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【 完結 】OVER ENDING-オーバー・エンディング- Re:bit編 【 イメージ小説 】  作者: KAITO×NORA
第16節 終わりのはじまり
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第48話:全力の結果

◇◇


『――全チームの試合が終了しました。結果が発表されるまで生徒は観戦エリアで待機していてください』


 試合を終えた俺達は観戦エリアで全てを出しつくし疲れ切った体を休めていると会場にいましばらく待つようにとアナウンスが流れた。


「はぁっ……私言ったよね?」


 大きなため息の後に呆れた口調で続けるユナの声が聞こえるが、体を起こす気力さえ残っておらずそのままの体勢で説教を聞き流す。


「あれだけ油断禁物だって言ったのになーんで無茶するかなぁ……聞いてるのッ?」

「……そーだっけか? ユナちゃん、油断大敵つってなかった?」


 空気を読まないツッコミを入れられて一段と怒りのボルテージが上がり、それに比例して声のボリュームも大きくなる。


「ッ! どっちも同じ意味だからいーのッ! そーいうこと言ってるんじゃないってば!!」


 観戦エリアにある長椅子にうつ伏せに寝転びうなだれている俺とコウヤに向けて喚き散らすユナが腰に手を当て仁王立ちのポーズで見下ろしている。


 あの後、ドラゴンを倒した俺達三人は雑魚の包囲に突っ込み一分と持たず玉砕。

 要するにボスを倒したことで有頂天になり周りが見えなくなっていたわけだ……ともあれ結局、俺達を含めて完全攻略したチームは無くモニターに映し出される選抜試験の『合格者一覧』は空白が並んでいる。


「つーかナユてめえ『ザコは突っ伏してやがれッ』とかなんとかタンカ切っておきながら真っ先に死にやがって! ザコはオメーじゃねーかッ、チームメイトとして恥ずかしい限りだぜ!」


 顔を埋めていると隣から俺の『決め台詞』を再現して馬鹿にする声が聞こえた。

 声の方向へ首をひねり目を開けると口をすぼめて顎を突き出し、俺の事を完全に小馬鹿にしている顔つきのコウヤが目に物凄く入り腹が立つ。


 つーか真似が似てる似てない以前に、俺そんな口調だったの? まじで?

 あの時はその場のノリでごく自然に口にしたが今聞くとすんげー恥ずかしい台詞だな……。


「ぐぬぬ、いま突っ伏してるのはお前も一緒じゃねえかよ……つーかその顔やめろ」

「コラッ! 無視しないっ! 人が話してるんだからちゃんとこっち見なさいっ! そこに正座っ! ホラッ、いつまでも寝てないで反省するっ!」


 説教を続けるユナに尻を叩かれ強引に正座させられる。

 コウヤと二人で正座してユナに怒られるなんていつぶりだろうか、こうしていると何か昔を思い出すな……怒られてる理由は全然あの時とは違うけどもッ。


「まあまあユナちゃん、そんな怖い顔しないでニッコリしてさー。ほら、眉間のシワがグランドキャニオンみたいになってるぜー?」

「誰が世界遺産だってッ!? 怒るよ!」

「もう怒ってんじゃーん。黙ってねーでナユも謝れよなッ!」


 いや『も』っておかしいだろ。今お前どのあたりが謝った(・・・)つもりなんだよ、むしろ判断誤って(・・・)るからッ!!


「い、言ったろ? 一か八かって。それは今も続いてるんだよ、だからそうカッカしないでさ……す、過ぎた事より今は結果出るの待つしかないんだよ、計画通りなら大丈夫だからさ。落ち着こうぜ? っな?」

「う、うんっ。だけどなんだか心配……じゃん。ナユの事は信じてるけど、そううまくいくのかな?」


 不安がるユナをなだめているとアナウンスが始まる。


『――大変お待たせしました、ただいまより結果発表を行います……』

「は、始まったぞッ!!」


 そう、一か八か。

 選抜試験そのものをゲームとして捉えた。

 勝ち負けを不安定な未来に託して運に身を任せた。

 勝率を上げる為に出来る事は全てした。


 流動的な局面に対応した臨機応変に作戦を変更して、アルゴリズムを逆手に取った立ち回りと連携による攻撃でボスを討伐した。

 個人の才能と能力を可能な限りアピールして、ドラゴンで高ポイントを稼ぎ他のチームよりも多くスコアを手に入れた。


 ――そしてなによりゲームを『楽しんだ』。


 だから今は『読み』が合っていることを信じてただ待つしかないんだ。


 静まり返った会場の片隅で己が導き出した勝利の方程式に則り一点買いした万馬券を心の中で握りしめて結果に耳を澄ませる。


『――全チーム敗退という異例の結果となりましたが、議論の結果再試験を行うことはせずに今試験での戦闘終了までに獲得したスコアを判断基準として順位を付けることとしました……』


