プロローグ3
外伝3つ目は、犬士達の敵・蟇田素藤の物語です!
「会えるといいな!その、琥狛って娘に…」
文明八年(=1476年)、今のような台詞を屈託のない笑顔で申していた男が死んだ。その男の名は、染谷純一。安房国・富山で見つけたその者は、本人曰く「500年以上先の世から来た」という。僅か1年ほどのつきあいであったが…俺が生きてきたここ200年分よりも充実した気分を味わえたのを覚えている。
その純一からは、今までに聞いた事のない不思議な時代が先の世にあること。そして、俺が愛した娘が申していた事と似たような事を申していた。その娘こそ、後に俺が愛した女・琥狛の生まれ変わりであり、里見家の姫として先の世から舞い降りたとわかる三木狭子という女子であった。
あの娘と巡り合ったのは、単なる偶然か何なのか…。知る術はないが、もしかしたら死ぬ間際でも「逢いたい」と願っていた純一の想いが天に通じたのやもしれぬ…。
これは、俺の名を蟇田権頭素藤と改めさせる程影響を与えた青年・染谷純一と、里見の八犬士共と行動を共にした娘・三木狭子という“先の世から来た者達”と俺との関わりを記した、過去の物語―――――――――――
いかがでしたか。
随想録第3弾は、犬士達の敵であり、主人公ともかかわりの深い蟇田権頭素藤の物語で!
今回の外伝を書くきっかけ(本当のきっかけは第4弾の方ですが)の一つでもあった今回。ただ、信乃編より長くなるのはまずいかな~とか思いながら書いていく事になりそうです★
さて、プロローグの段階でちょっと補足。狭子の幼馴染・染谷純一が死んだ文明8年とは、ちょうど犬江親兵衛が生まれた翌年なんです!なので、彼の生まれた年が純一と素藤が出逢った年といったかんじかな?
この時系列は単なる偶然ですがね(笑)
てなわけで、随想録第3弾、いおいろまとめながら書くので、よろしくお願いします(^^