クリス様と社交デビュー4
「イジー、お待たせ」
「おかえりなさいまし」
「どう?」
クリス様に、分家の方と一人で交流したいからって離れて貰ったけど、2組しか話せなかった。
どっちもハズレだったし、アレらが奥さんだと旦那さんも期待できないかな〜?
「まあ、挿げ替えに納得ですわね」
「私も反省しないと」
「お怪我されてからは、文官になる為に頑張っていらしたのです。クリス様よりお義父様たちが反省すべきかと」
「情があったんだろうけど、それももう擦り切れてなくなってしまったみたいだね」
クリス様は怪我で次期当主を辞退してたし、お城でずっと文官してるんだから分家の相手は無理でしょう。
結婚するまでの3年間で、分家を任せられるような優秀な人を確保しなきゃ。
それに、お義父様とお義母様にも頑張って貰わないとね!まだまだ引退させないぜ!
「クリストファー様とローランド侯爵令嬢は、本当に仲がよろしいようで。お若いですなぁ」
さっきの夫人とは別のとこのおじいちゃん子爵が声をかけてきたけど、なんかちょっと馬鹿にされてるような気配が。老害かな?
「あまり見ない衣装ですが、お揃いですか?素敵ですねぇ」
んー、真意がわからないから無難に返しましょうか。
「まあ、ありがとう存じます。以前、ジャポーン王国に仕事で行った際に、嫁がれたナデア妃殿下にオススメされた生地で作りましたの」
「ほう!では、デザインもジャポーン王国の?」
「いいえ、デザインは私ですわ。沢山の珍しい生地を購入したので、最近のクリス様と私の家族の衣装は、私がデザインしてますのよ」
「それはそれは、ローランド侯爵令嬢は多才でいらっしゃる」
まあ、そうね。多才は否定できないね。
間違いなく、謙遜したら嫌味になる。
ちょっと返答に困ってクリス様を見上げた。
「イジーは本当に多才で素晴らしい令嬢だよね」
「ほほほ、お熱いですなぁ。そんなに珍しい生地を沢山購入できるとは、侯爵家が羨ましいですなぁ」
んー?
侯爵家から伯爵家に嫁ぐんだから散財するなよって牽制かなー?
散財する金があるなら侯爵家から持参金いっぱい持ってこいって催促かなー?
この人、分かりづらい。
「フフッ。あの時購入したのは白金貨数枚程度ですが、私の個人資産での支払いですわ。使わないと貯まる一方ですから」
「ははっ!イジーは自分でだいたい作れちゃうからお金を使う機会がなくて困るくらいでしょう?」
「そうですわね?もしかして、私、働き過ぎでは?」
金貨と白金貨が貯まり過ぎて、ここ一年は素材を売るの止めてますし。
アイテムボックスにある特級ポーションを一本売るだけで、数千万ゴル手に入るんです。
自分の総資産を考えると怖いわ〜
「学園に入ったらそんなに仕事の依頼しないと思うけど、宰相閣下に言っておこうか?」
「そうですね、一応お願いしときましょう」
「ローランド侯爵令嬢は一体何のお仕事を…?」
おじいちゃん子爵の口元が引き攣ってるんだけど。
特級鑑定師なのは隠してないが、お城で働いてる人以外はあんまり知られてないのよね〜
“森海”の調査結果はいくつか公表されたから、冒険者ギルドや薬師界隈で少し有名になってるらしいけどね。
「イジーは、特級鑑定師として国に仕えてる。Ꮪランク冒険者でもあるから、危険のある調査はだいたいイジーが請け負ってるよ?」
「商品開発や趣味で作った物の販売もしてるので、資産に余裕がありますのよ」
「それは…素晴らしいですね。ローランド侯爵令嬢と婚約されたクリストファー様は果報者ですなぁ」
なんかちょっと態度変わった気がする。
ただの小娘と侮ってたの?金蔓がきたって喜んだの?
問題のある鑑定結果は特にないのに、なんかこのおじいちゃん子爵気に入らないんだよね〜
パーティーが終わってから、お義父様たちにおじいちゃん子爵について聞いてみた。
「わかる。仕事はできるんだけど、彼、性格が悪いんだよ」
「嫌味を混ぜないと会話できないタイプなのよ」
「仕事一筋で妻に子育て丸投げしたら後継者にできない仕上がりだったみたいで、未だに現役なんだ」
「孫に期待してるけど、あの調子だから教育に向いてないの」
「今いる分家の中では一番仕事はできるんだよ?」
なるほどー。たぶん、侮ってた方だな。
新参者をちょっとチクチクしてやろうくらいの接触だったから鑑定結果に問題なかったんだな。
最近、問題ある人ばかり鑑定してたから感覚が麻痺してたかも。普通の人はこんなもんよね!
ただ単に性格が合わない人だったか〜納得。
でも、仕事できる人は好き。孫の教育困ってたら手を貸してあげよう。




