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自殺屋  作者:
意義
11/17

虚心

山のように積み重なった本の中。

俺は、本と本の間で寛ぎながら本を読んでいた。


俺はこの本だらけの書斎で育った。

忙しかった両親への寂しさをここで紛らわし、外に出ることができなかった無知をここで補い、世界で知ることができなかった在り様の知識をここで培った。

俺の中の全てが、この書斎にあった。


俺は本に注いでいた視線を、やや上に向けた。


江原(えはら)か」

声を向けた先には、書斎の扉。

扉の向こう側には両親たちの仕事場があるため、非常時以外は入ってはいけないといつも言われている。

俺はその度「誰が入るかよ」なんて可愛げのない言葉を浴びせるのだが。


「坊っちゃん、お母様が呼んでいますよ」

控え気味に声がかかった。


声の主は、江原と言う男だ。

江原はずっと昔に、父さんと母さんがどっかからかスカウトしてきた強面の男だった。右腕にはタトゥーが入り、人相が悪い(人のことを言えないが)。

江原はスカウトされる前、地元で名の知れた暴走族の頭をやっていたらしいが、警察に捕まってからは丸くなり、今は奥さんも子供もいるらしい。


大事な家族を守るために仕事を探していたらしいのだが、何せ江原は前科持ち。

そんな危険な男を雇ってくれる場所なんて、どこにもなかった。

仕事が見つからず、家族を養えず、家族に会わせる顔が無いと路頭に迷っていたところを、父さんと母さんが拾ったそうだ。


猫や犬じゃあるまいし。


両親の常識外れに、本当にため息が出る。

「坊っちゃん言うな、敬語もいらないって何度言ったらわかる」

「私は坊っちゃんのご両親に拾われた身です。恩義ある方々の御子息に、敬いの言葉を使わなくてどうします」

江原は父さんと母さんが自殺屋を立ち上げた頃からずっと勤め、今や一番の古株として働いていた。

両親も、江原には絶対的な信頼を持っていた。


「じゃあ、坊っちゃんだけはやめろ。せめて、榊だ」

「では、榊様」

「…」

人は変わるモノだ。

この男が昔は暴走族の頭だったって、今のこいつを見て誰が思うだろう。

この男は勤勉で真面目で、その上仕事熱心。

だからこその、俺の両親からの信頼がある。


「さあ、早くお母様のところへ」

「どうせ、自殺屋を継げとかそんな話だろ?」

「どうでしょう」

「…」

江原はとぼける様に首を傾げると「さあ」と促す。無理矢理俺を立たせて、母さんの元へと背中を押した。

俺は、されるがままに立ち上がった。

「めんどくせェ」とか「まだ本が途中」とかいろいろ言って逃れようとしたのだが、生憎江原は俺に気を遣うようなことはしなかった。

あくまで江原は両親に忠義を尽くしているのであって、俺はそのついでだ。

だからこそ、こんな憎まれ口を叩いたって江原は気にもしないし、俺も江原が何を言っても気にしない。


奇妙な関係だった。


「いーやーだー」

「さ、どうぞ」

抵抗をしてみるが、体格が違いすぎる江原には敵わない。

俺は、あっさりと社長室に放り込まれてしまった。

俺の目の前には、髪を後ろで一つに括った母さんが椅子に座っていた。


「やっと来たわね」

「来たんじゃねェ、連れて来られたんだ」

「あなたが素直に来ないからじゃないの」

「誰が好き好んであんたみたいなオバサンに会いに来るかッ…て、いてててて!!」

隙をついて耳をぎゅうっと力いっぱいに捻られ、ジワリと熱い感覚と共に激しい痛みが走る。

俺は痛さから逃れるために、腕で母さんの手を振り払い、「ッてェな!!」と睨んだ。


「オバサン言うな、まだ三十五だ!!馬鹿息子ッ!!」

「息子ねェ…義務教育も放棄させるような母親のくせに、よく言うわな」

