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第0話 -日常-

★ 初めまして! 赤面(せきめん)(じん)と申します。私の処女作、「空宙の流星(ソリチュード)」最初の投稿です。

今回は話数通り、第0話ということで物語の一番初め、現実世界での出来事のみの内容となっております。

ですがご安心ください! すでに第1話も書き終えていますので、チェックが済み次第投稿する予定です。

では前置きはこのくらいに、本編へどうぞ!

────────────────────────


[K]

-ナイスファイト! もう一戦する?-



[sky]

-いや、一回休憩しよう。夜食を買いに行きたいし-



[K]

-また〜? あんまり夜中に食べると太るよ〜-


[sky]

-うっせ! 腹減ってちゃ集中できないんだよ-



[K]

-はいはいそうですかー。じゃあ30分後にまた集合ね!-


[sky]

-了解-


────────────────────────


「ふう」


 俺、宮ノ内(みやのうち) (たか)は、先ほどまで(せわ)しなく動かしていた手を止めて軽くため息を吐くと、着けていたヘッドホンを外し数時間じっとして固まった体を思い切り伸ばした。そして、席を立って軽く身支度を済ませると玄関へと向かった。


「うう、寒いなぁ……」


 コートに身を包んだ俺は玄関を開けて早々、外の寒さに身震いする。今は三月。夜の寒さはまだまだ衰えず、吐く息も白い。俺は両腕をさすりながら、トボトボとコンビニに向かって歩き始めた。


「いらっしゃいませー」


 コンビニの扉が開くと同時に、店員が俺に向かって挨拶をする。寒い夜道を歩いてきた俺は、明るい店内へ入ると暖かい空気が全身を包み、体の震えが収まるのを感じ始める。

 深夜のコンビニは客が少なくて好きだ。特に、今日は店員一人だけで他に人は誰もいない様子だった。


 孤独には二種類ある、と俺は思う。

 一つは心の孤独。周りに人がいるのに、人との関わりに怯えた者が自分の殻や部屋に閉じこもる。いわゆる引きこもりが感じることの多い感覚。かく言う俺もそんな引きこもりの一人だ。

 商品を手に取った俺はレジ前へと向かうが、俺と店員の間に孤独の壁が立ちはだかり、その壁に怯えた俺は商品をカウンターに置いて(うつむ)いてしまう。


「お会計、四百九十六円になります」


 俯いたまま、携帯で代金を払おうとポケットに手を入れるが携帯がない。しまった、家に忘れてきた……だが、ポケットから手を出そうとした時、指先に何か硬いものが触れた。なんだろうとそれをポケットから引っ張り出すとピカピカの500円玉が出てきた。ツイてるな。そう思いながら、500円玉をカルトンに置くと店員がそれを取りレジの中に入れ、代わりに一円玉を四つ取り出す。


「お釣り、四円のお返しになります」


 そういうと、店員は俺に小銭を渡す。商品の入ったレジ袋とお釣りを受け取り、小銭をポケットに入れようとするが、ふとレジ横の募金箱に目が留まった。どうせ持って帰っても、またポケットの中に入れたままにするんだろうな。そう思った俺は小銭を募金箱に入れ、ありがとうございましたと言う店員の声を背に、コンビニを後にした。


 再び寒空の下を歩いていた俺は、一年前のことを思い出していた。

 一年前、高校一年生になったばかりの俺は、楽しい高校生活を夢見ていた。しかし、高校生になってまもなく、母が交通事故で亡くなった。父も俺が小さい頃に病気で他界しており、近しい親戚もいなかった俺は親の遺した遺産で一人暮らしを始めた。

 しかし、母の死のショックから立ち直れず、部屋にこもるようになった俺は、今ではすっかり引きこもりのオタクだ。学校にも行かず、日がな一日中ゲームやアニメに没頭していると、寂しさを忘れられる。ただ、時折こうして外に出ると、やはり自分は孤独なのだと感じてしまうのは、心が孤独なのだからだろう。

 そんなことを考えていると、ふと周りの静寂に気づき立ち止まる。コンビニと住宅街の境目、林の近くの小道は深夜ということもあってか人一人おらず、そこに(たたず)む俺は妙な寂しさを感じる。

 これが二つ目の孤独、本物の孤独だ。周りに人がいない、ひとりぼっちの時に感じるもの。

 だが現代社会、人の多いこの世の中でほとんどの人がこの孤独を感じることがないのではないだろうか。今ここで佇む俺も本物の孤独に近いものを感じているのかもしれないが、結局心の中では遠くの街には人がいて、この先にある住宅街も静かであっても誰かが家の中で眠っているということを理解している。だから、この寂しさも結局は心の孤独でしかないのかもしれない。

 そんな結論にたどり着き、再び歩き出そうとした時、後ろから聞きなれない不思議な音がした。しかし、振り向いても何もない、ただの小道だ。だが音はする。しかも上の方から……ゆっくりと音のする方へ顔を上げていくと、暗い夜空に一筋の光が長い尾を引きながら飛んでいる。もし俺が別の場所でこの流れ星を見たのなら、普通の人々と同様に綺麗だなとか、すごい迫力だなとか思うだろう。だがこの時、流れ星を見た俺は全身が凍ったかのように身動きできず、頭の中も真っ白になっていた。


 流れ星とは何か知っているだろうか? 詳細は省くが、小天体が高速で大気に触れて発光したもの。つまり隕石だ。もし、隕石がこちらに向かって落ちてきていたら誰だって恐怖で頭がフリーズしてしまうだろう。普通の流れ星はサイズが小さいので地上に到達する前に燃え尽きることが多い。だが、遠くのこちらに向かって飛んでくる隕石を見て、俺の直感が叫ぶ。こいつは確実に、地上に落ちると。


 ――ドサッ

 力の抜けた俺の手からレジ袋が滑り落ち、地面に落ちた衝撃で小さな音を響かせる。その音でハッと我に返った俺は、再び前を向き直し全速力で走り出す。この後食べる予定だった夜食がそのままだったが、そんなことはどうでもいい。今は自分の命の方が大切だ。それに、誰かさんも言ってたがこんな時間に飯を食ったら太ってしまう。走りながら時折後ろを振り返り、隕石の様子を伺う。だが、振り返るたびに近づいてくる隕石を見て、ただただこっちに来ないでくれと、心の中で祈りながら走ることしかできなかった。

 しかし、祈り虚しく隕石は俺の真後ろに墜落。小さい隕石だったらしく爆発自体はそれほど大きくは無かったが、強烈な衝撃波が発生し爆風と共に俺の体は吹き飛ばされ、その衝撃で俺の意識は遠のいて行く。薄れゆく意識の中、俺は心の中で静かに呟いた。


(ああ俺、死んだな――)

★ いかがだったでしょうか? といっても、特に面白みのない内容だったと思いますが、(たか)くんの孤独に対する考えが、この物語の、特に第1章に大きく関わってくるのでそこだけでも気に留めて読んで頂けるとありがたいです。

また、初めて書いた小説ですので一応チェックはしておりますが誤字、脱字、文章の違和感などなど何かございましたら、遠慮なくドンドンご指摘くださいませ!

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