サフォーク家の休日
「なんか兄貴、若返ってねえか?」
「確かに、ニコラスより若く見えるわね」
「婚約者がピチピチだからな!」
「親父…ピチピチって」
「父上、その言い方はジジ臭いですよ」
「貴方、ないわ…」
「え、ひどい」
イザベラとクリストファーの婚約が情報解禁されてから、サフォーク家には息子達がよく帰宅するようになった。
学園卒業後、クリストファーは跡取りを辞退したからと領地から足が遠退き、弟のニコラスは跡取りは自分には無理だと王宮騎士団に入った後は独身寮に入り、実家に滅多に顔を出さなくなった。
父母は、まだ自分達も引退しないし、二人がもう少し大人になってから考えようと、クリストファーの為に治癒師やポーションの情報を集めながら、そんな息子達を放任していた。
そしてある日突然、クリストファーが怪我を完治させて帰ってきた。
特級ポーションのレシピが発見され、治験で飲んだと言われた時の衝撃ったらない。
ええーそんな奇跡ある?と父ブライトンと母エミリーは顔を見合わせて驚いた。
それからクリストファーがたまに領地に顔を出すようになり、跡取りはクリストファーで決まりかな?お嫁さん探さないといけないかな?とそわそわしつつ見守っていた。
まあ、その三年後にお城に呼び出されてクリストファーの婚約を極秘に知らされてからは、波乱の連続だったが。
王家からローランドの血について話をされ、分家についての調査結果を渡され、おっとり気味だったブライトンとエミリーはかなり反省した。
平和なアッシュフォードという国で、安定した収入のある領地を治めることに満足していたが、ローランドと比べると自分達の駄目さが浮き彫りになった。
イザベラを迎えるのにこれはダメじゃないか?とダンジョンデートで鍛え直したり、現状維持ではなく領地の発展に目を向けたりと忙しく過ごした。
分家が好き勝手言ってくるのを、ブライトンもエミリーも笑顔でスルーしつつ、情報解禁されたら覚えてろよ!と反撃の機会を虎視眈々と伺っていた。
だから、情報解禁後は速やかに分家に周知徹底し、イザベラとのコミュニケーションを重視した。
イザベラは想像以上にスゴかった。
ちょっと領地の相談をすれば、大当たり!
人気のなかったダンジョンのドロップ品に価値を見出し、新たな特産品が生まれ、大流行。
廃家予定だった分家にも、新たな仕事を与えてくれた。
それに、イザベラにお強請りされて建築を許可した別邸は、なんかもうスゴかった。
ガーデンパーティーが主なアッシュフォードでは、どこの家も広い庭園があるのがデフォルトだが、ガーデンアーチを魔導具にするとか聞いてない。
道を間違えると別邸への道が幻覚で閉じられるとかどうなってるの。
黒い壁しか外からは見えないのに、中に入ったらめちゃくちゃ快適空間だった。
キッチンの棚には保存魔法のかかった食事とお菓子が置いてあり、バーカウンターには様々なお酒が飾られていて、それらが食べ放題飲み放題!
イザベラが勝手に補充するので遠慮しなくて良いらしい。
壁の隠し棚には本棚もあり、色んなジャンルの本が詰まっていた。
イザベラから使用許可を貰ったブライトンとエミリーは、度々滞在した。
イザベラとクリストファーの婚約が決まってから、たまに帰ってくるようになったニコラスも、別邸にいる時に遊びにきて父母に招かれてからはサウナがお気に入りだ。
クリストファーと健全に遊ぶ為に、イザベラがボードゲーム等も増やしていくので、別邸は完全に家族の遊び部屋扱いである。




