表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ショート・ショート展覧会  作者: 悠介
第1部 有限の地球
6/9

第6話 奇妙な物体

 何という事もないあくる日の朝。1つの通報が、警察にもたらされた。それは、町の中央広場に見慣れない物体があると言う内容だった。警察は広場に直行し、すぐに非常線を張った。

 広場には、たくさんの野次馬が集まっていた。野次馬達の視線は、その物体に向けられていた。

 空から墜落したらしい、その物体は、銀色に輝いていた。物体の表面はなめらかな曲線を描き、外国のオブジェのような感じだった。上の方には、何か煙突のような物が飛び出ている。

「もしかしたら、宇宙船かも知れないですよ。宇宙人が人類を調査しに、地球にやって来たのかも……」

 人々は物体を眺めながら話し合った。だがその会話は、宇宙研究の権威・N博士とその助手が、自動車に乗ってやって来た為、一時中断された。

「博士、あれは何なのでしょう。こちらとしても、どのように処理して良いか、困っているのですよ」

 と、A警部がN博士に話し掛けた。N博士は物体の写真を撮った後、自動車に乗せた装置でそれを調査した。調べ終わると、N博士は言った。

「今まで、見た事もない物体です。地球上には存在しない金属で作られているようです。即ちこれは、他の星からの宇宙船と考えるのが無難でしょう」

 野次馬達がざわめいた。N博士は物体を見据え、更に詳しい調査に取り掛かった。

「先生。これは一体、何の為に送られて来たのでしょうか」

 助手がN博士に話し掛けた。N博士は首を左右に振り、言った。

「まだ断定は出来ん。が、今すごい事実が判明した」

「えっ、それは一体、何なのでしょうか」

 助手は驚き、N博士が使っている装置を覗き込んだ。N博士は、装置のモニターを指差しながら、説明を始めた。

「今私は、この装置を使って、金属の材料を調査していた。だが、時折その金属が、震えているのが解ったのだ。それに気になり、詳しく調べてみると、何と金属が電波を発している事が解った」

「何ですって。まさかその電波が、意味のある言葉になっていたとか……」

「いや、それはまだ解らない。が、その可能性は非常に高いだろう」

 N博士は、皆が期待の目を向ける中、電波の解読に取り掛かった。一体何だろう。我々よりも科学が進んでいる星からの、贈り物かな。それとも、中に誰か居て、助けを求めているかな。もし助けてやったら、その星の連中に大いばり出来ると言う物だ。

 遂にN博士は、電波の解読に成功した。助手は興奮しながら、N博士に、電波の意味を訊いた。

「何だったのです、意味は。贈り物ですか。それともSOSですか。どちらにしても、人類にとっては、良い意味を持つ事に違いはない。ねえ、勿体ぶらずに、教えてくださいよ……」

 N博士は、助手の問いに答えた。その声は、震えていた。

「……“今からこの星を、我々ホープ星人の植民地にする。まず手始めに、半径二万キロの被害を及ぼす時限爆弾を送った。ハハハハハハ”……」

 次の瞬間、目の前の物が、全て消え去った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