紫色の不思議な時間
暑い夕焼けを駆けて
バッドとボールを肩に
長い川の途中で小さな橋を渡った
街の時計は5時半
チャイムが響く夜に向かう
何気ないはずの帰り道
どこかでヒグラシが鳴いて僕を誘うように
もう一度あの頃に行けるのなら声のする方へ行くさ
今日は帰り道の神社が
少し紫がかって
古本屋の看板までも
暖かく染まっている
早く家に帰って
6時のテレビに間に合うように
駆け出した随分前の話
静けさに迷った僕は
キャップを被り直して
何度も歌った歌詞を再び口ずさんで
自転車に抜かされて
一人ぼっちの僕はなんとも
言えない寂しさに包まれて
青い夏の葉が暗くてよく見えない
早く灯りの下へ行きたくて駆け出したんだ
石ころも蹴飛ばして
少し転びかけたけど
両手を広げた僕は
暖かく染まっていく
今日の晩ご飯は
好きな物ばかりがいいなぁとか
くだらない事ばかり
もう少しこのまま楽しさと寂しさが渦巻いた
不思議な時間で過ごしていたいよ
この先もずっと今のまま過ごせたなら
僕はどんな大人に変わっていくんだろう
まだ世界は狭いままで
知らない事ばかり
日々を過ごすだけで
この街も広くなってく
いつか空を飛んでいる
飛行機で旅をしたりしたいなぁ
そんな事思っていた子供の頃




