序章【終わりからの始まりを信じて】1
自分のイメージをうまく表現できているか、勢いのまま書いていないか?と試行錯誤しながら進めてみました。脳内エピソードを文字にするのは難しいですが、考えながら文字にするのは楽しいですね。みんなはどんな気持ちで書かれているのかな~っとかいろいろ気にはなりますが、集中して書きこんでいく予定です。物語はワクワクしたりドキドキしながら読んでいただくのも醍醐味だと思いますので、これからお付き合いよろしくお願いいたします。
最初はシリアス展開でかたいかもしれませんが、テンポよくわちゃわちゃしながら物語を固めていこうと思います。
この世には命あるものが恐れ近づかぬ山があり中央には魔王城があった。その山は魔山と呼ばれ食べ物や水を求めた獣すらも寄りつかず間違えて入ろうものなら生きる者へのこの世の執着をそぎ落とし、自然界の理である雨や雪すらも拒絶した魔山は、枯れた大地で囲まれ、枯れ果てた大地から狂鬼の臭いが湧き出て霧がかかり一寸先の視認すら困難なのだがその先には城があった、永劫の謎に包まれた城・・・それが魔王城である。
魔王城には当然のごとく魔王が住んでいるのだが、そこに打倒魔王を掲げる者たちが噂を嗅ぎ付けやってくるのだ。魔王には勇者となりうる人間や獣たち、英雄や王が幾人も挑み敗北し何百年も誰もが勝てなかった。どこまでも魔王の武力は強かった。魔王は枯れ果てた大地から採取ができないので、豊かな場所を目指し勢力拡大するために各地へ部下を派遣しようとしたが、共通の打倒魔王を掲げる者たちは協力し、魔王の目論見を防いでいた。
やがて幾多もの死線を乗り越え、人間の知恵と技を、獣の力と素早さを活かした獣人が産まれた。獣人には魔法の詠唱をしながら前線で戦える個体が多くみられ、戦ではとても活躍したが戦線への負担は減ったが未だに魔王討伐には至っていない。
そんな討伐者がなかなか来ない魔王城である日、剣戟が鳴り響いていた。片方は剣を持ったこの城の主である魔王だ。黒と白の合わさった衣装に身を包み華麗に武器を羽が流れるように動かしている。その魔王の相手をしているのは、人間や獣の英雄でもなく、ましてや王でもなく獣人でもない。
翼を生やし尻尾を反りかえるように上げ、手にはピッチフォークを持った悪魔・個体名ジョビーである。
剣戟を重ねあっているのは城の正面玄関であるエントランスで行われ、魔王と悪魔の戦いを魔王の幹部たちや部下が周りを囲み上へと上がる奥の階段すらも一杯だった。
もう、何度ジョビーの攻撃が魔王の剣に裁かれたのかわからない、永遠と続くのではないかと思うほどジョビーの連撃は当たらずことごとく躱されていた。ジョビーが正面から突こうにも魔王の剣先にちょいと引っ掛けられ、軌道がほんの少しそらされ魔王の横をかすめる。右から薙ぎ払うにしても、剣で叩き落とされ地面のブロックをえぐる、それを利用し砂埃を立ち上げ視界をつぶし不意をついた左下からの袈裟斬りすら魔王は半歩だけ後退し避けてみせた。
(不意すらつけぬ、否、不意にすらなぬ)ジョビーは内心焦りながらも食い下がっていた。時が過ぎ魔王の戦い慣れは際立って異常だった。
悪魔の中でもっともジョビーが得意とする魔法を発動しようとしても詠唱開始時とともに瞬時に魔王が、魔法の系統を読み解き、霧散させていった。物理的な面ではジョビー自慢のピッチフォークは少しずつ魔王との打ち合いで、三つあった矛先は奇妙な軌跡を描いた剣に折られ今では真ん中の一本となり槍の姿になってしまった。
(くそ!魔王めよくも我が愛刀、烏丸をこんな様にしてくれたな!)再びジョビーが悪態をついていると、心を読んだように二体の魔王側近の凹凸コンビがいる階段からヤジが飛んできた。
『魔王様が凄すぎてまたビビッてブルブルしている悪魔のジョビー君が可愛くみえますぜい!』まず口火を切ったのは凹の方でひしゃげたような小さい身体をしている割には、動きが活発なややこしい方のボツ
