終わる日常
16階層に戻って、自室と寸分も変わらない部屋で休む。
何も物音がしない夕方の街の中、それでも、ゆっくりとできた。
このダンジョンには、俺しか残っていないのだろうか。
だんだん寂しくなってくる。
「先に、進もう。」
階段を降りると声が聞こえる。
【何階層に行きますか?】
17階層を選ぶと、またあの天使人形と戦わなければならないのだろう。
「18階層へ。」
階段が一瞬光を放つ。
俺は、そのまま、階段を降りていく。
18階層は、古代ローマの剣闘場のような場所だった。
目の前には、狼男のような大男が大剣を携えて立っていた。
まだ、動かない大男は、動けば、俺などすぐに倒せる。
そんな予感を感じさせた。
弱所の見極めも、反応が悪い。
大男からは、ホブゴブリンと初めて対峙した時くらいの圧を感じる。
実力差は明確なのかもしれない。
後ろを振り返る。
階段はすでに消えていて、逃げられない。
【ボスは、すでにこちらに気づいています。ボスに挑戦するには、先制攻撃をヒットさせてください。攻撃がヒットすると、ボスを縛る呪縛が消えます。】
俺は、局所放電を最大で放つ。
ボスは、意にも介さず、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
俺は局所放電をギリギリまで、放って、逃げようとした。
しかし、2m近いこの大男は、太い腕を一息に伸ばし、俺の首を掴んだ。
そのあとは、もう覚えていない。
俺は意識を飛ばした。
最後に見た光景は、俺の腹から突き出した赤く染まった大剣だった。
【リザルト、個体番号65238190725、18階層到達。ワーウルフに吸収され、消滅。】
【管理世界574583078の全ての個体の消滅を確認しました。】
【管理世界574583078の再構成を始めます。】




