05
要塞攻略戦より二時間後
要塞指令室にて
「死傷者と残存兵力はどうなった」
「死者53名負傷者158名残存兵力3531名です」
「敵の増援が来るとは思えないが斥候を放ち警戒させよ」
「ハッ」
「バルク将軍は見つかったか?」
「いえ、その他将軍側近も見つかっておりません」
「どうやら逃げられたようだな」
「(逃げたのかよ!?)」
「ご苦労だった下がってよいぞ」
兵が部屋から出ていく
「(えっと、僕は放置ですかね・・・)」
「(悪い様に扱われてないから、とりあえず様子でも見たら?)」
「お待たせして申し訳ない、私はフォラルエスト国大将アルト・メインだ」
「さて、賢者殿のお名前も教えていただけますかな?」
「あの、その・・・分からないのです」
「ご自分の名前が思い出せないのですか」
「は、い」
「記憶がないという事ですか・・・では、多少質問がありますがわかる範囲でお答え願えますか」
「はい」
「まず精霊を宿しておられると言うのは本当ですか?」
「(これ誤魔化した方がいいのかな)」
「(止めとけ、水晶をまた出されるぞ)」
「一応そうですね・・・」
「ふむ・・・ではこの戦いに参加したのは賢者殿の意思でしょうか?」
「いや、僕は無理やり連れてこられて」
「そうですか。ではフレンドラ―国に親類縁者が居るもしくは、人質に取られたりいるとか?」
「(どういう事・・・?)」
「(さぁ)」
「いえ、そんな人はいないです」
「それは、大変幸いな事で」
「我々フォラルエストについてどれだけ知っておられますか?」
「フレンドラ―に侵攻してきた敵・・・?」
「やはり、今でもその様な自らが正義みたいに言っていたのか」
「自分が正義?」
「フレンドラ―は侵略国家です、と言ってもすぐに信じられないでしょ」
「まさか?!」
「そのまさかなのです」
それからアルトメインはフレンドラ―国が成立する前の事や成立した後の事自分がしてきたこと
そして、フォラルエストの事を話した
「これらが今まで私の見てきた真実です」
「あの王様が悪いやつであんたらが逆に侵略された国だったなんて」
「人は善を装えますから」
「(おめぇそろそろ自分の話した方がいいぞ、このまま話して同感させて軍に参加させたいかもしれないからな)」
「(え!?そんな、どう話せばいいの?)」
「(人は善を装えるってやつは自分で言っただろうがそれは、やつもあり得る話だ、だからこれからお前をどうするのかとか、どうしたいのかとか話せばいいじゃないか)」
「これから僕をどうするつもりですか?」
「(いきなり!?)」
「(ええ!!!だって・・・)」
アルトメインの顔が少しだけ微笑み
「勿論、我々に参加して頂けたら大変うれしいのですが先ほどの会話からどうやら賢者殿は争いは嫌いなようで」
「え!あ、まぁ」
「そうですか、ならばお好きなところに送りましょう、どこかお望みの場所はありますでしょうか?」
「(だってどうする?)」
「(さぁ・・・)」
「賢者殿?」
「はい!」
「もしや、どこに行くべきか分からないのですかな?」
「あ・・・いや・・・その・・・はい」
「そうですか、では私から一つ提案がございます。フォラルエスト首都に向かわれてはいかがでしょうか」
「え?」
「フォラルエスト首都は古より存在しており賢者殿の記憶を取り戻すことのできる方法が見つかるかもしれません」
「(これってどうとるべき?)」
「(おめぇが言いてえのは、監視及び軟禁って事か?)」
「(そういう風に取れなくない?賢者ってのがすごくて僕がそうなら・・・)」
「(そうかもしれないけど、今のお前は自分が誰でどこに行くべきかもわからないんだ、とりあえず乗ってみたらいいじゃないか、やばかったらやつら全部焼き殺せ!ふははははははははは)」
「(ああ、マジでそういう所嫌いっす)」
「分かりました首都に行きます!(ほかに道もないしとりあえず一歩進むか)」
「それはそれは、フォラルエストを代表して歓迎しますよ」