第6話 奇妙な物体
何という事もないあくる日の朝。1つの通報が、警察にもたらされた。それは、町の中央広場に見慣れない物体があると言う内容だった。警察は広場に直行し、すぐに非常線を張った。
広場には、たくさんの野次馬が集まっていた。野次馬達の視線は、その物体に向けられていた。
空から墜落したらしい、その物体は、銀色に輝いていた。物体の表面はなめらかな曲線を描き、外国のオブジェのような感じだった。上の方には、何か煙突のような物が飛び出ている。
「もしかしたら、宇宙船かも知れないですよ。宇宙人が人類を調査しに、地球にやって来たのかも……」
人々は物体を眺めながら話し合った。だがその会話は、宇宙研究の権威・N博士とその助手が、自動車に乗ってやって来た為、一時中断された。
「博士、あれは何なのでしょう。こちらとしても、どのように処理して良いか、困っているのですよ」
と、A警部がN博士に話し掛けた。N博士は物体の写真を撮った後、自動車に乗せた装置でそれを調査した。調べ終わると、N博士は言った。
「今まで、見た事もない物体です。地球上には存在しない金属で作られているようです。即ちこれは、他の星からの宇宙船と考えるのが無難でしょう」
野次馬達がざわめいた。N博士は物体を見据え、更に詳しい調査に取り掛かった。
「先生。これは一体、何の為に送られて来たのでしょうか」
助手がN博士に話し掛けた。N博士は首を左右に振り、言った。
「まだ断定は出来ん。が、今すごい事実が判明した」
「えっ、それは一体、何なのでしょうか」
助手は驚き、N博士が使っている装置を覗き込んだ。N博士は、装置のモニターを指差しながら、説明を始めた。
「今私は、この装置を使って、金属の材料を調査していた。だが、時折その金属が、震えているのが解ったのだ。それに気になり、詳しく調べてみると、何と金属が電波を発している事が解った」
「何ですって。まさかその電波が、意味のある言葉になっていたとか……」
「いや、それはまだ解らない。が、その可能性は非常に高いだろう」
N博士は、皆が期待の目を向ける中、電波の解読に取り掛かった。一体何だろう。我々よりも科学が進んでいる星からの、贈り物かな。それとも、中に誰か居て、助けを求めているかな。もし助けてやったら、その星の連中に大いばり出来ると言う物だ。
遂にN博士は、電波の解読に成功した。助手は興奮しながら、N博士に、電波の意味を訊いた。
「何だったのです、意味は。贈り物ですか。それともSOSですか。どちらにしても、人類にとっては、良い意味を持つ事に違いはない。ねえ、勿体ぶらずに、教えてくださいよ……」
N博士は、助手の問いに答えた。その声は、震えていた。
「……“今からこの星を、我々ホープ星人の植民地にする。まず手始めに、半径二万キロの被害を及ぼす時限爆弾を送った。ハハハハハハ”……」
次の瞬間、目の前の物が、全て消え去った。