『あのジョビーが可愛く見えるように戦っているんじゃねぇか?』続いて便乗してくるのが、お調子者のドツ。二人ともジョビーには、勝てないもののいつも魔王の腰ぎんちゃくとして有名だった。
二人のヤジを聞いていたジョビーは理解した。馬鹿にしているのだと、怒りに任せ力のある限り愛刀をふるうた為に感情が高ぶり気が逸れた時だった。筋肉が膨張し動きが鈍くなった隙を魔王は見逃さなかった。
『魔王五段付き!!!ッシ!』
魔王の覇気のある一息で放たれた必殺技は文字通り五段突きで標的となったジョビーの額から、右肩、左肩、ヘソを突き、仕上げとばかりに喉元突く十字型の連撃が皮膚を貫いた。
『ぐはぁ・・・くそぅ!魔王め覚えていろ・・・ょ・・・』
捨て台詞を吐いたジョビーはろくに立つこともできず、神に祈るような姿勢、両膝を地面についたまま倒れるのをなんとか凌いでもの物思いに更けていた。
(また、我はコヤツに敗れ去るのか)
ジョビーの攻撃や間合いの取り方は決して素人の動きではない。そんなことなら魔王城に到着することはできずに、魔王と戦うことは叶わなかっただろう。ただ単に魔王が強すぎて歯が立たないのだ。
『おい~、このジョビーとも遊び飽きてしまった。単調な武器の使い方にお粗末な魔法の構築、果てには自分の感情をも御せぬ未熟さ・・・』
魔王はふとジョビーとのこれまでの戦いを懐かしさを感じながら物思いに浸って思い出していた。
『まあ、今宵の戦いで驚かされたのが一つだけあったな・・・こやつの武器であるピッチフォークをいつの間にか槍に変化させていたことには驚いたがの~、こやつは人間社会でいうところの道化師か!』
魔王の言葉を聞いた部下たちは一斉に笑い出した。
『魔王様!プクク・・・そりゃこいつの武器の先端にあった角のような部分をわざと魔王様が切り落としたからでしょう?』
『フフフ、そうなのですか?私はてっきりユニーク(特殊)武器の性能なのかと思いました。』
『っえ、そうなの?俺はてっきり自分の分身でもある愛刀すらも使いこなせない悪魔なのかと』
見物していた部下たちは、各々思ったことを口にしだした。それはジョビーの耳にも聞こえていたが、言い返そうにも呼吸すら絶え絶えで力が入らない。指先も心なしか冷たくなってきたのを感じていたが。悔しさのあまり、頭の中で念じることにした。いわゆる悪魔の呪いだ。
【魔王がピッチフォークを壊して、槍にした】
【魔王がピッチフォークを壊して、槍にした!】
(大事な事なので、2回念じておいたが、魔王に呪念が効くかわからぬが。)と胸中でぼやきながら、ジョビーの呪念はこれまでの魔術が発動できなかった腹いせもあり気合がだいぶこもっていた。
少しブルリと震えた気配をみせた魔王はジョビーに興味をなくしたのだろう、天を仰ぎ天井のさらに向こうが広がる虚空の世界見つめるように言った。
『おい~、何処かに史上最恐である俺様を楽しませてくれる強者はおらぬかの~??』
ジョビーは魔王の呟きをきいて反論を言えず念じた。
【我より背が縮んでしまえ!!!!】
変なところで執着深いジョビーだが、未だに力が戻らずそれでも諦めきれずに身体を地面に倒さないようバランスをとっている、それも時間の問題だろう、いずれ倒れてしまいそうなほど血の気も引いてきた。
(この魔王め、好き放題言ってくれる。我は悪魔ジョビーであるぞ?何故我がこの魔王に敗れ続けるのだ。)
そう、ジョビーは今回が初めて負けるというわけではない、悪魔はダメージを受けて死んでも、その場所からは身体と精神体は霧散し自分の拠点に魔法陣等で登録していればしばらくすると復活するのだ。その術式の名は悪魔専用復活の秘術。
『今宵はまだ霧散せぬのかこの悪魔は、いい加減この顔にも見飽きてしまったわ!』
魔王は見飽きたジョビーに背を向け歩き出そうと一歩片足を上げた時だった。
(魔王が我を馬鹿にした態度が許せないし、愛刀の烏丸をワザと狙って壊しおった。反撃の一つでもしてやりたいが、手にも足にも力が入らない・・・このまま一矢報いることもできずにまたもや敗れるのか?)