「いつから生意気言う口になっちゃったわけ?」

「アンタが俺を、自殺屋なんて組織に巻きこんでから」

充分な嫌味だった。

こんな組織のせいで俺は、法律なんて無視、義務教育なんて無視、中学校生活を送ることができなかった。

まったく、どうしてくれるんだ。


「しょうがないでしょう?小学校に通わせるのだって大変だったのよ?身分を誤魔化して、六年間通えた事だけでもすごいと思ったくらいだし」

「アンタ、地味に自分褒めてる?」

悪びれもせず、自画自賛し始める母さんに少々苛立ちが芽生えた。


「もう榊もいい歳だし、この会社を榊に任せたいなぁなんて」

「嫌だ」

「何よ、即答しちゃって」

「アンタらの都合で、アンタらが立ちあげた会社を俺に押し付けんな」

「大丈夫よ、あんたなら。頭もいいし、人望もあるじゃない?うまぁく従業員を整理してやってけば大丈夫」

「何が大丈夫だよ、クソババァ」

「ああん!?」

俺の言葉で鬼の形相に変化した母さんに背を向けて、全力疾走で部屋から出て書斎に逃げ込んだ。


途中、江原と目が合った。

江原は呆れたようにため息をついて、苦笑していた。


誰が継ぐか。


勝手に立ち上げて、勝手に俺の人生決めて、自分勝手にも程がある。

本の山の間で寝転ぶと、扉からノックの音が聞こえた。

「なに?」

「榊様」

「また江原か…」

「入ってよろしいですか?」

「だめだ」


お構いなしに、がちゃッと扉が開く。

入っていいですか、の言葉が意味を為していない。


「だめだって言っただろうが…」

「汚いですね」

「無視か。そして率直過ぎだ」

本の山を見た江原が、呆けた顔で言った。


「人間が住める場所じゃありませんよ」

「じゃあ何か、俺は人間じゃないのか?」

すみません、と悪びれもせずに笑う江原に、俺はため息をついた。


「座っても?」

「だめだ」

江原は座る場所もない書斎に散らばる本を掻き分け、座れるくらいのスペースを作った。そして、やはりお構いなしに座る。

「おい…」

無視か、と言おうとしたが、やめた。

どうせこいつには、敵わない。


「榊様は、自殺屋がお嫌いですか?」

「ああ、まあな」

江原の問いに、躊躇いはない。


自殺屋は嫌いだ。

人の生死は関係ない。

ただ単に俺の人生を狂わせていることに、苛立ちを感じるのだ。


躊躇なく放たれた言葉に、江原は苦笑した。

何がおかしいのかと首を傾げると、江原は「本当に坊っちゃんは、変わりませんね」と言った。

「坊っちゃん言うなっつの」

「おっと、失言でした」

はは、と笑う江原に、俺はため息をついた。

そんな俺を横目に眺め、江原は躊躇いがちに小さく言葉を紡いだ。


「私の、息子は小さい頃から病気を患ってまして…」

いきなりなんだ、と俺は驚いて目を丸くした。

そんな俺の様子に、江原は困ったように笑った。

まるで何かを諦めてしまったような、気が抜けたような笑い。


「もう、長くないそうなんです」

「江原の息子って…今どんくらいだ?」

「今年で、十四になりますね」

「ちっせェな」

「そうですね。まだ、全然小さな子供なんです」

江原はそう言うと、息をついた。


「私はずっと世界の裏側にいました。光も当たらないような、不条理な世界にいました。そんな私がもう一回やり直そうって思うようになったのは、妻と子がいたからなんです。でも子供は、死が決まっている。この世界は、なんと残酷なのでしょう。どこにぶつければいいのかもわからない苛立ちで、壊れてしまいそうなくらい叫びました」

「…」

「そんな私に息子は言ったんです。〝父さん、俺は大丈夫だから〟って。まだ小さな子どもなんです。死に恐怖が無い筈がない、子供なんです。そんな息子が、微笑みながら私に諭すように言うんです」

