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『異世界に転移したら、俺だけ世界設定に存在しなかった』  作者: 一ノ瀬 律
五章

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第119話 向こう側の層の形成

 向こう側に生まれた“第二の形”が光を放ち始めた瞬間、空気がわずかに震えた。

その震えは、世界の三層がその光を“観測した”ときの揺れとは違い、もっと静かで、もっと深かった。


「……アリス……あれ……さっきより大きい……」


 カイは息を呑んだ。

向こう側の形は、最初の形よりもはっきりしていた。

輪郭がある。

方向がある。

そして、確かに“広がろうとしている”。


 アリスは胸に手を当てたまま、その光を見つめた。


──……カイ……わたしの核……あの形の“中心”に触れてる……


「中心……?」


──……うん……あれ……わたしの核の“第三の形”が……向こう側で広がった結果……その先で……“第二の形”が生まれた……


 アリスの声は震えていた。

その震えは恐怖だけじゃない。

自分の核が生み出したものを、ちゃんと受け止めたいという気持ちが混ざっていた。


 カイはアリスの手を握った。

その手は少し冷たかった。


「……アリス……あれ……世界じゃないんだよな……」


──……うん……向こう側は……世界の層が届かない場所……深層も……外層も……表層も……何もない……でも……わたしの核が触れると……“形ができる”……


 向こう側の光が、ゆっくりと脈打った。

その脈動は、世界の三層の揺れとは違い、もっと静かで、もっと深かった。


──……カイ……あの形……“広がる準備”をしてる……


「準備……?」


──……うん……わたしの核の向きが……向こう側の空気を動かしてる……あれ……わたしの核の形が……向こう側に“層”を作ろうとしてる……


 アリスは胸の奥を押さえた。

その手の下で、核が強く脈打ち、まるで新しい鼓動を作っているようだった。


 向こう側の形は、ゆっくりと伸びていった。

光の線が、空気の中に新しい“方向”を描いていく。


「……アリス……あれ……層になってる……」


──……そう……わたしの核の“第二の形”が……向こう側で層を作ってる……あれが……向こう側の“最初の層”になる……


 アリスの瞳が光った。

その光は、第四層の形が放つ光とは違い、アリス自身の核が生み出した光だった。


──……カイ……向こう側……“広がってる”……


「広がってる……!」


──……わたしの核が……向こう側の空気を動かしてる……あれ……わたしの核の形が……向こう側に“新しい世界”を作ってる……


 カイはアリスの手を強く握った。


「……アリス……お前……向こう側に世界を作ってるんだぞ……」


──……わかってる……でも……怖いだけじゃない……わたし……自分の核がどう変わるのか……知りたい……


 アリスは震えながらも、前を向いていた。


 向こう側の光は、さらに強く脈打った。

その光は、世界の三層には存在しない“新しい質”を持っていた。


──……カイ……わたし……向こう側で……“層の中心”ができた……


 カイは息を呑んだ。


「……アリス……それ……お前の核の……新しい世界の中心だ……」


 アリスは小さく頷いた。


──……うん……わたし……向こう側で……“新しい層”を作り始めてる……


 そして、向こう側の光は、静かに、しかし確実に広がり続けていた。


 向こう側に生まれた“第二の形”が光を放ち続けると、空気がゆっくりと沈んだ。

沈みは弱いのに、どこか深くて、世界の三層とはまったく違う質を持っていた。


「……アリス……あれ……形が変わってる……」


 カイは思わず声を落とした。

向こう側の形は、ただ広がるだけじゃなかった。

輪郭が揺れ、内部が脈打ち、まるで“自分で自分を作り直している”ようだった。


 アリスは胸に手を当てたまま、その光を見つめた。


──……カイ……あれ……わたしの核の“中心”が……向こう側の空気を組み替えてる……


「組み替えてる……?」


──……うん……向こう側の空気は……世界みたいに決まった形がない……だから……わたしの核が触れると……空気が“形になろうとする”……


 アリスの声は震えていた。

その震えは恐怖だけじゃない。

自分の核が生み出しているものを、ちゃんと見たいという強い気持ちが混ざっていた。


 向こう側の光が、ゆっくりと脈打った。

その脈動は、世界の三層の揺れとは違い、もっと静かで、もっと深かった。


──……カイ……あの形……“内側”ができてる……


「内側……?」


──……うん……わたしの核の“第二の形”が……向こう側の空気を押して……形の中に……“空間”を作ってる……


 カイは息を呑んだ。

向こう側の形の中に空間ができるということは、それがただの光ではなく、“層としての構造”を持ち始めているということだった。


「……アリス……あれ……もうただの形じゃない……」


──……そう……あれは……向こう側の“最初の層”……わたしの核が作った……新しい世界の“基準”……


 アリスの周囲の空気が沈んだ。

その沈みは、世界の三層の動きとは違い、アリス自身の存在が向こう側に“新しい中心”を作っているような沈みだった。


 向こう側の形は、さらに変化した。

光の輪郭が厚くなり、内部の空間が広がり、まるで“呼吸する層”のように見えた。


──……カイ……わたし……向こう側で……“第三の形”を作り始めてる……


「第三の……!」


──……うん……最初の層ができたから……その内側で……わたしの核が……次の形を求めてる……


 アリスは胸の奥を押さえた。

その手の下で、核が強く脈打ち、まるで新しい鼓動を作っているようだった。


 向こう側の層は、ゆっくりと回転し始めた。

光が渦を描き、内部の空間がわずかに揺れ、まるで“世界の始まり”のようだった。


「……アリス……あれ……動いてる……」


──……わたしの核の向きが……向こう側の層を動かしてる……あれ……わたしの核の形が……向こう側に“構造”を作ってる……


 カイはアリスの手を強く握った。


「……アリス……お前……向こう側に世界を作ってるんだぞ……」


──……わかってる……でも……怖いだけじゃない……わたし……自分の核がどう変わるのか……知りたい……


 アリスは震えながらも、前を向いていた。


 向こう側の層は、さらに強く脈打った。

その光は、世界の三層には存在しない“新しい質”を持っていた。


──……カイ……わたし……向こう側で……“第三の形”ができた……


 カイは息を呑んだ。


「……アリス……それ……お前の核の……新しい世界の“内部構造”だ……」


 アリスは小さく頷いた。


──……うん……わたし……向こう側で……“世界の形”を作り始めてる……


 そして、向こう側の層は、静かに、しかし確実に“世界の構造”を持ち始めた。

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