三話・ケーキ屋のエセ魔王
―前回のあらすじ
腕がッ
マルチのおでこスベスベで気持ちい
ケーキを買いに行こう
―――――○
財布を持った俺はマルチと一緒に母さんが教えてくれたケーキ屋に向かった。
途中でマルチが心配そうに聞いてきた。
「あの、良かったんですか?私なんかの為に……」
「良くなかったら来てないよ、それにもう家族なんだから遠慮するなって」
「流兎、ありがとう」
我ながらくさい台詞だった。でも、嘘偽りの無い気持ちだから恥ずかしさは無かった。
それ以降、マルチは俯いたままで話はしなかったけど嫌な雰囲気ではなかった。
数分後、ケーキ屋に着いた。
「……嘘だろ」
その名は――翠○――
喫茶店でない所が唯一の救いだ、偶然かもしれない入ってみよう。
ガチャ
「いらっしゃいませなの~」
バタンッ
「よし、違う店に行こう」
「どうしてですか?」
「そうだよ~せっかく来たんだから入って入って!」
いつの間にか後ろに居た店員であろう茶髪のツインテールの彼女は、そう言いながら店に俺達の手を引っ張っていった。
「マルチはケーキ選んでて、俺はこいつに話がある」
「分かりました」
マルチはケーキが並べてあるショーウィンドウに向かった。
俺は「三つまでだからな!」とマルチに釘を打った後、彼女と話を始めた。
「何で○屋何だ?」
「お母さんがケーキ屋始めるって言ってて、私がアニメとか漫画とか好きで、ちょろっと口がすべっちゃったんだよねー、まさか本当になるなんて……」
「あはは、あんた名前は?」
「あらお客さん、ナンパですか?当店ではケーキ以外扱っておりませんので改めてお越しください」
「分かった、もう来ない」
「嘘だよ~、高町なのh「一生来な……」奈菜香だよ!|水嶋奈菜香!もぅ、冗談じゃんかぁ」
「悪い悪い、でもおかげで名前が聞けた。奈菜香…いい名前じゃん」
「う~、いつも君そんな感じなの?」
若干顔が赤くなってるのは気のせいだろう、それよりあっちが名乗ったんだからこっちも自己紹介しなきゃな。
「君はやめい、流兎だ、よろしくな」
「流兎!、決まりました!」
あんなに熱心だったケーキ選びも、もう終わったらしい。
俺?俺はプリン一択
有難う御座いました~
ケーキの袋片手にもと来た道を帰った。