江原は、短い髪を乱す様に握った。


「あの子は―――アズマは、強い子です」

「そう、だな」

「余命が短い。だからこそ、幸せにしてやりたいのに―――私にはお金がありません。何も、してやれないんです。今でも、榊様のお父様とお母様に、恩を感じています。しかし、自殺屋に関わった以上は家族にもあまり会えません。何を、してやったらよかったんでしょうか。金を選べば会えない、家族を選べば養えない。どうしたら、いいんでしょうね」


その時の江原が、あまりにも痛々しく笑うから。

俺は目を逸らし、口を結んだ。


何も言えなかった。

下手に何かを言ったって、何にもならないのはわかっているから。

好き勝手何かを言ったって、結局は他人事になってしまうから。


「すみません、後味悪い話をしてしまって」

「いや、いい」

ああ、何て言ってやったらいいんだろう。

紙面上でしか得て来なかった知識は、充実した半面、道徳性に欠けていた。

マニュアル、心理の本であっても、このときどうすればいいのか、どうしたら相手を慰められるかという細かなことは載っていなかった。

結局、何も言えずにいた。


その代わりに「江原は、自殺屋が憎いか?」と問うていた。

あれだけ嫌いだった自殺屋だが、とても胸が痛んだ。


立場上自殺屋の次期社長となるからか、それはつまり両親を憎んでいるということになるからか。

だが江原は、予想に反して微笑みながら首を横に振った。


「いいえ」

「なんでだよ」

「何故って、当たり前でしょう?」

少なからず、あなたのご両親に私は救われたのですから。と続ける江原に、俺は何も言えなくなってしまった。



「―――マジかよッ!!」

「マジよ、前々から言ってたじゃない。昨日で私たちは引退、今日からあんたが社長よ」

あまりの勝手なことに苛立ちを感じ、母さんを睨んだ。


だが長い付き合いだ。

母さんが一度決めたことを、変えるなんてことは断じてないのはわかっている。

もう無駄だと知りつつも、理不尽なことにはやはり抵抗してしまうのが人間の(さが)

