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決闘

 ざわざわと聞こえる周り。コロシアムのような構造に真ん中には二人の男がいる。人前に出るのが苦手なオレにとってあまり嬉しくはない。しかも目の前には巨漢がいる。気のせいではなく観客席から野次も聞こえる。

 「やっちゃってください!」「兄貴!」


「今ここで情けなく降参したら、見逃してやるかもしれねえな?」


 両腕の掌と拳をぶつけ、戦うポーズをしている。なぜそんなやる気なのか分からない。こんな状況になってしまったのは数刻前に遡る…。





「あ?おい待てよ」


 すこしよそ見をしていたせいで、人とぶつかってしまった。にしても大きい人だな。軽く二メートルはありそうだ。

 揉め事でも起きそうな雰囲気ではあるが、周りに人が多数いるしオレではないと祈ろう。


「……………オレですか?」

「そうだよ。お前以外に誰がいるんだよ」


 オレに声をかけてきただけだし、特にこれといった用事は何もないけど、速くここから立ち去るとしよう。


「そうですか…じゃあそれでは」

「何離れようとしてんだ」

「何か用ですか?今急いでるんですけど」

「お前俺にぶつかったよな、何かやることあるんじゃねえか?」


 …今謝ったばっかだしほかにすることが思いつかない。


 金?でも、この学園は使い道がないしな。………わからない。


「土下座だよ!土下座!」


 顔を近づけて怖い顔で言ってくる。唾が飛んできそうで嫌だな。


「今謝ったのでそのようなことをする必要はないんじゃないんですか?」

「お前俺に逆らったな?いいぜ…お前がその気なら決闘しようじゃねえか!」


 決闘?そのような仕組みがあったなんて知らなかった。……………待てよ?つまりこれはオレが挑まれてるのか。

 是非断ろう。


「ちなみに。断ることはできるが、これから断った情けない奴と言われ続けることになるぜ」

「……………」


 断るという選択肢が消えてしまった。これはもうやるしかないという現実に思わず涙がこぼれそうになった。


「あれ?何しているんですかー?」


「兄貴!」



 後ろから二人新しいのが来た。まだ数時間くらいしか経っていないというのにもう取り巻き(?)っぽいのを連れている。


 片方は中くらいの身長に少し瘦せている印象を与えて来る。

 もう片方は……………うん、すこし身長が低くて、すこし体重が多そうだな。


「おう。お前たち来たか、今舐めた態度しているこいつを分からせてやるつもりだ」

「さすが!兄貴ならそんな顔がいいだけのやつ一瞬で倒しちゃいますよ!」

「兄貴!」


 随分な言い方に怒りを通り越して悲しくなってくるが、気にしないことにする。あともう片方のチビは、兄貴しか言わないけどこれで通用しているのかが疑問だ。


「対決するのは確定してんだ。取り敢えず決闘場にでも行くか」

「はい!」

「兄貴!」


 はぁ……これは避けるのは出来なさそうだ。






 というような感じだ。もうよそ見は二度としないと決めた。


 前方では巨漢がさっきから喋っているが聞いてもいいことなさそうだから無視を決めている。


 広いコロシアムのはずなのに観客席はすべて埋まっていることに驚く。他クラスだけでなく、さっき話した葵もいる。あ、手を振ってきた。だがお世辞にも手を振り返せる雰囲気ではなさそう。


「御託はいいから速く来い」


 これ以上時間をかけてもいいことが一つもなさそうなので、敬語を捨てて巨漢を挑発した。


「な!?てめぇ…いいだろう。半殺しだけでは済まさねえ」

「ところで決闘で勝ったほうの条件は何にするんだ?」

「そうだったな……選ばせてやるよ!これから俺の奴隷となるか退学となるかな!」


 ここで大口をいうとは、よほど俺に勝つ気なんだろう。観客も今の言葉を聞いて盛り上がった。


「お前が勝てることはないが。もしお前が勝ったらなんでも聞くぜ?」



 審判はそこらの生徒がやるらしい。巨漢が呼んだ人らしい。


 審判が声を上げカウントダウンをする。



「三」



「二」



「一」



「始め!」

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