ジョビーの身体が前のめりにゆっくり倒れ始めた。このまま倒れて身体を霧散させ気が付けば部下たちが待つ拠点に帰り着くだろう、しかしと走馬灯のごとく思考が走る。
(なんと話す?魔王にまた負けて、愛刀の烏丸まで持ち出してこのような姿にしてしまった。わざわざ此度は愛刀を持ち出し、一撃でも魔王に打ち込んでくると部下たちに宣言してきたのにこのザマか、情けない!このまま負けてなるものか!)
ジョビーの脳裏によぎった心配そうな顔をした部下たちが、力をくれたような気がしたジョビーは意識が飛ぶ寸前に、地面に打ち込んだ。
何を?手も足も動かない、身体を自由にすらできないが最後の荒業・・・偶然にも態勢がそうさせた。否、これしかない。その想いでジョビーは
『ドコォ!!』
『バン!』
魔王城に響き渡る音が二種類同時に鳴った。前者は勢いよく打ち付けたジョビーの額を地面にぶつけた鈍い音だった、ジョビーの額は地面を割り見事魔王に向けて裂けていた。地割れを起こしうわのお空だった魔王を少しでもギャフンと言わせるための一撃だったが、寸分の差で響いた後者の音の正体は、魔王が上げた足を元の位置に戻しジョビーの頭突きで起きた地割れを中断させた衝撃波だった。
『くそ・・・』
悪態をついたジョビーは完膚なきまでに負けていた。最後の体力を使い果たしたジョビーの身体が霧散を始めた。そんな中、当の本人はすがすがしい気持ちで次の作戦を練り始める。時には憤慨し時には称賛しながら
(・・・悪魔の中でも5本指に入る我をここまで子供扱いするとは許せぬ!どんな手段を用いてでも必ず、この魔王を倒してやる。ウーム、どうしてやろう?こんな規格外なやつを倒せる手段か・・・そうだ、確かつい先日に人間の街に暇つぶしで面白いことがないか散策していたら本を拾って見たことがあるぞ?アレは女のお姉ちゃんが載っていた水着グラビ・・・いや、違う!それじゃない、確か文字ばかり書いてあって読むのに苦労した本だったな。確か転生したらステータスと知識に拍車がかかって強くなるとか、ならないとか。つまり我の力に新しい力が乗っかかるようなモノ、今の状態で修行してもなかなか強いから何百年かかるかわからぬ、それに死にそうになる度に今より戦闘力が上がる宇宙人でもない、それならば一度人間に転生し、あのラ〇ベシリーズの転生ものだったか?あれは10~20年で勇者や英雄になれるのだ、あの腹立つ魔王をサクッと早く倒すうってつけの手段ではないか?うむ、このまま、魔王と戦闘を続けても得られるものは少ないだろう、だって強すぎて参考にならん、おまけに戦術も癖もない魔王だからな、そうと決まれば転生でもしてみるか!)
都合のいい解釈で勢い任せの決定を心に決めたジョビーだったが一つの不安要素があった。
(悪魔でも転生者 になれるはず!だよな・・・?)
はい、後書きでございますね。ひとまず読んでいただきありがとうございます。やっと物語のプロローグが3割進んだところになります。今後の流れですがあと二幕続いてジョビーさんは転生の流れになります。
下書きはありますので、少々頭をひねりながら加筆したり、減らしたりして、読みやすく伝わりやすいかな~っとイメージしながら書き込んでおります。本日は一気に書ききる予定でしたが、難しいと判断いたしましたので急遽3部作で分けることとなりました。もっと真面目にネタを集めたり、物語を進めていたらよかったな~っと思い返すこの頃・・・うまい人はどんな感じに練っているんでしょうw