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第33話:ノーデリカシー

◇◇


 最近は放課後になると俺達は日課のようにVRCルームに集まり、実技試験へ向けての練習を行っている。


「しっかし、今日は混んでるな……こりゃ結構待つかも」


 本番が近いだけあって今日は人が多く混み合っていた。

 ぼやきながらもスキャナーに学生証を通してVRC端末の使用登録を三人分申請する。


『――三名の申請を受諾いたしました。エントリー45。端末が空くまでしばらくお待ちください』


 先に着替え終わった俺とコウヤは観戦エリアの隅にあるハイテーブルに手荷物を置いてVRC端末の順番を待つ。


「そーいやユナちゃん今日遅くねーか? いつもなら先に待ってるのにいねーなー」

「ああ。更衣室前(ココ)までは一緒にきてたんだけどな……。忘れ物でもして教室にとりに戻ってるとかじゃないか? 時間あるし別にいいが一応メールしてみるか。携帯携帯っと」


 テーブルに置いた手荷物の中から携帯端末を取りだしてメールを打ちこむ。


「本文はぁ……えーと……遅いけど大丈夫か? っと」


 メールを送信しようとしていると遠くの方から聞き覚えのある声が聞こえてくる。


「おーい! おまたせーっ! ……ふへぇーっ、更衣室めちゃ混みだったし」


 無駄手間に終わったメールを中断し下書きを削除して携帯端末をテーブルの上に置いて振り向くと、そこはいつの間にか天国にフィールドチェンジをしていた。

 小声で呟くように心の声が漏れてしまう。


「日頃の行いのお陰か。神様ありがとうございます。生きることをしっかり確信しています」


 大急ぎで来たのか、小走りで登場したユナは普段とは違いジャージを羽織っておらず、ライフスーツ姿のままだった。

 すらっと長い脚の付け根に広がるムッチリとした曲線美……腰のクビレから肩に伸びるライン上に飾られる控えめな凹凸ッ!


「……ゴクリっ。え、エントリーは済ませたけど多分2、30分ぐらい待つ事になると思うデス。……ハイ」


 下心を悟られまいとしたが、無意識に生唾を呑みこむとハッキリと音がなってしまった。

 どうかバレテいませんようにッ!


「ナユさーん? 私の顔もっと上についてるんですけどぉッ?」


 しまったああああああッッ!! 声が裏返らないように注意していたらそっちに気を取られて目線にまで意識向いていなかったッ!

 滅多に無いサービスショットを脳裏に焼き付けようとついついガン見してしまっていた。


「ええッ! そ、そんないいがかりででででデスし! な、なあコウヤ!」


 完全に動揺した俺は裏返った声で言い訳をして、そしてコウヤに助け船を求めた。


「B+……いや、C……か? くっそ生地のせいで分かりずれえ……。――ハッ! オレハナニモミテイマセン」


 オメエもかよおおおッ!!

 いつにない真面目な顔で集中しすぎたのか、完全に油断していたコウヤは名前を呼ばれてビクンと跳ねると、すかさず目線を逸らして片言でぎこちない返答をした。

 ああ、忘れていた。。コイツ天性のスケベだったな……。


「コウヤぁあッ……毎度毎度同じこと言ってるよね! ねえッ、言ったよねッ! もうッ!」

「ゆ、ゆゆユナ様ッ! 違うんだよお聞いてくれよッ。あ、あの時は『覗き』で今回は……ち、『チラ見』だから、ほら! せ、セーフかなーっておもって――あ、ハイ。ダメですよね。ごめんなさい」


 睨みつけるユナに対して必死に聞き苦しい言い訳をしていたが、最終的に気迫に押し負けて堪忍したコウヤは潔く平謝りした。

 そうしてユナは俺達に対してデリカシーに欠けてると不満を溢しながらムッとした表情で手に持っていたジャージを羽織りジッパーを上げる。


「二人ともドがつく最低だよッ! この前も似たような事で怒られたのに何でまたやるかな! ホント何でやるのかな!」


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OVER ENDING Voice/オーバー・エンディング ヴォイス
小説に登場するキャラクターたちに今…声(いのち)が宿る!
【原作楽曲】
OVER ENDING(5:12)
【公式サイト】
(アンエク)UNDOT EFFECT
【関連作品】
アニメのようなヒーローにはなれないお話。
Nameless Hero/ネームレス ヒーロー
- 一度もヒーローにはなれない -
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