序章【終わりからの始まりを信じて】2
先日初めて投稿させていただいたわけですが、書いててたまに一人称がいいのか、二人称のがいいのか迷いますね~・・・そういう時ピタッと止まってしまうのです。
ジョビーが力尽きて、ひとまず騒動が静かになった魔王は一息吐いて、いなくなった場所にぼやくように声を発した
『・・・ジョビーめやっと消えたか』
魔王の呟きを聞き、我に返った側近の背が高いフォールンが駆け寄って声をかけた
『魔王様!大丈夫ですか?』
さっきまでの戦いで内心一番どぎまぎしていたのはこの男だ。魔王に何かあっては困ると日々おせっかいを焼いて過保護気味になるので、たまにウザがられる報われないかわいそうなやつである。
『フォールンか、さっきは助かったぞ。』
魔王が礼の言葉を投げたのは、読心術を使えるフォールンが思念波で注意を促したからこそ、ジョビーの額打ち付け地割れを魔王も背を向けて立ち去ろうと油断していたため、さすがに予想はできていなかったのである。このお節介者がいたからこそ、難なく相殺できたのであった。
『いえ、思念波が間に合ってよかったです。具体的にどのような攻撃をするかまでわかりませんでしたが・・・』
ジョビーが死に物狂いの一撃を出そうとしていることしか思念波で伝えることしかできていなかったのだが、百戦錬磨の魔王は瞬時に判断し防いでいた。
『そうですよ。魔王様がああいうやつ輩は何をしでかすかわからぬからイイ!と言っていたではないですか。なのにあんなに油断しちゃって』
先ほどジョビーを煽った一人が鋭く注意する。みんな心配なのだ。
『いやぁー我もチョー強いけど、あいつは強さだけで言い表せない戦いの素質?みたいなのがあってさ、それはみんなも観戦してて感じる事もあるし楽しかったろ?』
身内にしか見せない魔王の柔らかい口調が戻ってきた。以前魔王らしさとはなにか?を求めた時に威厳のある言葉遣いをしたらいいんじゃないかと、部下たちに勧められ最初の頃は恥ずかしがっていたのだが、慣れるうちに楽しくなった魔王にはピタッと役にはまり込んで、来客があった時には表情も引き締めてかっこいい魔王が出来上がっていた。今はだらしない顔になってしまったが・・・
『っと、それよりもジョビーのやつがまた面白いことを考えておりましたよ?知りたいですか?』
戦いが終わり後片付けムードの中、今際の際ジョビーが考えていたことを読心術で見ていたフォールンが楽しそうに声を出し質問していた。
『なにぉ!?おいー、フォールンよ次はジョビーのやつどうするつもりだ?』
魔王は興奮のあまり声が上ずりそうになりながら、好敵手となりうる存在として認めていたのだ。わざと煽って、憤慨させ奇天烈な発想を仕掛けてくるのがうれしかったのだ。そして、そんな魔王とジョビーのやり取りを見守っている部下たちも自然と食い入るように二人の戦いが大好きだった。ジョビーの思考を
一部始終覗いていたフォールンは面白い話を魔王に伝えるべく話し出した。
魔王に負けて月日が経った夜、パチパチと火が付いた松明が音をたてて部屋に集まった者たちの顔を照らし、見事に復活したジョビーは部下に死闘の果てに、思いついた次の戦術(転生)について話した。
『というわけだ。我は転生という儀式をして今度こそ魔王を出し抜いてやるつもりだ。』
神妙な面持ちでひとしきり話したジョビーは部下である副官ローズの顔を見た。こういう時はストッパー役で頭のいい奴が、反論してまとめるのが手っ取り早いのでいつものル-ティンとなり、案の定口を開いた。
『ジョビー様、転生先の対象は下等な人間するということですか?あのような人間どもにわざわざならなくてもいいと思うのですが、獣人とかどうです?獣耳ですよ、かわいいと思いません?』
ギクリとしながらジョビーは手痛いローズの指摘に驚いてしまった。
『ロ、ローズ君?いい質問だ。私が人間を選んだ理由は・・・(人間には好みの可愛い女の子が一杯いるからだ!とか言えないし~~、なんて応えよう?)』
いつの間にか頭を下げて悩んでしまったジョビーは慌てて頭を上げた。その目に映るのは期待に満ち、信じて付いてきたきた可愛い部下たちの顔だ。部下たちの期待に応えるべき存在であり続けなくてはならず、頭を抱えて悩む姿なんてみせれるものかと、この場をまとめて締めるべく語りだした。
