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異世界英雄の再召喚  作者: レファニア
現代社会に生まれ直して。
1/15

プロローグ

 暖かな西日が差し込む病室。

 カーテンが風に揺れ、枕元に置かれた花瓶の花が頷くように揺れる。

 

 そんな麗らかな部屋で、一人の男が床に伏していた。


 人々に害する悪しき邪神とその眷属と戦い、人々に安寧と平和をもたらした男。


 その一人の英雄が今、長い人生を終わらせようとしている。


 妻が彼の左手を握りしめ、目尻に涙を浮かべている。彼の周りにも、涙ぐみながら治癒魔法をかけている神官や、隣の者と肩を抱きあって震えている者。涙を流すまいと天井を見上げながら、決意の表情を浮かべている者。人々の後ろで、一人、杖を抱き盲目している者、等。

 彼ら彼女らを見るに、よほどこの英雄が人々に愛されていたことがわかる。


 ふと、彼が目を開けると、どよめきが起こり、人々がベットに身を乗り出して声を掛ける。


 英雄が口を開けたが、声が掠れ言葉にならない。

 彼は一呼吸すると使いなれた魔法を使い、彼の声を彼らの頭の中に響かせる。


 曰く、お前らなんて顔してやがる、ただの死にかけの見送りのために仕事さぼってんじゃねえよ、と。


 いつも通りの彼に、周囲に笑みが戻る。


 だが、もう彼に残された時間は少なかった。


 彼は治癒魔法をかけている神官に、もういい、お疲れ。と、声をかける。


 神官は首を横に振り、流す魔力を増やす。


 その事に彼は薄く笑うと、はぁ、と、深く息を吐いた。


 そして、まぶたを閉じる


 様々な思い出が瞼の裏に甦る。

 辛いこともあった。戦いのなかで多くの仲間も失った。

 だが、充実した人生だったと、誰にでも胸を張って言えるだろう。


 満足な人生だったと。

 そう思う。

 この世界の未来を作れた。

 それで十分だ。


 目を開ける。

 隣にいる妻に顔を向け、微笑むと

 妻も同じように笑いかけた。


 そして…


 一人の英雄がこの世を去った。



続く…かも?

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