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四季の恋シリーズ

秋の恋

作者: 尖角
掲載日:2011/06/07

「春の恋」「夏の恋」に引き続き、今度は「秋の恋」です。

まだ、前作を読んでない方がいましたら、どうぞそちらの方もよろしくお願いします。

しかしながら、春夏と関連性はないです。

ではどうぞ!!!

 「さよなら…」


 私が10分前に言われたことだ。


 3年半付き合ってきた彼氏に私は振られた。


 本当に無様なことだと思う。






 今年24になった私、桶川千秋(おけがわちあき)


 今私は、木の葉が舞い散る並木道を歩いている。


 時刻は19時10分。季節は秋。


 思いのほか温かい。私の心を除いては…。


 彼氏との初めての出会いは小学校。


 付き合うきっかけになったのは成人式。


 私たちはそこで再会し、メアド交換から始まり、デートをするようになる。


 何かと待ち合わせに遅れることの多かった彼氏に私は一度も怒ることはしなかった。


 その理由は彼氏に嫌われたくないから…。


 ただそれだけだった。


 しかし、結果的に振られてしまった。


 その事実は変わらない。






 私がどれだけ泣いたって、悔やんだって変わらない。


 変わることはないのだ。


 けれど溢れる涙は何を語るのだろう?


 どれだけ拭っても変わらない見た(なみだ)


 尽きることのない(なみだ)


 私に悪い所なんてなかった。


 彼氏が…。


 彼氏に浮気相手がいたから…。


 彼氏に浮気相手がいたから、別れる羽目(はめ)になった。


 しかも、その子との間に子供が出来たって?


 私とは一度もしてくれたことがないのに…。


 結婚してからじゃなかったの?


 私と結婚するんじゃなかったの?


 「他の女と結婚します」


 「子供ができたし、2年間付き合ってるから…」


 「お前は何かとウザいんだよ!」


 「だから、お前との方が長いけど、オレあいつと結婚するから…」


 そして、私の前に他の女を連れてきて、見せびらかして私を泣かした…。


 私の努力は?水の泡?


 さよならなんて言わないでよ?


 私は誰を頼りにして生きていけばいいの?






 私はそんなことを考えて歩いていた。


 カップルたちが私の横を笑いながら通っていく。


 私を馬鹿にしているの?


 彼氏の浮気に気付くことなくのうのうと生きてきたこの私を…。


 みんなが憎く思えた…。


 こんな風に考えるから振られたのかな?


 私はいろんなことを考えた…。






 勝人(かずと)の結婚相手の女の子…。


 紗香(さやか)って言ったっけ?


 おなか大きかったな…。


 本来なら…。本来なら…。


 「!?」


 ここで、私の思考は涙に遮られた…。


 考えれば考えるほど、自分がみじめに思えてくる。


 『もう死のうかな?』


 そんなことだって考えた。


 生きる希望も見失い、生きる意志も見失い、、、


 一体私はどうすれば…?


 この先どうやって生きていこう?


 そんなことを考えていたら、ふとかあさんの顔が頭に浮かんだ…。


 「今まで何もしてこなかったなぁ~」


 ボソッと私は(つぶや)いた。


 かあさんは、私が5才の時にとうさんが病気で死んでからずっと私を支えてくれていた。


 給料が少ないパートをずっと続けて、むかつく客にも一生懸命頭を下げてきた…。


 すべては私のため…。


 「食べるのだけは、困らせたくない…」


 これがかあさんの考えだった。






 私はかあさんのことを思いだし、死ぬのをやめようと思った。


 一度ぐらいは親孝行をしようと思ったからだ…。


 さっきも言ったが、私はかあさんに対して何もしてこなかった。


 ただ、彼氏には嫌われたくない…。


 それはもちろんのこと、友達にもクラスメートにも嫌われたくないっと学校のことばかり考えて生きてきた。


 そして、学校を卒業しても家のことなんて何一つしてこなかった。


 本当に、かあさんには迷惑をかけてばかりだ…。


 ますますそう思えた。そう思えてきた…。






 私は今、1人暮らしをしている。


 久々に家に帰ろう…。


 とうさんの墓にも行って手を合わせよう。


 あぁ、なんだか昔に戻りたい…。


 昔に戻ってやり直したい。


 私は暗い秋空のもとそう思った…。

秋…。

私が一番好きな季節です。


みなさんはどの季節が一番好きですか?

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