第2話 じょうほうは送れても、ものは送れないらしい件
1話の黒板の内容が、ABくんのスケッチブックに“同期”されている。
帰り道の会話は、ふしぎノートの本格的な始まり。
集団下校の帰り道。
午後の光が少し傾きはじめて、道の上にのびる影がいつもよりちょっと長い。
4人はランドセルをゆらしながら、いつものように列になって歩いていた。
Aくん「……あのメールさ。
やっぱり“へんなメールフォルダ”に入ってたんだよ」
Bちゃん『未来の人、フィルタに負けちゃったの……?
なんかかわいそう』
Oくん《通信のやり方が今とちがえば、
“へんなデータ”って思われても不思議じゃないね》
Aくんは歩きながら、見守りスマホを胸の前でにぎりしめた。
Aくん「でもさ。
もし本当に未来からの信号だとしたら……
“じょうほう”だけは送れるってことだよね」
Bちゃん『ものは送れないけど、
データなら送れるってこと?』
Oくん《うん。
じょうほうは重さがないけど、
ものは重さがあるからね》
そのとき、ABくんがランドセルからスケッチブックを取り出した。
ABくん【は〜い、ここテストに出ま〜す】
(ぱらっと開くと、黄緑の色えんぴつで
“じょうほう:0しつりょう(ゼロ質量)” と書かれていた)
Aくん「えっ、それ……いつ書いたの?」
Bちゃん『てかその色えんぴつ、またどこから出したの?』
Oくん《でも、見たらすぐ分かるね》
Aくん「じゃあさ。
未来の人は“ものを送る”んじゃなくて……
“せっけいず”を送るんじゃない?」
Bちゃん『あ、3Dプリンタみたいに?』
Aくん「そうそう。
未来の技術なら、もっとすごくて……
“げんしレベル”で作りなおせるかもしれない」
Oくん《じょうほう転送タイプのタイムマシン、ってことだね》
ABくんはスケッチブックの別のページを開いた。
そこにはすでに、
“げんし → ならべかた → さいこうせい(再構成)”
と図が描かれ、ピンクの色えんぴつで矢印が強調されていた。
ABくん【ここ〜、次の……あ、いや】
(少し考えて)
【ここは残しといて。あとで使うから】
Aくんはスケッチブックをのぞきこむ。
Aくん「え、そのページ……“使う”ってどういう意味?」
Bちゃん『ABくんの“あとで”は信用できないんだよね』
Aくんは少し黙り込む。
Aくん「……じゃあ、人も……じょうほうにできるの?」
Bちゃん『ちょ、ちょっとむずかしくなってきたよ!?』
Oくん《でも、そう考える人もいるよ。
“人のこころもデータにできるかも”って》
Aくん「……でもそれって“いどう”じゃなくて……
“コピー”だよね」
Oくん《コピーされた自分と、もとの自分。
どっちが“ほんもの”かって問題が出てくるね》
Aくんは見守りスマホを見つめる。
Aくん「じゃあ……“たましい”って何なんだろう」
Bちゃん『Aくん、帰り道にたましいの話は重いよ……』
Oくん《でも、じょうほうとものの境目を考えるなら
さけて通れないテーマだね》
ABくんはスケッチブックに “たましい=?” と書かれたページを開き、
その下に小さく “じょうほう?” とだけ残していた。
ABくん【これも残しといて〜。
Aくん、あとで見返してね】
Aくん「えっ、ぼく……?」
Aくんはもう一度、見守りスマホの画面を見る。
そこには、昨日届いた謎の差出人──
“unknown-node-01”
の文字が光っていた。
Aくん「もし“たましい”がじょうほうなら……
未来から送ることもできるのかな」
午後の道は静かなままなのに、
4人の会話だけが、ゆっくり深いところへ沈んでいくようだった。
出演:Aくん・Bちゃん・Oくん・ABくん
(今回のまとめ)
未来からの信号は“もの”ではなく“じょうほう”だけが届くのかもしれない。
ABくんのスケッチブックには、すでに未来のヒントのような図が描かれている。
Aくんは“たましい”の正体に思いを巡らせ、胸の奥に小さなざわつきを覚える。
(次回予告)
次回、4人はランドセルを置いて「ひまわり公園」に集合。
そこで、ABくんのノートに“まだ書いてないはずのページ”が見つかる。
今回のキーワード:
じょうほう/ゼロ質量/再構成/コピー問題/たましい=?/unknown-node-01




