ダンジョンがある日常
よろしくお願いします。
いつものように会社から家に帰ると、部屋に階段ができていた。
「なんだこれ?」
地下に続く階段。
アパートの1階なのに?
そもそも、ここ賃貸だぞ?
そんなことを考えながら、仕事着のまま階段を降りることにする。
【ダンジョン1階層に到達。ステータス閲覧が可能になりました。】
階段を降りきると頭に電子的な声が響く。
「うわ。びっくりした!ステータス?なんだそれ。」
【ステータス閲覧と声を発してください。】
「ステータス閲覧!」
少しの恥ずかしさに耐え、声に出す。
すると、半透明な板のようなものが目現れた。
ミナト・カガ
LV1
最大攻撃力 3
基礎攻撃力 1
耐久力 0
体力 1
魔力 1
精神力 1
知力 10
魅力 0
運 0
【ステータスボードを閉じると、チュートリアルクエストが始まります。ステータスボードは、右上のバツのマークに触れることで、閉じられます。】
脳内アナウンスが勝手に言うだけ言って黙る。
俺は、バツのマークを押さず、少し動き回る。
一本道の先は、下に続く階段があった。
【階段を降りるとチュートリアルクエストを受けられなくなりますが、よろしいですか?】
…それは困るのか?
まあ、受けられるものは受けておいた方がいいか。
俺は、言われた通りの手順で、ステータスボードを閉じた。
一直線の道に、モンスターが現れる。
スケルトンっぽい骨1体、スライムっぽいのが1体、短い角のウサギが1体だ。
【チュートリアル1 モンスターはすでにこちらに気づいています。この説明が終わるとモンスターが襲ってきます。どのモンスターも弱いモンスターなので、倒してみてください。それでは、ご武運を!】
俺は、よたよた歩きのスケルトンをはたく。
スケルトンは骨一本を残して粒子になった。
続いて、体当たりしてきたスライムをスケルトンの骨で、打つ。
スライムは手応えがドッチボールの玉より、軽く、パシュンと弾け、変な丸い塊を残して、粒子になった。
ツノウサギは、プルプル震えていたが、ペシッと、スケルトンの骨で、叩くと一欠片の肉を残して、粒子になった。
3体を倒した時の粒子は、それぞれ俺に吸い込まれる。
【レベルが上がりました。】
【チュートリアル2 ステータスを開いて、レベルアップの報酬を受け取ってください。】
「また、言えばいいのか?ステータス閲覧!」
ミナト・カガ
LV2
最大攻撃力 3
基礎攻撃力 1
耐久力 0
体力 1
魔力 1
精神力 1
知力 10
魅力 0
運 0
『レベルアップ報酬:インベントリ(ダンジョン内限定)』
【タッチで、報酬を受け取ってください。】
言われた通りにレベルアップ報酬の場所をタッチする。
報酬の欄が消え、粒子となり、俺に吸収される。
吸収が完了すると再び声が聞こえた。
【インベントリを開くには、インベントリ閲覧と発声してください。】
試しにやってみるか。
「インベントリ閲覧!」
ステータスボードと違うボードが現れる。
四角いマス目が横に10個。
さらに、下にずらっと続いている。
【インベントリが初めて開かれました。機能の説明を始めます。説明1、インンベントリ1マスには、同一のアイテムを9999個しまうことが出来ます。説明2、インベントリ収集と発声すると、半径50mの地面に設置している収集可能アイテムを収集します。説明3、インベントリからアイテムを出したい時は、マス目をタッチし、アイテム取り出しと発声してください。アイテムを複数個、取り出したい時は、アイテム◯個取り出しと発声してください。】
「自動収集機能は便利かも。それは良いとして、発声コマンドが多すぎて覚えられるかわからんぞ。…とりあえず、落ちてるのを集めるのが、インベントリ収集?だったか…?」
落ちていたもの。
スライムの落とした何かやウサギの肉らしきものが消えて、インベントリ内のマスに入る。
マスを触ると、説明が表示された。
スライムゼリー。
スライムと似た性質のゼリー。
毒はないが、食べても味はしない。
ダンジョン角ウサギの肉
生でも食べられるが、焼いたほうがおいしい。
肉としてのうまさは、最低ランク。
「へー、説明は便利かもしれない。スケルトンの骨は、手に持っているから収集されなかったのかな?」
スケルトンの骨を地面において、再びインベントリ収集を行う。
スケルトンの骨。
スケルトンの成分がつまった骨。
スケルトンは、ダンジョンの産物なので、生前の姿などは存在しない。
【LV2報酬のインベントリ使用が一定の基準を満たしたため、チュートリアル2を終了します。インベントリを閉じたい時は、右上のバツのマークに触れてください。】
バツマークをタッチする。
【チュートリアル完了を確認しました。チュートリアル報酬として、ステータスポイントを1ポイント付与します。ポイントを付与したい項目を選んでください。】
最大攻撃力 3
基礎攻撃力 1
耐久力 0
体力 1
魔力 1
精神力 1
知力 10
魅力 0
運 0
「うーん。わからん。どれがいいんだろうか?」
とは言いつつ、実は候補は、2つに絞られている。
基礎攻撃力を上げるか、耐久力を上げるかだ。
攻撃特化か、安全重視か。
攻撃特化系は、レベルUPが早いような気がする。
安全重視は、現実的に見て死んだらやばいよねってこと。
他に振るのは考えられない。
だって、運とか魅力とかどう影響するかわからないし、魔力とかは今のところ使い道がないから。
そういうわけでの、わかりやすさで、基礎攻撃力と耐久力が候補なのだ。
悩んだ末、俺は、耐久力を0→1にすることにした。
特に、目立つエフェクトもない。
ただ、ステータス閲覧で、確認できる数値だけが変わっていた。
ここまで。
いったん階段を戻る。
「このまま、進むのはちょっとなあ。情報を仕入れてからにしよう。」
とりあえず、シャワーを浴び、秋の満月を見ながら、晩酌。
ひとまず落ち着きを取り戻しつつ、ネットで、ダンジョンについて調べる。
すでに様々な情報が飛び交っていた。
もうLV8まで、行った猛者もいるようだ。
LV2 報酬は、皆、インベントリらしいこともわかった。
LV3以降は報酬は確認出来ていないようだ。
テレビをつけるとニュースでもダンジョン特集をしている。
ダンジョンについてはよくわからないことが多い。
それでも、情報をまとめたサイトも出来ていた。
サイトによると、現在、現れているダンジョンは、各々自分用らしいということ。
どういうわけか、全ての人に1つずつダンジョンがあるということらしい。
そして、ステータスは、あくまで、ダンジョン内だけのものということだ。
ダンジョン外で、基礎攻撃力が上がったりしたら、大変な世紀末になってもおかしくないからよかった。
確実にわかっているのはこれくらいのようだ。
「っと、こうしている場合じゃない。まだ、木曜だから明日も会社に行くんだ。寝ろ、俺!」
というわけで、布団にくるまり、横になる。
そうして、その日は終わったのだった。




