04
えっと僕は今何してるんだろう・・・
「(おい!何ボケてるんだ敵だぞ!)」
「うわあああああ」
反射的両手で顔を守ろうとしたとき
手から火が出た
人が火に包まれ
命が燃やされていく
そして眼前に焼け焦げた肉の臭い
今人が・・・
その瞬間とてつもない吐き気が僕を襲った
「うえええ」
「(あーあ全くだらしないな)」
「お前に何がわかるんだ!さっきまで生きてた人間が燃えたんだぞ、しかも焼け焦げてぇ・・・」
話しながら再度僕は吐いた
「(やれやれ人間なんて次の瞬間には死ぬかもしれない弱いものだよ。だから少年は目の前のこいつと同じにならない様に魔法を使いこなせ。)」
悔しいけど今こいつの言ってる事は正しいのかもしれない、まずは死なないようにしないと
「僕は死にたくない、だから俺に力を貸してくれファイア」
「(やっとわかってきやがったな いいだろう、今この場を打開できるだけの魔力集中呪文を教えてやるよ)」
「(じゃあよく覚えろよ、我・・・)」
時間を遡る事2日前
「ああマリア様、このようなときに精霊使いの大賢者を我が国に賜るとは感謝します!」
と石像の前に跪いてる王様が言う
「はい・・・?」
「(マリア様?)」
「(マリアってのは18年前に世界を調和した人物だ)」
「(18年前に何があったの?)」
「(18年前までこの大陸には転門と呼ばれるものがあったんだ、その転門は魔界に通じていて大量の魔物が出てきたマリアは天界に行き魔物を魔界に返し人間界に平和を取り戻したと言われている、人々はそれを称えマリアの功績を忘れないために今を調和歴にした)」
「精霊大賢者よ、我が国は今未曾有の危機にさらされておる、そなたの力が必要だ」
「・・・と言うと?」
「今この城に向かっているフォラルエスト国遠征軍大将アルトメインを倒してほしい」
「敵が今ここに向かっているの?」
「そうだ、これは人民を守るための大義ある戦ゆえにマリア様が生み出した精霊を宿す精霊大賢者に戦っていただくことに意義がある、遠征軍も大賢者を見れば遠征不利とみなし撤退するであろう」
「(マリアがファイアを生み出したの?)」
「(それは誤った認識だ。我ら精霊は昔より魔界に存在していた力あるものは我らを求めて幾度となく現れては宿していったのだ、マリアが世界を調和した時我ら精霊は侵攻軍の将に宿って居たのだが何故かこの地に取り残されたのだ)」
「(何というか不運だったね・・・って魔界があるのかよ!?)」
「(言い忘れたね。魔界も存在する精霊は元々魔界の精霊なのだ)」
「(なんだかそれ詳しく聞きたいけど、また今度聞くよ。あとこれって拒否しても大丈夫?)」
「(ん。無理だろうな)」
「(でも戦えないよ戦ったことないし)」
「(少年がそうでも王様はそう思わないぜ)」
「(一応言ってみるよ)」
「(だったら言葉を選んだ方がいい、なんせ王様は少年を救世主と思っているわけだから)」
「大賢者・・・大賢者・・・大賢者!」
「え!・・・僕?」
「大賢者よ是非とも我が国を救ってほしい!」
王様が頭を下げる
大臣の皆々も頭を下げた
「(あーあこれは断れないな、断ったら王様不敬で打ち首、断らなかったら戦場で戦死)」
「(そんな・・・)」
「えっと僕戦ったことないですよ」
「おお、戦ってくださるか!」
歓喜で謁見の間が湧きたつ
「いや、戦い方知らないですよ」
「(あーあ、戦うことになるなこれ)」
「それなら大丈夫、エミルを呼べ!」
「エミル?」
「エミルは宮廷魔法使い、ある程度であれば教えてくれるであろう」
颯爽とカッコいい人がこっちに歩いてくる
「エミルただいま参りました」
「エミル、こちら精霊大賢者である、名は分からぬ故。大賢者と呼ぶがよかろう。魔法の基礎が少々不十分故、お前が教えてやれ」
