違法薬物4
まだまだ宰相side
国王執務室に向かっている途中に、イザベラ嬢から通信が入った。
腕時計型の通信魔導具は、レオナルド殿が使ってるのを見て絶賛したら、イザベラ嬢がプレゼントしてくれた逸品だ。
〈宰相閣下、男爵邸の制圧完了しました!〉
「早かったな。良くやってくれた」
〈それで、販売元がヘレントーレって組織のシュピールって奴なんですけど、既に出国済みっぽいです〉
「やはり、この国には手を広げたばかりか」
〈二ヶ月前が最後の接触だったようです〉
「追えそうか?」
〈情報が足りないです。ヒプノーの鑑定結果から分かった材料での推測では、ブルムン王国かゾネブルー国が有力候補になります!二国には内密に製作者のニコ・ステーンについて問い合わせてください〉
「うむ、急いで人を送ろう」
〈あ、これから貴族の購入者の捕縛の助力しに向かいます!組織の幹部を捕縛する時に、ヒプノー使って同士討ちさせてる間に逃げようとしてたので。騎士に使われたら厄介極まりない〉
「ああ~そういう使い方もあるのか…」
「おい、物騒な話してんじゃねえ」
「物騒だが、なくはない話だろ」
〈あ、団長さんもいたんですね!捜査協力の連絡お願いしますね〜!ではっ〉
「あっ」
「決定事項じゃねぇか。まあ、有り難いけどよ」
イザベラ嬢は効率主義の自己完結型だな。
上司の宰相+ベルクの騎士団長=許可が出る、と一瞬で独自解釈したのだろう。
まあ、合っているが。
Sランク冒険者としての戦力とあの稀有な鑑定能力、自作のアミュレットによる状態異常無効というアドバンテージがあっては協力の拒否などと言う選択肢はない。
もし拒否するなら、それは相手に後ろめたい思惑がある時だろう。
その後、私の待機場所は会議室となった。
ベルク国王や数人の大臣と一緒だ。
イザベラ嬢が暴く問題の処理が多過ぎて、移動時間が勿体無いと判断された。
昼間でも宮殿内がこんなに騒がしいことはないのでは?
ヒプノー購入者の一人である侯爵家の婿養子は、実家の指示でお家乗っ取りを企て、義父である現侯爵を操り遺言書を書き換えさせていた事が露見した。
時期が来たら自害させる予定だったそうだ。
遺言書の確認や、実家の伯爵家への追加捜査が必要になった。
また、別のヒプノー購入者の一人である公爵家の前当主は、国王暗殺を企てており、別の公爵家の当主を実行犯に仕立てる予定だったらしい。
プライドだけは高い男だったようで、同年代の国王や公爵を妬んでおり、いつか問題を起こすのではと早々に息子に隠居させられていた。
家族は知らなかったようだが、公爵家を如何するか会議されている。
そして、厄介な問題が発覚したのは、ある伯爵家。
購入者も使用者も伯爵家の執事の一人だったが、当主の指示だったことが発覚した。
王太子の視察時の夜間にヒプノーを使って護衛を操り、王太子本人や側近にもヒプノーを使い、夜な夜な王太子に娘を抱かせていた。
娘の腹には、王太子のお子がいるらしい。
既にいる王子王女の暗殺後に名乗り出るつもりだったというのだから、かなり悪質だ。
〈閣下、イジーが激怒してます〉
「止めてくれ。頼むからこれ以上は止めてくれ」