俺はもう一度母さんを睨むと、早々に部屋を出た。


腹立たしい。

沸々と湧きあがる苛立ちを増やそうとしているかのように、近くにいた江原が「おめでとうございます」なんて言って笑うから、俺は近くにあったゴミ箱を力の限り蹴飛ばした。

江原は苦笑した。

「八つ当たりはいけませんね」

俺の蹴とばしたゴミ箱を、きちんと直した江原。

その穏やかな口調に、俺は少しだけ頭が冷えて「…悪い」と呟いた。


「まあ、榊様のお気持ちもわからなくはないですが…」

「江原からも何とか言ってくれ」

「それはちょっと、無理ですね」

「だよな」

ダメもとの願いは即座に粉砕された。ま、予想はしていたことだが。


「本、読むから部屋には入るな」

「わかりました」

「親父には、絶対入らせんなよ」

「…」

「泣きつかれても、駄々こねられてもだ」

「…」

「は・い・ら・せ・る・なッ!!」

気まずそうに目線を逸らす江原を置いて、さっさと部屋に入った。

ヒョイヒョイと、器用に部屋に散らばる本を避けて歩くと、いつもの定位置である本の山と本の山の間である場所に腰を下ろし、手近にあった本を手に取った。



暫く経った。

カチコチ、と時計の針が動く音だけと、ページを捲る音だけがこの書斎に響く。


俺は「ふう」と息をつくと、一度目線を上にあげた。

無意識のうちに、瞬きをするのを忘れてしまうのだ。態勢も変わらないため、体の疲れも気付くことができない。

こうやって、物語の区切りのいいところで読むのをやめて、体を動かしたり、瞬きをしたりする。

でないと本を読み終わったときに、立ち上がれない程に体が固まってしまう。


俺の〝これ〟は、病気にも近い集中力だった。


一通り体を動かし、さてもう一回と本に視線を落とす。

段々と時計の針が動く音が遠ざかる。

周りの音が消えていく。消えていく――――はずだった。


ガチャリと扉がいきなり開き、一気に現実に引き戻されたみたいに我に返った。

通常の時計の音が、再び耳に響く。

ああ、集中力が途切れた。


父さんか。

こんなタイミングの悪さは、父さんだろう。

江原にあれほど入らせないようにと念を押したのに、江原はホントに父さんと母さんに甘い。


少しは俺のことも考えてほしいもんだ、とそのときは思った。

――――あとで聞いたことだが、江原は外出していたらしい。

なんでも、母さんの用事だとか。


だがこのときの俺はそんなこと知る筈もなく、部屋に入ってきた父さんがじきにペラペラと鬱陶しく話しかけてくると思っていた。

あしらうのも面倒くさい。


視線を上げるのも億劫になり、「父さん、勝手に入るなよ。ノックしろ、ノック」とため息交じりに言うが、返事は返ってこなかった。

何故だ、いつもなら抱きついてくるなりしてくるはず。


不審に思って顔を上げた。


「お前、誰だ?」

目の前に立っていたのは、鼻の上のそばかすが特徴的なガキだった。

そこまで考えて、不審な点が思い浮かんだ。


ちょっと待て。

このガキがここにいる時点で、おかしいじゃないか。

見慣れないガキ、ここは自殺屋だって言うのに、なんで俺の知らない奴がいる。

ガキは、一瞬口をへの字に結んだがすぐに緩ませ、唇を震わせながら小さく言葉を紡いだ。

「俺は…父さんが…」

「父さん?」

父さんと言われても、俺にはこいつが誰のガキかわからない。


「父さんが、自殺屋ってところにいるはずで…父さんとたくさん話したいのに、全然帰ってこない、から…一目で良いから、会いたくて…」

確かに、ここは自殺屋だ。

だが、ここは表では建築会社。

"普通の人間"がネットで検索したり、周りの人に聞いたりしても、ここに辿りつけるわけはないのだ。

だとしたら、どうやってここに。

榊はそこまで考え、一つの可能性に辿りついた。


つまり。


「尾行したって、ワケか?」

あっさりと頷く少年に、頭を抱える。


どうする?

自殺屋の存在を知られている、ただで帰すわけにはいかないのだ。

ではどうする、記憶を消してさっさと帰すか。

それが一番てっとり早いだろう。


「ここ、自殺屋でしょ?父さん、いるでしょ?」

伸ばしかけた手が止まった。

父さん。

こいつが誰のガキなのかが、ふと気になったのだ。


「とりあえず、お前名前は?」

訊いてから消そう。

そう軽んじて、ガキの次の言葉を待った。


「え、江原(えはら)(あずま)

「江原ッ…?」


――――そして、俺たちは出会った。



ドアノブを捻って書斎に入ると、榊は珍しく本を読んでいなかった。

虚ろな目で天井を眺め、ぐったりと本に凭れかかっていたのだ。

鳴海は不審に思い、ぐったりとしている青年の名を紡ぐ。

「榊…」


「知ってたんだよ」


何の脈絡もない言葉が、部屋に空しく響いた。

「なに?」

「俺は、知ってた」

ぼうっとした瞳の割に、言葉はしっかりとしていた。


榊の声は、微かに震えていた。

込み上げてくる感情を必死に抑え込もうとしているのが、鳴海にもわかるくらい。

「あいつが、もう死ぬんだってことくらい」

「…おい」

「まっさか俺がなぁ―――この俺が、あんなガキに…」

「榊」

「自殺屋やってるころから、人間の死なんて見飽きるくらい見てんだ。今更誰が死のうが、誰が悲しもうが、知ったこっちゃねェんだよ」

「榊ッ…」

「なのに、あいつがいつまでも俺の中に居座って…全然忘れらんねェ。うぜェくらい、眩しくて…もう死に損ないだってのに、小せェガキだってのに、どことなく(したた)かで」

ぎり、と静かな部屋に響くくらい、榊は強く歯ぎしりをしていた。


ああ、そうだ。


――――でも榊だって人間だ。

花菱の困ったような笑みが、脳裏に過ぎった。


そうだ。

こいつは人間だ。

本好きで、傍若無人で、偉そうで、気持ち悪いことを真面目な顔で言ってのけるような、ただの普通な人間だ。


――――我慢できないことの一つや二つ、あるとは思わないかい?

