オシャレな名前
「俺ってさ、怪奇現象の中では地味だよな」
鬼火が言った。
「そうかな? 割りと知名度あると思うけど。ポケ○ンとかのおかげで」
と言うのは人魂だ。
人魂と鬼火は似たような物だが、違いは人の魂であるかそうでないからしい。
「でも俺よかお前の方が圧倒的に認知度は高いじゃん」
「何を贅沢な。僕にとっては二人とも変わりませんよ」
ラップ音が嘆いた。
「僕なんかラップ音? 何それおいしいの、とか言う人がいるし、中には唐突にチェケラだとかHEY-YOだとか言い出す人がいるんすよ」
「お前はまあ……頑張れ」
「何をっ!?」
「違うんだよ。ともかく俺は! もっと世の人に親近感を覚えて欲しいんだよ」と鬼火。
「俺はそのままでもカッコいいと思うけど」
人魂はいまいち乗り気じゃない。
「だから違うんだって。ほら、あるじゃん最近。菓子のことをスウィーツって言ったり、調理師のことシェフって言ったり、甘藍のことキャベツって言ったり!」
「いや最後おかしくね!?」
「とにかく! 俺ァ、ナウいチョベリグな洒落た名前が欲しいんだよ」
「言葉のチョイスがナウくねーよ。……あ、俺思いついたかも、お前にピッタリで最近ホットな名前」
「マジか!? 教えて」
「ゴーストライター」