わりじゃないの?」


 どういうわけか、ミィアは天国を知らない様子だった。そのあと、しばらくミィアの話を聞いているうちになぜ彼女が天国を知らないのか、またも俺の世界との違いに気づいた。

 この世界には、死後の世界というものが存在しないらしい。現実にあるかないかではなく、宗教的などの意味で、人が死んだ後も魂が抜けて、精神だけが存在する。という考え方自体がこの世界にはないようだ。死後の世界の概念についてをミィアに理解させるのに一苦労したが、なんとかどういうものかは理解してもらえたようだ。


「つまり、生きてる間の行いでいいことをした人は天国に、悪いことをした人は地獄に行くってわけね。そういう考え方、考えたこともなかった……タカの世界って面白いね」


「そうか? 俺は死後の概念がない、この世界の方が面白いけど。まあミィアみたいな子供にはこういう話はちょっとむずかしかったかもな」


 俺はちょっとしたノリで、ミィアに大人アピールをする。しかし、それを聞いたミィアは気に障ったのか、耳をピンと立て大きな声を上げた。


「あー! また子供扱いしてる! さっきも子供とか言ってたよね!? 確かにタカよりは子供かもしれないけど、私も学校に通うれっきとした十六歳なんだからね!」


「はいはい、悪かったよ。でも十六歳なんて、まだ子供……」


 そこまで言うと、俺は初めてミィアの歳を知り、足が止まる。衝撃で動かなくなった俺の口から辛うじて出てきた言葉は


「へ?」


だけだった。


「ん? どうしたの?」


 急に固まった俺をみて、ミィアは心配そうに話しかけてくる。俺は驚きで開いたままの口をなんとか動かし


「いや……今、十六歳……って言ったか……?」


とミィアに再び歳を聞く。


「うん、そうだよ。今年で十七歳になるけど、それがどうかしたの?」


「いやいやいや! その身長で十六はないだろ! チビすぎるにもほどがある!」


 俺が混乱のあまり全力でミィア十六歳説を否定すると、チビと言われたのが衝撃だったのかミィアは一瞬驚き、すぐに頬を膨らませながら反論してくる。


「なっ!? チビとはなによ! これでも平均くらいはあるんだから! 大体、そんなこと言うタカは幾つだっていうの!?」


「お、俺も十六歳だけど……」


「はあ? そんな図体(ずうたい)で十六の訳ないでしょ!? サバを読むにも、限度があるでしょ。その背丈なら、少なくとも二十歳以上はするはずだよ」


 出会ってから初めて知ったお互いの年齢に、俺たちは有り得ないと互いに言い合う。だが、俺は最初こそ驚きはしたが、俺たちがどうして違うのかを知っている。そう、なぜならここは……


「そうか、俺たちの世界は違うところが多い。だから、身長の違いもその一つなんじゃないか? ちなみに俺の世界だと、十六歳って言ったら俺ぐらいの身長が普通だ」


「そっか、そうだよね。じゃあタカは本当に十六歳……なの?」


「ああ、本当だ。じゃあ、ミィアは本当に俺と同い年……なんだよな?」


「うん。見た目は全然違うけど、同じ十六歳だよ。だってここはタカにとっての……」


 そう、なぜならここは、俺にとっての“異世界”なのだから。

★ なんと! 年下と思っていたミィアちゃんが実はタカくんと同い年でした! 詳しい理由は今後、キャラクター紹介とかが出来た時に説明したいと思います。

なんだか章の終わりみたいな感じで締めくくりましたが、実はまだ一章は続きます。中ボスみたいなのが出てきたりと、今度はちゃんとしたバトルもある予定です。

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