茜の世界
頭の上をカラスが通り過ぎる
イチョウ並木を飛び去って
秋の最後を告げる
「さよなら」君はそう言って
茜色に染まった銀色のスーツケース
持って巣立って行ったね
そんな小さな荷物一つで
君はこれから生きていくつもりなのかい
どうせ男でも作っているんだろう
隠した涙も隠し切れなくて
しっとりと染まるイチョウ並木へ
足を運ぶ君の背中見ていた
頭の上をカラスが通り過ぎる
イチョウ並木を飛び去って
秋の最後を告げるように
いつかの声も心も忘れたいのに
目に焼きついた影残って
茜の世界を逃げるように
暑苦しい夏も過ぎ去って
綺麗な紅葉も見に行った
言葉にできないほど綺麗だったね
その時の心くらい
純粋な心でずっと生きていたかったよ
過ぎた事を悔やんでも
戻した涙溢れ返って
ずっと銀色が映るこの瞳は
冬を呼ぶ心の鏡だね
頭の上をカラスが通り過ぎる
夏も秋も尻尾にぶら下げて
君を引き止めるくらいの言葉が
この口から飛び出せばよかったのかな
目に焼きついた影残って
茜の世界を逃げ出したいよ
君の頭の上をカラスが通り過ぎる
イチョウ並木を飛び去って
秋の最後を告げるように
いつかの声も心も忘れたいのに
目に焼きついた影残って
茜の世界を逃げるように