「な、ナユこの流れって……ねえっもっと前行って聞こう!! ほらっコウヤも行くよ!」


 待ちにも待ったアナウンスに会場は活気を取り戻し、観戦エリアで寝転んでいた俺達は体を起こしユナに手を引かれながらメインモニター前に向かう。


『――本来は日を改めるべきなのですが、クローズドβの日程との関係上このやむを得ない特例措置をご了承ください。改めまして、早速結果発表を始めたいと思います。……』


 ごくりと喉を鳴らし手のひらにはべっとりと汗が広がり、投げられたコインの裏表が発表されるのを待つ。

 緊張してるのは二人も同じようでコウヤが思いを口にする。


「くっそ、すっげ緊張感ッ……」


『――今bitクローズドβテスター選抜試験、首位の成績を残したチームは……』


 俺の読みは間違っていない。その保障はどこにも無いけれども確信している、でも不安が無いといったら嘘になる。

 拭いきれない不安を神に縋る思いで俺も心の声をついつい呟いてしまう。


「表来い表来い表来い……」


『――優勝は……一年、廻結名チームに決まりました』


 あまりの緊張から耳鳴りする。でもアナウンスでユナの名前を呼んだのはしっかりと聞き取れた。


「おも……て……き、たッ、勝っ――」


「「よっしゃああああああああッッ!!!!」」


 耳が痛い。押さえつけていた感情を爆発させたコウヤの歓喜の咆哮が会場全体に響き渡る。


「やったああーーーっ!!! 夢じゃないよね! いま私の名前言った! 言ったよね⁈ 私たちが選ばれちゃったよっ!! すごいすごーい!!!」


 なにやらアナウンスは未だ続いていたが一番重要な事は既に聞いた。形式立った閉会の言葉に耳を傾けずに今はただ喜びに浸ることにする。


「 「優勝だぁああああッッ!!!!」 」


「しい……だろ……おかしいだろ!…………」


 喜びもつかの間、飛び跳ねていると一人の生徒が不満を呟いた。するとそれにつられ周りの生徒が異論を唱え始める。


「そ、そうだそうだ! なんでそうなるんだよ! 話がちげーぞ!!!」 「誰もクリア出来なかったんだ、再試験だろ常識的に!」


 不平不満が飛び交い会場の空気が一気に悪くなってしまう。

 そしてその理不尽な怒りの矛先が自然にこちらに向く。


「つーかアイツだろ? 選考会でズルした奴って。もしかして今回もそーなんじゃねーの?」


「んなッ! ナユはズルなんてしてねえぞッ!! 根も葉もねえ噂話真に受けてんじゃねえッ」


 こんな事になるんじゃないかとある程度は覚悟していた。

 沸点が低いコウヤが先輩に食って掛かるのは覚悟していた。前歴があるからな……今となってはそこまでじゃないけれども、正直あまり思い出したくない記憶ではあるがな。


 そして拳を握りしめ険しい表情を浮かべる一人の先輩がにじり寄ってくる。

 根も葉もない噂話を鵜呑みにするのは愚者の仕業だが、悪目立ちしてるからな仕方がないよな。


「てめえ! 最初からこうなるって分かっててボス倒しやがったなッ!! そこまでして勝ちてえのかッ、きたねえぞ! 何とか言いやがれ!!」

 

 勿論これも織り込み済みだ。

 もし俺があちら側の立場ならきっと怒りの矛先に困り何かにぶつけたくもなったであろう。勝つには勝った……でもズル染みた勝ち方をしてしまった俺が悪いんだ。

 だから、……そう、仕方がないんだ。愚か者は俺の方なんだ。

 ……でも。

 

 ――それは本心なのか?


 本当に悪いことをしたか?

 俺の勝ち方は間違っていたか?


 臨機応変に対応しただけだ、過程も結果もルールに従っていた。


 この勝利は本当は褒められるべきことじゃないのか?

 

 黙って殴られて……いいのか?


 ――そんなことないッ!


「ず、ずッズルなんてしてませんけど。俺は、俺達は……実力で、全力で戦いました。それでこの結果だ……です。……才能で勝る俺達がて、テスターに選ばれるのは、当然だと思う……です」


 仮にも相手は三年の先輩だ言葉を選ぶべきだったか? でももう遅い。

 生意気にも正論じみた言葉に先輩の怒りは行き場を失い遂に爆発してしまったようで、近づきながら握りしめた拳を振り上げた。


「「――ナユっ!!」」


 心配してくれてありがとうユナ。でも大丈夫、殴られるのには慣れているからさ。

 どんなにゲーム内で強くなっても実際に喧嘩に強くなれる訳じゃない。むしろゲーム内で強くなればなるほど現実世界との格差は広がってしまい、最終的にモノを言うのは物理的要素の腕力であってそれにねじ伏せられてしまうんだよな。

 理不尽過ぎるったらありゃしないぜ。ホント現実はいつだって糞ゲーだな、ゲーマーに優しくない。


 そんな事を考えながら、殴られる理由なんて本当は無いが覚悟を決めて歯を食いしばった。


「「――おらあッ!」」


 近づく痛みに顔を歪めて今か今かと体を丸くして身構えていると熱血漢(ヒーロー)が助太刀に現れて、間一髪のところでその間に割って入り命を繋いだ。


 そして恐る恐る目蓋を開けると目の前に立つその人は見覚えのある大きなパイを二つ隠し持つ戦士、パイパイ先輩だった。


「そこまでして勝ちてーのか? 汚いね。何とか言ったらどうだい? あん? どーしたよ」


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OVER ENDING(5:12)
【公式サイト】
(アンエク)UNDOT EFFECT
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