第3話 双子なのに同じじゃない件
双子の話から、“しゅかん”と“たましい”のちがいに気づく回。
Oくんの説明がやさしく入り、ABくんのノートが本格的に機能し始める。
ひまわり公園。
午後の光がやわらかくて、すべり台の影がゆっくりのびている。
4人はランドセルを置いて、いつものブランコに集まった。
Bちゃん『ねえAくん。
さっきの続き、聞いてもいい?』
Aくん「さっきの……“たましい”の話?」
Bちゃん『そうそう。
双子ってさ、そっくりなのに……
おんなじ人にはならないよね』
Oくん《うん。
うまれたときの“じょうほう”は同じでも、
おんなじ人にはならないね》
Aくん「たしかに。
見た目はにてても、すきなものとかちがうし」
ABくんがスケッチブックを開く。
えんぴつで “DNA=おなじ” と書き、
その横にピンクで “でも しゅかん は べつ” とそえる。
ABくん【はい、ここ〜。今回のポイントで〜す】
Bちゃん『ABくん、そのノート使うの自然すぎない?』
Aくん「まあ……わかりやすいけどさ」
Bちゃん『でね……なんで双子でもちがうの?』
Oくんが、少し考えてから話し始めた。
Oくん《それはね……
あたまの中の“はいせん”が、
うまれたあとで すこしずつ かわっていくからなんだ》
Aくん「はいせん……?
それって、どういうこと?」
Oくん《かんたんに言うとね、
“あたまの中の つながり方” のことだよ》
Bちゃん『へぇ〜……
Oくんって、そういうのくわしいよね。なんかすごい』
Oくん《……そんなことないよ。
すこし知ってるだけだから》
Oくんは、いつもより声がちょっと小さかった。
Aくん「じゃあ……
ぼくの あたまの“つながり方”を まるごとコピーしても、
コピーした“ぼく”は、ぼくじゃないってこと?」
Oくん《そうだね。
“しゅかん”が つづいていないと、
それは べつの そんざい になるんだ。
こういうのを “しゅかん の れんぞくせい” っていうらしいよ》
Aくん「しゅかんの……れんぞくせい?」
ABくんはスケッチブックに
“しゅかん=れんぞくせい” と書き、
その下に赤で “コピー ふか” と強く書いた。
ABくん【ここ、テストに出るよ〜】
Bちゃん『だからどこのテストなの〜』
Aくん「……じゃあ、きおくって たましいじゃないの?」
Oくん《きおくは“じょうほう”。
でも たましいは“しゅかんの れんぞくせい”だと思う》
Aくん「……じゃあ、たましいって コピーできないの?」
Oくん《うん。
コピーしたしゅんかん、
それは べつの“しゅかん”をもつ そんざいになる》
Aくんはスマホを見つめた。
きのう届いた “unknown-node-01” のメール。
もし未来から“じょうほう”だけ送れるのだとしたら……
“たましい”はどうなるんだろう。
Aくん「……たましいが じょうほうじゃないなら、
みらいに おくることも できないのか」
Bちゃん『じゃあ……
じょうほうだけ送れても、
たましいは送れないってこと?』
Oくん《そのかのうせいは高いね。
“じょうほうてんそう”のタイムマシンでは、
たましいは うごかない》
Aくん「じゃあ……
みらいに行く“ぼく”は……
ぼくじゃないのか」
ひまわり公園は静かだった。
風がすべり、遊具の影がゆっくり揺れる。
Aくんの胸の中だけが、
深い問いでいっぱいになっていく。
出演:Aくん・Bちゃん・Oくん・ABくん
(今回のまとめ)
・双子でも“しゅかん”は同じにならない
・たましい=しゅかんのれんぞくせい
・コピーではたましいは作れない
・Aくんは“みらいのじぶん”に不安を感じ始める
(次回予告)
次回、4人は
“あたまの中は うまれたときのままなのか”
という、ちょっとドキッとする話をすることになる。
今回のキーワード:
双子/しゅかん/れんぞくせい/コピーふか/unknown-node-01