「精霊大賢者様、私はエミルです。宮廷魔術師をやっております。私から教えられる部分はなんでも教えさせていただきます。よろしくお願いします!」
「えっと、よろしくお願いします(悲)」
それから二日間基礎魔法の訓練をやらされ、精神も体もボロボロになってぶっ倒れてたところに王様に呼ばれて
アルトメインが最終防衛線に入ったとの知らせと共に訓練は終了した
ファイアには何度笑われたことか・・・
「少年この二日で戦いに出てもらうのはやむをえないが、だがどうしても力が必要なのだ、どうかこの国を守ってくれ!」
それを言われ返事を待たずに送り出された
「(行くって返事すらしてないのに・・・)」
「(それほど切羽詰まってるんだろうなぁ~)」
一行は要塞についたが一向に攻めてくる気配も敵の影すら見えない、敵が退却すらしたのではないかと思われた
敵を捜索する索敵部隊が組まれ送り出された
だが、索敵部隊が帰ってくることは無く、さらに捜索に向かわせた部隊も帰ってこなかった。
この要塞を守るのは王様の血縁者でもあるこの国の将が一人、守の将バルク守る戦いではめっぽう強いと言われている。
敵は必ず近くに居るだが敵兵一人見つからないとはなんとも不思議だとバルク将軍が言ったのはこの要塞に少年が入って5日目だった
その日の夜・・・
鐘が鳴らされた
「うわああああ」
あちこちに悲鳴が聞こえる
「なんだ!?」
外に出ると火矢が撃ち込まれあっちこっちが燃えてる
やばい、やばいと少年が焦る
「大賢者大丈夫か」
この状況にも関わらずバルクは非常に落ち着いてる
夜襲はすでに読んでいた、準備だけは皆にさせてある
外に出ては危険なのでここに留まるといい
「悲鳴聞こえたのですが」
「それは・・・」
珍しくないそうだ、補充兵にはよくあることらしい、いざ戦場を目の当たりにすると恐怖で錯乱するらしい。
その後一時間程度続いた敵の攻撃が急に止んだ
バルク将軍は敵も遠征軍だから疲弊していると言っていた
だが妙に胸騒ぎがする・・・
翌日要塞に入って6日目焼けた施設などがまだある
昨日ここで戦争あったんだって思うとなんでこんなことにとばかり思ってしまう
その日はそれでいっぱいで夜も眠れなかった
翌日戦場で眠れないのがこんなにつらい事なのだなと実感していた時、門が急に開き部隊が流れ込んできた
門が開かれた以上要塞は裸同然になっていた
「うろたえるな、城塞内の第二線まで下がって守れ」
それと同時に皆下がっていく
俺は遅れて敵に囲まれた
「どうしたら」
「(こういうときの魔法だろう)」
「(でも殺してしまったら)」
考えてるときに敵が襲い掛かってきた
その時怖くて現実逃避してしまった
「えっと俺は今何してるんだろう・・・」
死にたくない!この呪文で乗り切るしかない
「我、火を纏い命を燃やし尽くさん」
唱えると魔力が集まる感じがした、それと同時に呪文が脳裏に浮かぶ
「(唱えろ!)」
「無に帰すまで我燃えんファイア」
「(魔力が集まった右手を地面にたたきつけろ!)」
天高くより大きい火の玉が現れ目の前に落下した
防ごうとした兵も居たが魔力が足りなかったのか敵兵はすべて焼かれた
「僕は無事だ・・・よね」
「(当たり前だろう!自分を傷ついたら魔法の意味ないでしょうよ)」
「はやくバルク将軍と合流しないと」
俺は第二線に向かって走った
だが第二線は全滅していた、アルトメインの攻勢に耐えきれなかったのだ。
「これからどうしたらいいんだ」
「(これで監視も無くなったんだし、もう逃げろよここに居たら捕まるぞ)」
急ごう、と思い行こうとしたとき
「まだここに居るぞ!」
先ほど全滅させた部隊の援軍が来た、それと第二線を全滅させたアルトメイン本軍もこちらに
兵が今俺を囲んでる部隊に伝令が来た
「将軍より到着するまで賢者には手出しするなと」
アルトメインがここに来る!?
なんだかすごくやばい気がしますが・・・