弱くて、脆い、普通の人間なんだ。

欠落した感情、そのせいでわからなくなってしまった人との接し方。

本しかない、本だけで培った知識。

表の世界では存在することを許されていない、自殺屋の社長。


だから、なんだ。

こんなにも、苦しがっているのに。


くそ―――


「馬鹿野郎ッ」

気付いたらそう叫びながら、ぐったりと本に凭れかかる榊の顔面を、足蹴にしていた。

いつもなら即座に反撃してくる榊だが、いきなりだったこともあり、傷心していたこともあり、暫く思考回路が停止し硬直していた。

だが、硬直していたのは何も榊だけではない。


鳴海もである。


はッと我に返った鳴海は、恐る恐る足をどけて声をかけた。

「さッ…榊、くぅん…無事、ですか…?」

喋る言葉がつい敬語になってしまうほど、恐怖が鳴海を襲っていた。

背筋が寒い、冷や汗が吹き出る。

足蹴にしていた右足をそっと地面に着地させ、恐る恐る榊の顔を覗いた―――否、覗こうとした。

だが、それは榊の手によって妨げられた。


ゴゴゴ、と凄まじい雰囲気を纏う榊の大きな手が、鳴海の頭を鷲掴みにする。加えて、みしみしと頭蓋骨が軋むほどに強く握られた。

「あいだだだッ」

痛みのあまり、手を払おうとするが、榊の手は一向に離れない。


「おいてめェ、俺を足蹴にするたァ…いい度胸だな、オイ」

「や、マジすんません。今のは無意識です、無意識ぃぃぃいいいッッ!!」

「ほう、無意識に足蹴にするほど、普段は俺を見下しているということか?」

「ちッ…違う違う、誤解だって。ごめんなさいマジ調子乗りました」


暫くして、激しい痛みがふッと消え、鳴海は息をついた。

どうやら榊は、鳴海の頭を解放したようだ。


「今度やったらアレだな、靴に画鋲仕込んでやる」

「意外に地味だなッ」

「じゃあ特別サービスで、服にも仕込んでおいてやる」

「俺、刺されまくってるッ!?」

「加えて、花菱にお前の情報流してやる」

「それは勘弁してください」


一通り言い終えた榊は、鳴海の顔をじっと見つめる。

「お前、いつからいたんだよ」

「さっきからずっといたわ、ボケ」

「…そうか、気付かなかった」

心なしか、少し声に気迫が感じられない。


「で、なんで踏んだ?」

「わっかんねぇ、マジで無意識だった」

鳴海は首を傾げた。


「きっと、榊を潰したい衝動が胸の内に秘められていたんだよな。うん、そうに違いない」

「そうか…潰すぞ?」

「すんません」

榊の雰囲気に怖気づき、即座に頭を下げる。

いつもならこう素直に謝らないのに、今日はいろいろとおかしい。


鳴海は榊の隣に腰を下ろし、ははッと笑ってみせた。

「なんだよ、ついに頭沸いたか」

「沸いてねぇ」

榊の真面目な表情でのボケに、鳴海は榊の頭をペシッと軽く叩く。

榊は鳴海に叩かれたところを軽く摩ると、深く深くため息をついた。

鳴海はその様子を見て、口を開いた。


「さっきの足蹴は俺の意思じゃないにしても、多分それに近いことをしたかったんだ」

「は?」

「ウジウジウジウジ気持ち悪いから、さっさと元に戻ってほしくて」

「てめェ…」

睨みを利かせる榊を横目に、鳴海は続けた。


「きっと、お前は俺とおんなじだから」

※修正の可能性あり。

ふぃぃ、あと一、二話でアズマの話が終わるッ!!(笑)

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