O・HA・NA・SHI
「本日はこれで帰宅いたします。パーズコートの妹の救出の件もつめますので、数日不在となること騎士団にもお伝えいただけますか。娘と話し合いをしてから報告に参ります。…サフォーク殿、後日お時間もらえるだろうか」
「おとうさま、おとうさま、もうおかえりになるの?」
「ああ、帰って沢山お話しよう」
「んーそのまえに、おしろのおそうじしてきてもいい?」
「お城のお掃除?急にどうしたんだい?」
「さくてきしたら、おしろにスパイとかまだいるみたいなの」
「「「「………え?」」」」
「イ、イザベラ、なんでわかるの?」
「なんかやってみたらできました!ちょっといってきます!」
イザベラは立ち上がるとサッと扉を開けて消えた。
レオナルドは頭を抱えた。
王太子と宰相もソファに沈んだ。
「…レオナルド、お主の娘は凄まじいな」
王太子は何度目かわからない同じ台詞を呟いた。
「私もこれ程とは知りませんでしたよ…」
疲れた声でレオナルドが答えた。
その頃、イザベラは城中を隠密で駆け回っていた。
忍び込んでいた暗殺者を捕まえ、スパイを捕まえ、緊急性のないスパイは名前等を控えた。
(サフォーク様は宰相補佐官ですもの、優秀な方なのだわ!お役に立って認めて貰わなくては!)
イザベラはサフォークのために頑張った。
無言の4人の空間に、イザベラが元気よく戻ってきた。
「おそうじおわりました!こちらがおしろにいたあんさつしゃとスパイで、このかみがしょうさいです。かんしがひつようなじんぶつは、こちらのリストにきにゅうしたのでかくにんおねがいします!」
誇らしげな顔でサフォークに紙を渡すイザベラ。
サフォークは、犬の尻尾を幻視した。
(尻尾がすごい勢いで振られている!)
褒めなくてはいけない!と義務感にかられたサフォークは、引き寄せられるようにイザベラの頭を撫でた。
イザベラは、嬉しそうにはにかみながら人を魅了する笑顔を浮かべた。
頭の中は残念だったが。
ヒャッフー!
サフォーク様に頭なでなでしてもらったー!
「おとうさま!かえりましょう!」
****************
レオナルドとイザベラは、屋敷の執務室で向かいあって座っていた。
レオナルドは慎重にイザベラに話を聞いた。
これ以上驚かされないなど、到底思えなかった。
その予想は見事に当たった。
「つまり、こないだ話していた【鑑定・隠密・索敵・錬金術】の他にほとんどの魔法と幻術、剣術、体術が使えると。しかも希少な転移スキルとアイテムボックスもってると」
マジか。
聞いていた【鑑定・隠密・索敵・錬金術】のスキルも規格外過ぎる。
詳細がわかる鑑定、感知されない隠密、調べたい対象を絞り込める索敵、なんでも作れる錬金術!
聞いたことない!
錬金術って簡単な魔導具やポーション、武器くらいしか作れないと思ってたのに…
イザベラの作った武器や防具なんて一級品じゃないか!
見たことない魔導具に、ダンジョンでしか発見されてなかった特級ポーション。
しかも、これまたダンジョンでしか発見されてなかったマジックバッグまで作ってたよ!嘘でしょっ!
こんなの欲しいって考えたら必要な素材がわかるって、意味がわからない。
家では魔法の基礎しか教えてないのに全属性使えて、いつの間にか騎士団で剣術と体術教えてもらってて、領地内で魔物や盗賊相手に実戦済み。
6歳で実戦豊富ってなんだ!
魔の森の最奥なんて、俺とリリーの2人でもキツイぞ!
そして、転移とアイテムボックス。
アイテムボックスもやばいけど、転移は誰にも言えないよ…
どっちも国が出てくる。マズい。
「イザベラ、転移とアイテムボックスは他の人に知られるとかなりマズい。城で王家の監視下に置かれるか、魔術師団に預けられて監禁されると思う。なので、私は聞かなかったことにする。今後は必ず、幻術をかけてから転移を使いなさい。アイテムボックスから何か出す時は、忘れずにその可愛らしいポシェット型のマジックバッグでカモフラージュするんだ。いいね?」
「わかりましたわ、おとうさま」
あー殿下達にどう報告するかー
婚約回避できるかなー
「イザベラ、サフォーク殿への求婚は本気か?」
「ええ、ほんきですわ!」
「王子じゃダメか?」
「サフォークさまがいいのです!これからアピールしてかならずしょうだくをもらいますわ!ですので、ほかのえんだんはおことわりしてください」
「わかった。なるべく断る。サフォーク殿とも一度話してみるよ」
「ええ、ですが、よけいなことはしないでくださいね」
イザベラの目が怖いです。
娘に父は勝てそうもない。