『転生し人間の英雄となりうる存在になれば、我々悪魔の信仰心が上がるのと同義である。目立つ人間がいればそれに憧れ、嫉妬、尊敬をする。刺激があればあるほど我々は人間と契約の代償、感情である喜怒哀楽という名のごちそう、時にはささやき誘惑し導く存在であり、持ちつ持たれつつの旧知の仲である。そんな彼らの助けになるのであれば本望であろう!以上だ。けっして、もし獣人だったら体毛だらけかも~とかそういうのではないからな』
そんなとって付け加えた、演説を終えたジョビーはそそくさと締めくくるようにローズに目配せをした。
『ジョビー様、ご説明ありがとうございました。私は感激しました。我々配下の事をそこまで考えてくださっているとは・・・』
ローズが目頭を押さえながら上を向いていた。
『そうだ、我はお前たちのことが大切だからな!』
ローズをみていたジョビーはここぞとばかりに、やましい気持ちを振り払うようにどや顔で叫ぶように言った。沈黙を決めていた部下たちの目には感激して目元を拭う者たちがチラホラ見えてきた。そんな中落ち着きを取り戻したローズが放った一言で、邪な思慮が暴露する。
『てっきり私は、ジョビー様は転生先を獣人のマーメイド族を選んでキャッキャウフフな事を企むのでは?と思いましたが、取り越し苦労だったみたいですね。』
にこやかにローズがジョビーが考えそうな事を言い放つと間髪を容れず
『何!マーメイドか!?それもいいな、人間の女の子もいいと思ったがそれもいいな♡』
あっけに取られたローズがジョビーの顔を見て、やれやれと仕草を加えて
『ジョビー様、目がハートになっております。こんなベターな反応されるとは』
あまりのジョビーの素直な生き生きとした発言に、感慨無量だった部下たちは目が点にしまい、再び沈黙の時が訪れた。
さて、と一つ咳払いをしたローズは本題を切り出した。
『ジョビー様その儀式の方ですが一体どのような方法で行うのですか?何かご存じなのですか?』
副官であるローズの咳払いで正気を取り戻した部下たちは我々も同意見ですと言わんばかりに清聴していた。その静まった空気の中で先ほどまで目がハートになっていたジョビーも正気を取り戻し神妙な面持ちで口を開いた。
『うむ、文献によると身体が滅びて魂となった時に起こるようなのだ。一定の条件や女神が絡んでいるようで身体が滅びると皆が転生するようなことではないと思うのだが、人間の転生はそういうことみたいだぞ?だが、我は悪魔だ。悪魔が転生できるかできないかは結果が不明で残念ながらまだわからぬが、希望はある。・・・だからそのような顔をして心配するのはよせ、お前たちには似合わぬ、笑って協力してくれ。』
先ほどのお茶目な一件が嘘みたいにほんわかした空気が消え、特攻するかの面持ちで決死の提案にもう会えなくなるかもしれないと悟りだした部下たちの表情が落ちていった。ジョビーの頼みごとに真剣な気配を察した周りの部下たちは押されてしまっていた。ただ一人を除いては。
『ジョビー様?その文献とやらは信用に値するものですか?』
発言の主であるジョビーの身を案じたローズの発言はいつも痛いところばかりついてくる。ローズの献身的な想いが痛み入るほどわかっているからこそ、胃に穴が開くような思いをしながら、ジョビーは当たり障りのない返答ができるように努めた。結局は慕ってくれる部下たちにはいつも心配かけさせているが、、なんだかんだと言いながら見送ってくれるのだ。常日頃からの付き合いがあるからこそ分かり合える。それを伝えるべくジョビーは語りかけたのだが
『皆よく聞いてくれ、読んだ文献なのだがなかなかに興味深いのだ。転生による未知なるものへの探求、今までとは違った新たな生活、風習、文化に興味がわかないか?長寿な我々からすると短命な者たちの価値の違いもあるだろう、時は金なりということわざもあるぐらいだ。それらを踏まえてこの文献に・・・あれ?ここに仕舞っていたはずだが』
ゴソゴソと文献を探すのに説得が途中で止まってしまい、思わぬ場面でアレレ?と一人テンパりだした。せっかく盛り上がろうとしていた空気の流れが止まり、息が詰まるほど台無し感が場を包む。見かねたローズが助け舟を出した。
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