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銀河鉄道
飛び込むように乗り込んだ
煙も出さない機関車
現実から逃げるように
赤い座席に腰を下ろした
「まだ早いんじゃないのかい」
懐かしい君はそう言う
「こう言うもんさ人生って」
カッコつけて体の傷を隠す
窓枠の隙間から映り込む
カシオペアの絵の具が
無邪気に戻った僕らの旅路を
少し不安そうに見ていた
消し去った日々の邪悪な声
煙に包まれ消えていった
幻想のままでいられたなら
君とは会えなかったかもね
「そう言う君もすっかり
大人になったね」
「こっちでも年だけは
無駄に取るみたいだ」
窓枠の隙間のスクリーンが
照らしたペガサスの鳴き声
先の見えないこの旅路も
そろそろ終わりが近づく
やっと君に会えたんだ、せっかくだから言いたかった事
最後に一つ言わせてくれよ
「あの時はありがとう」
窓枠のガラス突き破って
君は一人で旅を続ける
目を覚ます僕の顔には
ほうき星の様に流れた跡があった
窓枠の外見てみれば
空でオリオンが浮かんでる
呑気にただただ浮かんでる
窓を開ければ冷たい風が吹いていた
銀河鉄道の夜を読んでいたら思い付きました。




