月と海の妖精
入学式が終わって家族と別れたら、そのまま在校生のいる歓迎パーティーの会場に移動する。
昼食を兼ねた立食パーティーだって!豪華だわ〜
もぐもぐしながら知り合いと挨拶したり、在校生の研究室の勧誘を聞いたりしてウロウロ。
一応、同年代のお友達もいるのよ?
近隣の領地のパーティーや親族のパーティーに行って人脈作り頑張ったんだから!
ローランドの分家の子と話してたら、トンっと背中に誰かがぶつかった。
振り向いた先には、見事なプラチナブロンドの髪で濃い青から淡いピンクのグラデーションが美しい瞳を持つ男性がいた。
【セリーニ•トルベール】
侯爵家次男 “月と海の妖精”先祖返り
「まあ!見事な先祖返りですわね!月と海の妖精は瞳が美しいと聞いたことがありましたが、これ程とは思いませんでしたわ」
「は?」
「ん?」
「それ、こいつのこと?」
先祖返りの方と一緒にいた男性たちがビックリした顔をしてこちらを見てきた。
こんな特徴的な色合いは妖精族の先祖返りしかいないと思うんだけど?
「ええ、そうですけど…?」
「「「マジか」」」
「月と海の妖精って言った?」
「はい、月と海の妖精の先祖返りですよね」
私が会ったことあるのは、氷の妖精と火の妖精しかないけどね。
力が強い、人に擬態できる妖精はだいたい僻地に隠れ住んでるけど、先祖返りの振りして街で生活してる妖精もいるらしい。
火の妖精が冒険者してたり、土の妖精が鍛冶屋してるって教えて貰ったけど、それは気づかないよ…
小さいのはたまに人里にくるけど、隠蔽スキルで普通の人は見えないし気づかない。
妖精のイタズラがガチで存在する世界です。
屋台の串焼き食べちゃうとか、綺麗な宝石が気に入って持ってっちゃうくらいの可愛いものだけどね?
迷信扱いして、妖精よけのお守りつけてないお店やお家がたまに被害にあってる。
「それ証明できたりする?」
「特級鑑定師として出仕してるので、鑑定書出せますよ?」
通常の鑑定は、基本情報しか見れないものらしい。
他のスキルとの相乗効果で情報は増えてくらしいけど、私みたいなチート鑑定はなかなかない。
知識書庫スキル、凄過ぎでは?いや、看破スキルも関係ありそうだな。もしかして、創造神の愛し子の称号が凄いのか?
他の人は、調合スキル持ちなら薬の鑑定結果が詳細になったり、採取スキル持ちなら素材の扱いの詳細が見れたりする。
複数のスキル持ちの鑑定師が、特級鑑定師として出仕できる。
まあ、だいたいが王族の料理や贈り物、城で働く人の鑑定だ。
巧妙に偽装してて、鑑定をすり抜ける物や人もいるけどね。ほら、クリス様の同僚だったスパイの人とか。
親子鑑定も普通の鑑定スキルじゃ見れないから、血液で判定する魔導具があるくらいだし。
人物鑑定も、私ほど詳細じゃないし、スキルや称号が見れないってのも多いらしい。
私が重宝される訳です。
「鑑定書をお願いできるだろうか」
「先祖返りだとは思ってたんだけど、珍しい色合いだからか、こいつちょっと遠巻きにされてんだよね」
「いや、遠巻きにされてんのは別問題だから」
おおらかな性格というか、発想が斜め上なタイプらしい。
そういう人だって理解してる友達以外では、なかなか付き合いが続かないんだと。
まあ、妖精族は別種族だから人族と感覚が違うのは仕方ないよね。
内陸のアッシュフォードではあまり現れない先祖返りだから、どう対処するか周りも悩んでいたらしい。
月と海の妖精は、音楽好きな楽天家らしいから、彼もそんな感じだろう。いろいろ楽器やらせてみたら面白いかも。




