ランチタイム
もう自前の転移で移動できるので、転移門と城内の間の建物の影に転移して、通信魔導具で連絡し、お父様を待ちます。
お父様にもお弁当を渡してから、薔薇園の四阿でサフォーク様を待ちます。
わくわく、ドキドキ!
少し困った顔をしながらサフォーク様がいらっしゃいました。
んんんんー好き!
「イザベラ嬢、お久しぶりです。毎日お菓子の差し入れありがとうございました。今日はお弁当を作っていただけたとか」
「サフォークさま!おひさしぶりです!おあいしたかったです!こちらにおかけください!」
テーブルには、すでにお弁当箱を広げてある。
私の分は色違いのお揃いで作りましたよ!もちろん!
「スープとサラダはふたをとってください!メインはこちらのサンドイッチですわ!」
「こんなに…ありがとうございます。イザベラ嬢の手作りと伺ったのですが、シェフと一緒にお作りに?」
「いいえ!わたくしひとりでつくりました!」
サフォーク様の為のものです。
自ら作るに決まってますわ!
「イザベラ嬢は料理もできるのですね。差し入れして頂いたお菓子も、食べたことがない物がありましたがどれも美味しかったです」
「サフォークさまのおくちにあってよかったです!」
実は材料が見つからなくて、前世の記憶から創造魔法で作り出したモノもありましたの。
一応お父様に味見してもらったけど、美味しいと思って貰えるか不安でした。
しかし!そんな苦労よりも、創造魔法で作った食材や調味料には付与魔法がつけれることが発見できました!
差し入れには、【疲労回復魔法】を付与してたのです。
午後のお疲れ時に食べれば元気に!
私ってば気が利く〜!
サフォーク様は「美味しい」と食べながら、料理のことをいろいろ聞いてくれて、たくさんお話出来ました。
優しいですわ〜メロメロですわ〜!
デザートと食後の紅茶の準備をしていたら、サフォーク様が真剣なお顔になりました。
「イザベラ嬢、私は、貴女にとても感謝しています。怪我が治ったのも、眼が見えるようになったのも、イザベラ嬢のおかげです。イザベラ嬢が望むなら、婚約のお話をお受けいたします」
「サフォークさま、それはちがうのです。わたくしは、サフォークさまにものぞんでほしいのです。わたくしがけっこんできるまで、まだ9ねんもあります。ぜんりょくで、サフォークさまをくどきますわ。でも、そのあいだにサフォークさまにすきなひとができても、それでいいのです。としのさは、どうにもできませんの。…わたくしは、サフォークさまにプロポーズしてもらえるまでがんばります!」
「…イザベラ嬢のお気持ちはわかりました。イザベラ嬢のことをちゃんと見て答えを出します」
「はいっ!」
真っ直ぐにこちらを見つめていた薄紫の瞳に、私は少し恥ずかしくなった。
学生時代にみたギラギラした獲物をみるような女性の眼ではなく、彼女の眼は純粋な好意が見てとれる。
感謝も恩を感じているのも本心だ。
歳の差だって、貴族の婚姻なら範囲内だろう。
そうやって言い訳して、婚約を受けようとした自分が恥ずかしい。
彼女は、ローランド卿が言った通り、私の言葉に納得しなかった。
きっと、中途半端な気持ちは見破られる。
嬉しそうに笑った後の、あの瞳の奥にトロリと見える熱が、いつか私にもわかるだろうか。
「イザベラ嬢、よろしければ私の事はクリスとお呼びください」




