密談
ここは城の一室。
居るのは、4人。
王太子の【アレクセイ・アッシュフォード】
宰相の【ウィリアム・エグリントン】
イザベラの父親【レオナルド・ローランド】侯爵
クリストファーの父親【ブライトン・サフォーク】伯爵
深いため息を吐いた宰相が話し始めた。
「ブライトン、今日はわざわざ来て貰ってすまない。今後のことで内密で話さなければいけないことがある。先日、クリストファーが婚約の決意を固めたと報告してきた。本来なら、婚約は両家で話を詰めるものだ。当主であるブライトンより先に報告させて申し訳ないが、しかし、今回ばかりは許してくれ。クリストファーを口説き落としたのが、ローランド侯爵家のイザベラ嬢なんだ…はあ…」
頭を抱えた宰相に代わり、王太子が話を続ける。
「クリストファーは話してないと思うが、2人は3年以上交流をしている。イザベラ嬢がクリストファーに一目惚れしたのが始まりだ。それから毎週、光の日に城内の四阿でイザベラ嬢の手作りの弁当を2人で食べている。人払いをしてたから噂もなかっただろう」
再起動した宰相がまた話し始める。
「イザベラ嬢は国の最重要人物なんだ。ぶっちゃけると、特級ポーションのレシピはイザベラ嬢が発見した。クリストファーの為に使用したのが、始まりだ。他にも色々規格外でな…」
遠い目をした王太子と宰相。
困惑しているブライトン。
レオナルドが話を進めた。
「サフォーク卿、お久しぶりです。我が娘の件で、事情があったとはいえ、挨拶が遅れて申し訳ない」
「ああ、いえ。申し訳ないが、まだいまいち事情がわからないのだが」
「ええ、ええ、今の話じゃわかりませんよね。まずは、3年ほど前に事件があり、私が娘を一緒に城に連れてきました。その際に、娘のイザベラがクリストファー殿に一目惚れして、その場で求婚しました。まあ、その時、娘の能力が有能だとわかり王家で囲おうとされたんですが、有能過ぎて王家が白旗あげてイザベラの要求が通りました。それから、イザベラがずっとクリストファー殿を口説いて、とうとうクリストファー殿が婚約の決意を固めた次第です」
「王家が白旗…?」
「サフォーク卿、この指輪が何かわかりますか?」
レオナルドが自分の指輪を見せる。
「魔導具ですか?」
「状態異常無効のアミュレットです」
「は!?国宝じゃないですか!」
「ええ、イザベラが作りました。王家の人数分、献上済みです。しかも、今までのアミュレットより高性能です。サフォーク卿、腕時計されてますね?」
「あ、ああ。まさか…?」
「腕時計もイザベラが作りました。バレるとまずいので、これは領内に店舗を作って職人を育てました。当主には、王家から緊急用に通信魔導具が渡されてますよね?アレもイザベラが作りました。特級ポーションもそうですが、バレてまずい物、悪用されてまずい物は、基本的に王家に隠れ蓑になってもらっています」
「そ、それは、有能どころじゃないような」
「そうなんです。しかも、イザベラは当時6歳です」
「は!?はああああ?!いや、え、それって今9歳ですか?!」
「はい。ここまでで、生産能力が飛び抜けて凄いことは分かっていただけたと思います。しかしですね、戦闘能力も飛び抜けてるんですよ。特級ポーションのレシピはご覧になりましたか?」
「ああ、はい、息子が飲んだモノですから」
「素材になったオークキングとヒュドラ、イザベラは単独で討伐してました。6歳で、です」
「え、えー…」
「黒の殲滅者か、黒の断罪者は聞いたことありますか?」
「黒の殲滅者は、スタンピードの時に現れるSランク冒険者だったか?」
「ええ、最近、Sランクに上がりましたね。アレは、幻術をかけて活動してるイザベラです」
「………」
ブライトン・サフォークは、驚き過ぎてもう声も出せない。
「黒の断罪者は、影部隊と共に活動して裏社会を潰しているイザベラ嬢のことだ」
王太子が、疲れた声で告げる。
「ブライトン、クリストファーにはイザベラ嬢が15歳になったらすぐに結婚してもらいたい。そして、時期をみて侯爵に陞爵してもらう予定だ」
「サフォーク卿、イザベラはかなり規格外だが、頭もいい。既に学園で学ぶことはないくらいだ。いまはクリストファー殿の支えになる為、領地経営も学ばせてる。うちの食材ダンジョンでとれるもので、新しいレシピも開発してる。料理の腕はかなりのものだ」




