第9話 達-
★ 後半はタカ視点です。新キャラ登場です♪ 本編へどうぞ!
さて、俺はこれからどうしたものか。なんとなく学校に来てみたはいいものの、一応部外者だし勝手に校舎をうろつくのは大丈夫なのだろうか? 下手に動いて不審者だと思われたら逮捕、なんてこともあり得るからな。さっき、ミィアに聞いておくんだった。
そんなこんなで俺は学校に来たものの、人目を避けてなんとか屋上にたどり着いていた。とりあえず今は屋上に誰もいないが、休み時間に誰か来るかもしれないので念のため見つからなさそうな塔屋の屋根の上に登った俺は、そこで横になり空を眺めている。青い空、燦然と輝く太陽を見ていると、空はどこの世界でも一緒なんだなと思う。そんな物思いに耽っていると、突然聞きなれない声が聞こえてきた。
「おや? わたしの昼寝スポットに先客がいるなんて珍しい。見たところ生徒じゃなさそうだけれど、君は誰だい? こんなところで何をしている?」
声のする方を見てみると、塔屋の縁からショートヘアの女性がひょっこりと顔をのぞかせている。垂れた耳を見るに、イヌ族だろうか。やれやれ、隠れたつもりが速攻で見つかってしまった。見た感じ制服も着てないし、生徒ではなく教師のようだ。なるべく警戒されないようにしつつ自由に見て回れるか、さりげなく聞いてみよう。
「どうも、俺はタカといいます。ミィア……さんの友達で、学校がどんなところか気になって付いてきたんですけど、彼女も授業中で案内してもらえなくて。それで、一人で歩いてたら迷子になっちゃって。気付いたら屋上に着いたので、とりあえず休憩していたところです。……あ、もしかして、屋上って立ち入り禁止でした?」
もちろん、嘘はついていない。ミィアの後を付いて来たのも、屋上に着いて休憩してたのも、全部事実だ。ただ、不審者と思われないように細かいところをさりげなく勘違いされるように言った。すると、女性は口に手を当てながら笑い出し、質問に答えてくれた。
「プッ、ハハハ! 迷子になって屋上にたどり着くなんて、どれだけ方向音痴なんだい君……なるほどタカくん、君がここにいる理由はわかった。もちろん、屋上は立ち入り禁止ではない。だが、学校に無許可で入るのは禁じられている。部外者が学校に入るには、事前に見学手続きをする必要があるんだ」
なるほど、やはり勝手に入ってはいけなかったのか。ウロチョロしなくてよかった。まあ、彼女もあまり警戒してる様子はなさそうだし、ここは素直に謝って退散するとするか。
「そうでしたか。知らなかったとはいえ、勝手に入ってしまってすいません。すぐに出ていきます」
そういうと俺は、そそくさと塔屋から降りようとする。だが、女性は依然梯子に登ったまま、俺にある提案をしてきた。
「まあ待て。悪気は無いようだし、せっかく来たのに学校を見られずに帰ってしまっては、勿体無いだろう。とはいえ、許可証無しでは校内を歩き回れないからな……わたしの客人としてなら、わたしの教室にいても問題はないだろう。ついてきたまえ。茶でも出そう。ついでに、この学校のことについても教えてあげるよ」
そういうと、女性は梯子を降りていき、俺も彼女に続いて梯子を降りる。せっかく学校に来たんだ。見て回れないのは残念だが、話だけでも聞いて行こう。
★ 次話の後半(タカ視点)は学校、延いては共通文字についての話になります。
前半(ミィア視点)はミィアちゃんについに友達が……!? さらに、あの種族がちらっと出てきます! 次話をお楽しみに!