違法薬物3
偉そうなオッサンは裏組織の幹部だったらしく、良い情報をいっぱい持ってた。
裏組織の構成員の情報、複数の活動拠点、隠し倉庫の場所、裏組織のボスまで辿り着けた。
後何人か摘発しないとボスまで辿り着けないと思ってたのにアッサリ。
よーし、ボスのとこ行っちゃお!
深夜テンションで某男爵邸に突撃。
起きて起きて〜
「私はヒプノーなど知りません。何かの間違いでは?」
流石、裏ボス。大して動揺してないね!
ボスってば、表の金貸し事業で上手いこと男爵家に婿入りしてたんだよね〜
使用人に何人か組織の構成員がいるし、お家乗っ取りほぼ成功してらっしゃる。
でも、残念!今日でお終い!
「貴方、ヒプノーの売買を裏商売でしてるでしょう?貴方の組織が売ったヒプノーが、本日の王家主催の夜会で使用されて、犯罪行為が行われたの。カワイソウに、馬鹿が失敗したせいで、貴方の組織の構成員は全員捕縛されるわ」
「なっ…!」
「うんうん、ヒプノーは貴方の信頼してる幹部だけで細心の注意を払って販売してたのに残念ね?販売する商人も慎重に選んでたのにね?まさか、王家主催の夜会で馬鹿なことするお客に売っちゃうなんてね」
ボスの顔が赤黒くなったと思ったら、土気色に変わった。大丈夫?
「イジー、また煽ってる」
「ごめんなさい」
クリス様、ストッパーとして大活躍だね。
私の操縦が上手くなってらっしゃる。
さてさて、ボスに接触したのは組織名“ヘレントーレ”の通称シュピールとまでは分かった。
早速、宰相閣下から各国に情報を流して貰おう!
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置いてけぼりの宰相side
イザベラ嬢とクリストファーが抜け出した後、混乱が起きぬように私は夜会会場に戻った。
しかし、ベルク王の判断で早めに夜会は終了した。
たぶん、摘発に人員を割く為に夜会会場の警備をしていた騎士が必要なのだ。
イザベラ嬢は、犯罪者に容赦ないからな。
出会った当初から規格外だったが、影と活動してコツを掴んだのか、年々【鑑定】の精度が上がってると感じる。
父親から捜査方法を学んだからか、騎士を動かすのも上手い。
尋問はちょっとアレだが、情報を有利に引き出す【心眼】スキルも持っていそうだ。
「団長、追加の捕縛指示書が届きました!」
「おう、よこせ。…ふむ、裏組織の構成員か。こちらは王都の警備隊に協力要請しないと無理だな。購入者は、何人か陛下から許可を出して貰わないと捕縛できねーな。前からキナ臭いと目をつけてた奴は、ついでにガサ入れしよう。よし、リストの複製を20部、4〜7班は出動準備しとけ。調査部にも声掛けろ。ウィリアム、付き合ってくれ」
待機していた騎士団長執務室から、国王執務室に向かう。
明日、いや、もう今日の夜か。
コイツと飲もうと約束していたが、無理だな。
前ベルク王の側妃が産んだ第四王子エルンストは、王にならない王族という共通点があり、留学先で友人となった。
実力で騎士団長まで上り詰めたとは聞いていたが、一緒に仕事することになるとは思わなかった。
しかも、最近になって警戒を強めていたヒプノー関係だ。
アッシュフォードの貴族は、冒険者として市井に普通にいるから被害者になる確率が高い。
しかし、黒の断罪者の活躍のおかげで他国も絡む大きな組織は既に潰していた為、ほぼ流入が確認されていない。
確認されている被害は、商人が数人、他国籍と思われる人物に財産を盗られたくらいだ。
発覚当初は暗殺に使われていたヒプノーだが、捕まらないことに自信を持った供給元が販売の手を広げたのだろう。
盗みや性犯罪に使われるまでに普及してきたと思うと、怖気が走る。




